BTQ Technologies(以下、BTQ)が、韓国で初となる銀行主導の韓国ウォン(KRW)ステーブルコインの概念実証(PoC)において、耐量子セキュリティ技術を導入したことが明らかになりました。このプロジェクトは、Kakao系のKlaytnとLINE系のFinschiaが統合して誕生した「Kaia(カイア)」メインネット上で行われています。将来的な量子コンピュータの脅威からデジタル資産を保護し、銀行主導の安全な決済インフラを構築する試みとして、ブロックチェーン業界および金融業界から注目されています。
銀行主導によるKRWステーブルコイン実証実験の概要
今回の実証実験は、DGBフィナンシャルグループ傘下のiMバンク(旧大邱銀行)が主導し、韓国のフィンテック企業であるFinger Inc.およびカナダを拠点とする耐量子暗号技術企業のBTQが提携して実施されています。韓国において銀行が主体となり、パブリックなレイヤー1ブロックチェーン上でウォン連動型ステーブルコインの実証を行うのは今回が初の事例とされています。
このプロジェクトでは、銀行の準備金とブロックチェーン上で発行されるステーブルコイン供給量のリアルタイムな照合、標準化されたスマートコントラクトのデザイン、さらには海外への流通に向けた接続性などが検証される予定です。
耐量子暗号技術「QSSN」によるセキュリティ強化
BTQは、自社の耐量子セキュリティ技術である「Quantum Secure Stablecoin Settlement Network(QSSN)」を今回のプロジェクトに提供しています。量子コンピュータの実用化が進むと、従来の暗号方式が突破されるリスクが懸念されていますが、QSSNは「ポスト量子暗号(PQC)」を用いることで、こうした将来的な脅威に対抗するように設計されています。
この技術の特徴は、既存の暗号フレームワークとポスト量子暗号を組み合わせた二重署名構造にあります。これにより、現在の金融システムとの運用継続性を維持しながら、将来の高度なサイバー脅威に対する安全性を先行して確保することが可能になるとされています。
基盤インフラとしてのKaiaメインネット
本プロジェクトの基盤には、2024年にKlaytnとFinschiaの統合によって設立されたKaiaメインネットが採用されました。Kaiaは、1秒という短いブロック生成時間と即時確定性(ファイナリティ)を備えており、機関投資家や金融機関が求める高い決済性能を実現するよう設計されたブロックチェーンです。
韓国の主要なメッセージングアプリであるKakaoTalkやLINEのエコシステムとも親和性が高く、銀行主導のステーブルコインが一般消費者の決済やビジネスシーンへ浸透していくための重要なインフラとしての役割を担っています。
ポイント
- iMバンク、Finger Inc.、BTQの3社提携による、韓国初の銀行主導KRWステーブルコインの実証実験です。
- BTQが開発した耐量子暗号技術(QSSN)を導入し、将来的な量子コンピュータの脅威への対策を講じています。
- 基盤となるブロックチェーンには、高い決済性能を持つKaiaメインネットが採用されました。
- 銀行準備金とのリアルタイム照合や、グローバルな流通に向けた技術的検証が行われる点で注目されます。
- 伝統的な金融機関が最先端の暗号技術とパブリックブロックチェーンを統合する、先進的な事例となる可能性があります。