ナスダック上場のビットコイン関連企業ナカモト(Nakamoto Inc.)は、2026年5月20日、1対40の株式併合を実施すると発表しました。同社の株価は過去1年で99%超下落しており、今回の措置はナスダックの上場維持基準である「最低株価1ドル」を回復し、上場廃止を回避することを目的としています。ビットコインの価格下落に伴う巨額の評価損が業績を大きく圧迫する中、暗号資産を財務資産として保有する企業の財務リスクを示す事例として注目されます。
株式併合の実施内容と背景
ナカモトが発表した株式併合(リバース・スプリット:複数の株式を統合して1株にすること)は、アメリカ東部時間5月22日午前0時1分(日本時間同日午後2時1分)に発効します。同日の取引開始から、併合された株価ベースでの売買が開始される予定です。
今回の1対40という併合比率は、5月8日に開催された株主特別総会にて承認された「1対20から1対50」の範囲内で決定されました。これにより、同社の発行済株式数は約6億9610万株から約1740万株へと減少します。
この措置の背景には、同社の株価が長期にわたり低迷していることがあります。2026年5月20日の終値は前日比7.5%安の0.16ドルと最安値圏にあり、52週高値の34.77ドルからは99.5%以上も下落しています。同社は2025年12月10日、アメリカ証券取引委員会(SEC)から、株価が30営業日連続で1ドル未満となったため警告を受けており、上場を維持するためには2026年6月8日までに株価を是正する必要がありました。
業績悪化とビットコイン評価損の影響
株価低迷の主な要因は、同社の急激な業績悪化にあります。ナカモトが発表した第1四半期決算では、2億3880万ドル(約382億800万円)の純損失を計上しました。
この赤字の大部分を占めているのが、同社が保有する暗号資産ビットコイン(BTC)の評価損です。当四半期中にビットコイン価格が23%下落したことに伴い、保有する5,058 BTCに対して1億200万ドル(約163億2000万円)を超える評価損が発生しました。
同社はこの四半期中、ビットコインの追加購入を見送っただけでなく、企業の運営費を捻出するために保有分から284 BTCを売却せざるを得ない状況に追い込まれていました。
ナカモトの企業概要とこれまでの歩み
ナカモトは、テネシー州ナッシュビルに本拠を置くビットコイン関連事業のグローバル持株会社です。2025年5月にヘルスケア企業であったKindlyMDが合併を通じてビットコイン財務戦略を打ち出し、その後2026年1月に現在の「Nakamoto Inc.」へと社名を変更したとされています。
同社は、ビットコイン専門メディア「Bitcoin Magazine」を運営するBTC Inc.や、ビットコインに特化した資産運用会社であるUTXO Managementなどを傘下に持っています。ビットコインを企業の主要な財務資産として保有する「デジタル資産トレジャリー企業(DATCO)」の先駆的な存在として注目されていましたが、市場のボラティリティが企業の財務健全性に与える影響の大きさが浮き彫りとなっています。
ポイント
・ナスダック上場のナカモトが、上場維持基準である株価1ドル以上を回復するため、1対40の株式併合(5月22日発効)を発表しました。
・同社の株価は、2025年5月のビットコイン財務戦略開始直後の25ドル超から99%超下落し、最安値圏である0.16ドルまで落ち込んでいました。
・第1四半期に2億3880万ドルの純損失を計上しており、そのうち1億200万ドル超が保有する5,058 BTCの評価損によるものです。
・財務悪化に伴い、同社はビットコインの追加購入を停止し、運営費を賄うために284 BTCを売却する事態となっていました。
・暗号資産を財務資産として保有する企業モデルにおいて、市場の価格変動が企業の存続や上場維持に直結するリスクを示す事例として業界内で注視されています。