2026年4月21日に開催された「第9回 BCCC Collaborative Day」にて、株式会社ネットスターズがステーブルコイン決済の社会実装に関する取り組みを発表しました。同社は、加盟店がステーブルコインの専門知識を持たなくても、従来のキャッシュレス決済と同じ操作感で導入できる仕組みを重視しています。実証実験を通じて得られた課題と、決済・送金分野におけるステーブルコインの本質的な価値が示されました。
既存の決済網を活用した「StarPay-X」構想
ネットスターズは、国内外の多様なQRコード決済を一元管理できるプラットフォーム「StarPay」を展開しており、約1万7000の加盟店を抱えています。同社は、ステーブルコイン決済を既存の決済網と同じ仕組みに載せることで、普及の壁を乗り越えようとしています。新たに発表された「StarPay-X」は、複数のブロックチェーンやウォレット、通貨に対応するマルチ決済基盤であり、ステーブルコインを既存のキャッシュレス決済と同様に統合することを目指しています。
羽田空港や小売店での実証実験とインバウンド需要への対応
同社は2026年1月から2月にかけて、羽田空港でドル建てステーブルコインのUSDCを用いた決済の実証実験を実施しました。USDCは、米ドルの価値と連動することを目指して設計されたステーブルコインとされています。この実験では、ユーザーがMetaMask(暗号資産を管理するためのデジタルウォレット)で生成したQRコードを既存の端末で読み取る仕組みを採用し、加盟店側のオペレーションを変更せずに決済を完了させました。また、姫路市のトレーディングカードショップでは、クレジットカードの利用上限を気にするインバウンド客のニーズに応えるため、USDC決済の導入が進められています。
ステーブルコイン普及に向けた課題とB2B領域への期待
ステーブルコインの普及には、クレジットカードのようなポイント還元などのインセンティブ設計が難しいという課題があります。ネットスターズの安達源氏は、ステーブルコインの真の価値は単なる決済手数料の低減だけでなく、決済後の資金を安価に送金できる点にあると指摘しました。将来的には、BtoB(企業間取引)領域を含めた資金移動の効率化が重要になると見られています。また、銀行などによる円建てステーブルコインの普及が進むことで、ユーザーの認知度や利用環境がさらに整備される可能性があります。
ポイント
- 加盟店がステーブルコインの仕組みを知らなくても、既存のレジ業務と同じように処理できる環境が重要視されています。
- 羽田空港の実証実験では、既存の決済端末を活用してUSDCによる決済をスムーズに完了させる仕組みが検証されました。
- インバウンド客による高額購入の際、クレジットカードの利用上限を回避する手段としてステーブルコインが活用される可能性があります。
- ステーブルコインの利点は決済そのものだけでなく、その後の送金コストの低減やB2B領域での効率化にあると考えられています。
- 銀行などが発行する日本円連動型ステーブルコインの普及が、今後の利用拡大の鍵となる可能性があります。