国内の大手銀行や証券会社、外資系金融機関が連携し、日本国債をトークン化(ブロックチェーン技術を用いてデジタル証券化すること)する仕組みの導入に向けた動きが明らかになりました。2026年内の運用開始を目指しており、ブロックチェーン上で発行・流通させることで、24時間365日の取引を可能にする計画です。この取り組みは、決済にステーブルコイン(法定通貨と価値が連動するように設計された暗号資産)を活用することで、機関投資家の資金効率を大幅に向上させる可能性を秘めています。
ステーブルコイン活用による「T+0」即日決済の実現
今回の構想では、日本国債をデジタル証券(セキュリティ・トークン)化し、その決済手段としてステーブルコインを用いることが検討されています。現在、日本の国債取引は、取引成立から決済までに1日を要する「T+1」というサイクルが一般的ですが、ブロックチェーン技術とステーブルコインを組み合わせることで、即日決済を意味する「T+0」が可能になるとされています。
まず対象となるのは、国債を担保に金融機関が短期資金を貸し借りする「レポ市場」です。世界のレポ市場は約16兆ドル規模に達しており、日本はその約1割を占めるとされています。この巨大な市場をオンチェーン化(ブロックチェーン上で管理・運用すること)することで、資金調達のスピード向上や運用の柔軟性が高まることが期待されています。
国内外の主要金融機関が参画し推進体制を構築
このプロジェクトには、国内3メガバンクをはじめ、東京海上ホールディングス、大和証券、SBI証券といった国内大手金融機関に加え、ブラックロック・ジャパンやステート・ストリート信託銀行などの外資系企業も参加します。事務局は、デジタル資産の発行・管理基盤を手がけるProgmat(プログマ)が務める予定です。
今後のスケジュールとして、2026年5月中に取引システムの開発・導入に向けた組織を立ち上げ、同年10月には税制や法的な論点を整理した報告書を公表する計画です。これまで日本国内でのデジタル証券(セキュリティ・トークン)の活用は不動産分野が先行してきましたが、国債という金融市場の中核をなす資産がトークン化されることで、機関投資家向けの資金市場そのものがデジタル化される重要な局面を迎えています。
ポイント
- 日本国債をトークン化し、2026年内にも24時間365日の取引を可能にする仕組みが導入される見通しです。
- ステーブルコインを決済に活用することで、現在の「T+1」決済から「T+0(即日決済)」への短縮による資金効率の向上が図られます。
- 国内3メガバンクやブラックロック・ジャパンなど、国内外の主要な金融機関が連携してシステム開発を進めます。
- 年間約1.6兆ドル規模とされる日本のレポ市場(国債担保の資金貸借市場)が最初の主な対象となります。
- 2026年10月には、実用化に向けた法的・税制面の課題をまとめた報告書が公表される予定です。