2026年4月21日、次期連邦準備制度理事会(FRB)議長に指名されたケビン・ウォーシュ氏の上院指名承認公聴会が行われました。ウォーシュ氏は、ドナルド・トランプ大統領の「操り人形(sock puppet)」にはならないと明言し、金融政策における中央銀行の独立性を維持する姿勢を強く打ち出しました。また、暗号資産を米国の金融システムにおける不可欠な構成要素と位置づけるなど、Web3業界にとっても重要な見解を示しています。
政治的圧力からの独立と金融政策の展望
公聴会において、ウォーシュ氏はエリザベス・ウォーレン上院議員らによる「大統領の意向に従うだけではないか」という懸念に対し、明確に否定しました。同氏は、トランプ大統領から金利操作に関する約束を求められたことはなく、また自身もそのような約束をするつもりはないと述べています。
金融政策については、人工知能(AI)による生産性の向上がインフレを抑制しつつ利下げを可能にする可能性があると言及しました。従来の枠組みにとらわれない「レジーム・チェンジ(政策運営の抜本的転換)」の必要性を訴え、新しいインフレ目標の枠組みやツールの導入を検討する意向を示しています。
暗号資産を金融システムの一部として評価
ウォーシュ氏は、デジタル資産がすでに米国の金融サービス業界において「不可欠な要素(integral component)」を構成しているとの認識を示しました。これは、規制当局が暗号資産を単なる一時的な流行ではなく、既存の金融実務に適応させるべき現実として捉えていることを示唆しています。
同氏は過去に、ビットコインを「金(ゴールド)のような持続可能な価値の保存手段」と評価する一方で、ドルに代わる通貨ではないとの見解も示しています。また、自身の資産公開では、Solana(ソラナ)やPolymarket(ポリマーケット)に関連するプロジェクトを含む、複数の暗号資産関連への投資実績があることも明らかになりました。
承認プロセスにおける不透明感
ウォーシュ氏の指名承認には、政治的な課題も残されています。共和党のトム・ティリス上院議員は、司法省が現在のジェローム・パウエルFRB議長に対して行っている調査が終了するまで、いかなる議長指名候補への投票も保留する意向を表明しています。
パウエル議長の任期は2026年5月15日に満了するため、それまでにウォーシュ氏の承認が得られない場合、米国の金融政策の指導体制が一時的に不透明になる可能性があります。
ポイント
- ウォーシュ氏は公聴会で、トランプ大統領の「操り人形」にはならないと述べ、FRBの独立性を強調しました。
- 暗号資産を米国の金融システムにおける不可欠な要素と認め、規制の適応が必要であるとの考えを示しました。
- AIによる生産性向上が、インフレを抑えた状態での利下げを支える可能性があると言及しました。
- ビットコインを価値の保存手段として評価しつつ、法定通貨の代替とは見なさない現実的な立場を取っています。
- 政治的な対立により、5月のパウエル議長任期満了までの指名承認スケジュールには不透明感が残っています。