DeFi(分散型金融)プロトコルのHyperliquid(ハイパーリキッド)、Pump.fun(ポンプファン)、edgeX(エッジエックス)の3種が、直近30日間で合計9630万ドル(約150億円)をトークン保有者に還元したことが明らかになりました。これは2026年におけるDeFiセクターの中で最大規模の還元額となります。従来のトークン新規発行(エミッション)に頼るモデルから、実際の収益を基盤とした還元モデルへの転換が、Web3業界の新たな潮流として注目されています。
収益還元モデルの多様化とHyperliquidの独自性
今回の9630万ドルという還元額は、市場全体の手数料成長が停滞する中で達成されました。特筆すべきは、3つのプロトコルがそれぞれ異なる仕組みで還元を実施している点です。
Hyperliquidは、30日間で5095万ドルの収益を上げ、その全額をHYPEトークン保有者に還元しました。同プラットフォームは「Assistance Fund(アシスタンス・ファンド)」を通じて、取引手数料の約97〜99%を市場でのHYPE買い戻しに充てています。ユーザーへの追加インセンティブ(報酬としてのトークン配布)をゼロに抑えつつ、純粋な取引収益のみでこの還元額を実現した点が、他のプロジェクトとの大きな違いです。
一方、ソラナ(Solana)基盤のミームコイン・ローンチパッドであるPump.funは、これまで収益の100%を買い戻しに充ててきましたが、最近になってモデルを変更しました。現在は収益の50%を買い戻しとバーン(トークンを永久に流通から取り除くこと)に充て、残りの50%を成長資金に充てる方針を採っています。また、信頼性の証明として、供給量の約36%に相当する3億7000万ドル分のトークンをバーンしたことも報告されています。
持続可能性における課題と今後の展望
3つのプロトコルの中で、edgeXは収益の約3倍に相当する金額を還元したとされています。これは、TGE(トークン生成イベント)を控えたインセンティブ期間やエアドロップ(トークンの無料配布)に向けた施策としての側面が強く、収益を上回る還元を行っている状態です。
この比較から、業界内ではHyperliquidのモデルが最も持続可能性(サステナビリティ)が高いと見られています。新規トークンの発行による希薄化を避け、実際の利用手数料から価値を創出する「リアル・イールド(実質利回り)」の仕組みが、投資家やビジネスパーソンにとっての評価基準となりつつあります。
Hyperliquidは、パーペチュアル取引(無期限先物取引)におけるシェアを拡大させており、2025年初頭の44%から、2026年5月時点では60%を超える市場支配力を獲得しています。このように、強固なプロダクト収益をトークン価値に直接結びつける設計が、次世代DeFiの標準モデルとして議論を呼んでいます。
ポイント
- 30日間で約9600万ドルの還元
Hyperliquid、Pump.fun、edgeXの3プロトコルによる合計還元額であり、DeFiセクターにおいて極めて高い水準です。
- Hyperliquidの「純収益還元」モデル
新規トークン発行によるインセンティブを排除し、取引手数料のみを原資として買い戻しを行う仕組みが、持続可能性の観点から高く評価されています。
- インセンティブ依存からの脱却
従来のDeFiが抱えていた「トークン価格の希薄化」という課題に対し、実際のプロダクト収益を保有者に分配する「リアル・イールド」への移行が鮮明になっています。
- Pump.funの戦略的転換
100%の収益還元から、50%を成長投資に回すモデルへ移行。大規模なトークンバーンを実施し、供給量の管理とプラットフォームの成長を両立させる姿勢を示しています。
- edgeXのインセンティブ主導モデル
収益を上回る還元を実施しており、TGE(トークン生成イベント)に向けたユーザー獲得フェーズにあると見られます。今後の収益性と還元のバランスが注目されます。