米デリバリー大手のDoorDash(ドアダッシュ)が、決済特化型ブロックチェーン「Tempo(テンポ)」を通じて、配達員(Dashers)や加盟店への報酬支払いにステーブルコインを活用する計画を明らかにしました。これまで暗号資産の枠組みに留まっていたステーブルコイン決済が、主流の消費者向け支払いインフラへと本格的に浸透し始めたことを象徴する動きとして注目されています。
ギグワーカーと加盟店への支払いを効率化
DoorDashは、世界40カ国以上で展開する自社のプラットフォームにおいて、ステーブルコインによる支払いオプションを導入する予定です。この取り組みは、配達員や加盟店に対して、より迅速かつ低コストな報酬の受け取り手段を提供することを目的としています。
従来の銀行送金(ACH等)では決済完了までに1日から3営業日を要する場合がありましたが、Tempoネットワークを活用することで、24時間365日、1秒未満での即時決済が可能になるとされています。特に国境を越えた支払いにおいて、為替手数料の削減や送金遅延の解消が期待されており、DoorDashの共同創設者であるアンディ・ファン氏は、金融インフラを革新するステーブルコインの可能性に期待を寄せています。
決済に特化した「Tempo」ブロックチェーンの背景
今回の決済基盤となるTempoは、決済大手のStripe(ストライプ)とベンチャーキャピタルのParadigm(パラダイム)によって共同開発された、決済業務に最適化されたブロックチェーンです。2026年3月にメインネットを稼働させたばかりの新しいネットワークですが、すでに50億ドルの評価額を得ており、Stripeの主要な資金移動インフラとしても機能しています。
Tempoは一般的な汎用ブロックチェーンとは異なり、法定通貨に連動するステーブルコインの決済に特化して設計されています。そのため、大量のマイクロペイメント(少額決済)を低コストで処理できる能力を備えており、DoorDashのような大規模なマーケットプレイスでの運用に適しています。
業界全体に広がるステーブルコイン活用の動き
ステーブルコインを実務的な決済フローに組み込む動きは、DoorDash一社に留まりません。Tempoネットワークには、StripeやCoastal Bank(コースタル銀行)、中南米のフィンテック企業であるARQなどが既に参画しており、実際の決済運用を開始、あるいは準備を進めています。
また、Tempoは企業がステーブルコイン決済を導入する際のコンサルティングを行う「ステーブルコイン・アドバイザリー」サービスも開始しました。VisaやMastercardといった既存の決済大手もインフラパートナーとして名を連ねており、ステーブルコインが投機的な資産から、実社会の経済活動を支える「標準的な決済レイヤー」へと進化しつつあることが示されています。
ポイント
- DoorDashが配達員と加盟店への報酬支払いにTempoブロックチェーンとステーブルコインを採用。
- 世界40カ国以上を対象に、従来の銀行送金よりも迅速で安価な決済手段の提供を目指す。
- TempoはStripeとParadigmが開発した決済特化型チェーンであり、1秒未満の即時決済を実現。
- StripeやCoastal Bankなど、複数の金融・決済企業が同ネットワーク上で実務的な決済を開始。
- ステーブルコインが特定のコミュニティ内での利用を超え、主流の商用決済インフラへと移行している。