Telegramの創設者であるパベル・デュロフ氏は、ブロックチェーン「The Open Network(TON)」の決済確定(ファイナリティ)時間が0.6秒に達したとするデータを共有しました。これはビットコインの決済時間に比べて約6,000倍高速であり、主要なレイヤー1(L1)ブロックチェーンの中で最も速い水準にあると主張されています。この性能向上は、数週間前に実施されたメインネットのアップグレードが背景にあります。
決済確定速度の向上と主要チェーンとの比較
デュロフ氏が共有したデータによると、TONの決済確定時間は約0.6秒を記録しています。これは、取引がブロックチェーン上で最終的に承認され、覆らなくなるまでの時間を指します。
他の主要なレイヤー1ブロックチェーンと比較すると、ビットコイン(BTC)の決済確定には通常約1時間を要するとされており、TONはこれよりも劇的に短い時間で取引を完了できることになります。また、外部のデータ分析によると、TONの速度はAvalanche(約1秒)やBNB Chain(約1.1秒)などの他の高速なチェーンをも上回っているとされています。
技術的背景:メインネットのアップグレード
今回の性能向上は、2026年4月に実施された「Catchain 2.0」と呼ばれるメインネットのアップグレードによって実現したと見られています。このアップグレードにより、ブロックの生成時間が従来の約2.5秒から400ミリ秒(0.4秒)へと大幅に短縮されました。
また、新しいストリーミングレイヤーの導入により、アプリケーションへの状態更新をより迅速に行えるようになったとされています。これにより、ユーザーがアクションを起こしてからチェーン上で確認されるまでの遅延が最小限に抑えられ、従来のWeb2アプリケーションに近い操作感を提供することが可能になったと見られています。
ビジネスへの影響とTelegramエコシステム
この高速な決済性能は、10億人以上のユーザーを抱えるメッセージングアプリ「Telegram」内でのビジネス展開において重要な意味を持ちます。特に、アプリ内での小額決済(マイクロペイメント)や、Telegram上で動作する「ミニアプリ」の利便性を高めるための必須条件とされています。
一方で、ブロック生成速度の向上に伴い、ネットワークのインフレ率が上昇する可能性も指摘されています。バリデーター(ネットワークの承認者)への報酬が増えることで、年間インフレ率が従来の約0.6%から3.6%程度に上昇するとの予測もあります。これは、ネットワークの速度向上と経済設計(トークノミクス)のバランスをどう取るかという、新たな課題を提示しているとも捉えられます。
ポイント
- TONの決済確定時間が0.6秒に到達し、主要なレイヤー1ブロックチェーンの中で最速水準となったことが注目されます。
- ビットコインの決済確定時間(約1時間)と比較して約6,000倍の高速化を実現しており、実用性の面で大きな優位性を持つ可能性があります。
- 4月に実施されたメインネットのアップグレード(Catchain 2.0)により、ブロック生成時間が400ミリ秒に短縮されたことが技術的な要因とされています。
- Telegramの巨大なユーザー基盤における決済やミニアプリの操作感を、従来のアプリと同等にするための重要なステップと見られます。
- 性能向上のトレードオフとして、ネットワークのインフレ率が上昇する可能性があり、今後の経済的な影響が注視されます。