米暗号資産取引所最大手のCoinbase(コインベース)は2026年4月20日、AIエージェントが自律的にサービスを検索・利用できるマーケットプレイス「Agentic.Market」を一般公開しました。このプラットフォームは、同社が推進するAIエージェント向けの決済プロトコル「x402」の導入を加速させるものであり、人間を介さない「機械同士の商取引(マシン・ツー・マシン経済)」の基盤として機能することが期待されています。AIとブロックチェーン技術の融合が実用段階に入ったことを示す重要な動きと見られます。
AIエージェント経済を支える「Agentic.Market」とx402プロトコル
新たに立ち上げられた「Agentic.Market」は、開発者や自律型AIエージェントが、x402プロトコルに対応したサービスを効率的に発見・比較し、自らのシステムに組み込める統合プラットフォームです。このマーケットプレイスは、バックエンドの探索レイヤーである「Bazaar」を基盤としており、価格データや利用指標、統合のためのガイダンスを直感的なインターフェースで提供します。
特筆すべきは、このプラットフォームが自己学習型である点です。実際の決済を監視することで新しいサービスを自動的にインデックス化するため、手動での登録作業を必要とせず、リアルタイムでマーケットが成長・更新されていく仕組みとなっています。
x402プロトコルは、インターネットの基本プロトコルであるHTTPのステータスコード「402(Payment Required:支払いが必要)」を現代的に再定義したもので、APIの呼び出しやツールの利用ごとに、プログラムを介してリアルタイムで決済を行うことを可能にします。Coinbaseによれば、x402の累計取引件数はすでに1億6500万件を超え、取引高は5000万ドル(約77億円)、アクティブなエージェント数は48万を超えており、急速に普及が進んでいるとされています。
業界大手の参画と広がる暗号資産関連企業の戦略
x402プロトコルの普及を支える背景には、業界の枠を超えた強力な協力体制があります。新たに設立された「x402 Foundation」には、非営利団体のLinux Foundationをはじめ、Google、Stripe、Visaといったテクノロジーおよび決済分野の世界的企業が参加しています。これにより、x402は特定の企業に依存しない、インターネットの公共性に近い標準プロトコルとしての地位を確立しようとしていると見られます。
また、CoinbaseはAI分野以外でも事業拡大を加速させています。同日には、暗号資産のトークン化とカストディ(保管・管理)ソリューションにおいてBybit(バイビット)と提携することを発表しました。この提携により、未上場株式(プレIPO資産)などの伝統的な金融資産に対して、ブロックチェーンを通じたオンチェーンアクセスを提供する狙いがあるとしています。さらに、英国ユーザー向けにはビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)を担保とした融資商品の提供も開始しており、金融サービス全般におけるWeb3技術の統合を推し進めています。
市場の反応と暗号資産関連株の動向
「Agentic.Market」のローンチを受け、4月20日の米株式市場ではCoinbase株が前日比約2.6%上昇し、1株211ドル近辺で取引を終えました。同日のS&P500指数が0.24%下落するなかで逆行高となっており、投資家がAIエージェント経済の将来性を好意的に受け止めている可能性が示唆されています。
他の暗号資産関連銘柄も堅調に推移しました。特に、ビットコインを大量保有するStrategy(旧MicroStrategy)は、2026年4月19日時点で保有残高が81万5061BTCに達したことを公表しました。同社は直近で約25億4000万ドル相当の買い増しを行っており、これは同社の歴史上3番目に大きな単発購入となります。取得総額は約615億6000万ドルに上り、企業の準備資産としてビットコインを活用する戦略をさらに強化しています。
また、決済大手のBlock(旧Square)は、AIファーストの運営体制への移行に伴う大幅な人員削減が議論を呼ぶなか、日中の上昇率で首位となる3.69%高を記録しました。これらの動きは、Web3企業がAI技術を自社のコア戦略に組み込み、効率化と新規市場の開拓を同時に進めている業界全体の潮流を反映していると言えます。
ポイント
- CoinbaseがAIエージェント向けの決済・サービス基盤「Agentic.Market」をローンチし、AIによる自律的な商取引を支援。
- 決済プロトコル「x402」は累計取引件数1億6500万件を突破し、GoogleやVisa、Stripeなどが参加する「x402 Foundation」によって標準化が推進されている。
- CoinbaseはBybitとの提携を通じてプレIPO資産のトークン化に乗り出すなど、伝統的金融資産のオンチェーン化も並行して進めている。
- Strategy(旧MicroStrategy)が約25億ドルのビットコインを追加購入し、保有量は81万BTC超に。企業の財務戦略としてのビットコイン需要は依然として強固。
- 暗号資産関連銘柄が市場全体を上回るパフォーマンスを示しており、AIとWeb3の融合が投資家からの期待を集めている。