Tron(トロン)の創設者であるジャスティン・サン氏は、トランプ一族が関与する分散型金融(DeFi)プロジェクト「World Liberty Financial(WLFI)」を相手取り、カリフォルニア州の連邦裁判所に提訴しました。サン氏は、自身が保有する約7500万ドル相当のトークンが不当に凍結され、ガバナンスへの投票権も剥奪されたと主張しています。この訴訟は、著名な暗号資産投資家と政治的背景を持つプロジェクト間の深刻な対立を示す事例として注目されます。
資産凍結に至る経緯とサン氏による主張
訴状によると、サン氏は2024年にトランプ家との関係性を考慮し、計4500万ドル(約72億円)をWLFIトークンに投資しました。その後、最終的なポジションは約7500万ドル(約120億円)相当にまで拡大し、サン氏は同プロジェクトのアドバイザーにも就任していました。
しかし、2025年9月にサン氏がトークンの移動を試みた際、WLFI側が同氏のウォレットをブラックリストに登録し、資産を凍結したとされています。サン氏の主張によれば、WLFI側はさらなる投資の継続や、Tronブロックチェーン上でのステーブルコイン「USD1」の2億ドル分の発行を要求しており、サン氏がこれらを拒否したことで態度が敵対的に変化したと訴えています。また、トークンの「バーン(焼却)」を示唆する脅迫を受けたとも述べています。
ガバナンス提案への影響とWLFI側の反応
この紛争は、WLFIのプロジェクト運営にも影響を及ぼしています。WLFIは2026年4月15日に新たなガバナンス提案を公開しました。この提案には、早期投資家のトークンに対して、2年間のクリフ(権利確定開始までの期間)を含む4年間のベスティング(段階的な権利付与)を課す内容が含まれています。
サン氏は、自身のトークンが凍結されているため、この重要な提案に対する投票権を行使できない状態にあると説明しています。サン氏は提訴前に話し合いによる解決を試みたものの、WLFI側が凍結解除を拒否したため、法的手段を選択したとしています。一方で、WLFI側はサン氏の主張を「根拠のないもの」として全面的に否定しています。なお、サン氏は今回の法的紛争にかかわらず、トランプ大統領個人やその暗号資産推進政策への支持は継続する意向を表明しています。
ポイント
- ジャスティン・サン氏が、保有する約7500万ドル相当のWLFIトークン凍結を巡り、プロジェクト側を提訴しました。
- サン氏は、追加投資やTron上でのステーブルコイン発行の要求を拒否したことが、不当な凍結や投票権剥奪につながったと主張しています。
- WLFI側はサン氏の主張を否定しており、早期投資家のトークン流通を制限する新たなガバナンス提案を行っています。
- 巨額の投資を行ったアドバイザーとプロジェクト側の決裂は、DeFiプロジェクトのガバナンスや資産管理の透明性の観点から注目されます。