JR九州(九州旅客鉄道株式会社)は、2026年2月に開催された自治体連携イベント「からまりマルシェ」において、ブロックチェーン技術を用いた顧客行動データの記録体制を導入しました。この取り組みは、来場者の購買行動を改ざん困難なデータとして蓄積し、将来的な分析や施策に活用することを目的としています。これまでの記念品配布を中心としたNFT活用から、実社会での行動データをビジネスに活かす実用フェーズへの移行を象徴する動きとして注目されます。
デジタルスタンプを通じた購買行動の可視化
今回の取り組みは、博多駅で開催された「からまりマルシェ」(佐賀県唐津市・伊万里市との連携イベント)で実施されました。来場者が会場の12事業者から商品を購入すると、購買行動と連動してブロックチェーン上のデジタルスタンプが発行される仕組みです。
このデジタルスタンプは、現地の指定店舗で提示することで割引やプレゼントなどの特典を受けられる「送客」の役割を果たすだけでなく、その行動履歴がブロックチェーン上に記録されます。技術支援は、ブロックチェーン書き込みAPI「NFT Garden」やイベント参加記録プラットフォーム「Snapshot」を展開するConnectivが担当しました。ブロックチェーンを活用することで、データの改ざんを防止し、信頼性の高い顧客行動データを蓄積・分析できる体制を整えています。
「Next Favorite Things」への刷新とデータ利活用の本格化
JR九州は2023年から「JR九州NFT」プロジェクトを展開してきましたが、2026年2月には同プロジェクトを「Next Favorite Things(ネクスト フェイバリット シングス)」へと刷新しました。この刷新は、NFTを単なる「記念品」や「販売商品」として扱う段階から、観光やイベント参加、商品の購入といったリアルな行動履歴を蓄積する「基盤」へと進化させることを意図しています。
これまでの取り組みには、Astar Network(日本発のパブリックブロックチェーン)との連携や、現役のレールと証明NFTを組み合わせた「レールメモリアルNFT」の販売などがありました。今回のマルシェでの試みは、こうした過去の知見を活かしつつ、より直接的に購買行動というビジネスデータをブロックチェーンで管理・活用する方向に舵を切ったものと見られます。
ポイント
- ブロックチェーンを活用し、改ざんが困難な形で顧客の購買行動データを蓄積・分析する仕組みを導入しました。
- 佐賀県唐津市・伊万里市といった自治体や地元事業者と連携し、Web3技術を地域振興の施策に組み込んでいます。
- 単なるNFTの配布や販売にとどまらず、リアルな体験や行動履歴をデータ化して循環させる「Next Favorite Things」構想の一環として位置づけられています。
- 鉄道事業者が持つリアルな接点とデジタル技術を統合し、顧客ロイヤルティの可視化を目指す先進的な事例といえます。