米国の超党派下院議員グループが、暗号資産活動への課税に明確性と一貫性をもたらすための税制改正法案「PARITY Act」の最新版を提出しました。この法案は、日常的な少額決済において生じる煩雑な課税処理を緩和することを目指し、内国歳入庁(IRS)を監督する財務省に対して少額取引の免税措置の検討を求めています。実現すれば、暗号資産の決済利用における利便性が大幅に向上する可能性があると見られており、Web3業界や一般ユーザーの双方にとって重要な進展となります。
超党派による税制改正法案「PARITY Act」の提出
米国の超党派下院議員グループは2026年5月19日、暗号資産活動への課税に明確性、一貫性、常識的なガードレールをもたらすことを目的とした「PARITY Act」の最新版を提出しました。この法案はスティーブン・ホースフォード下院議員らによって同日に発表され、マックス・ミラー下院議員らも提出に関わっています。
法案の正式名称は「Digital Asset Protection, Accountability, Regulation, Innovation, Taxation, and Yields Act」とされています。マックス・ミラー下院議員は声明の中で、米国がイノベーションで世界をリードし続ける一方で、現在の税制が暗号資産や現代の金融テクノロジーの急速な成長に対応できていないと指摘しています。暗号資産業界はかねてより、日常的な少額の暗号資産取引を課税対象から外す法案を可決するよう議会に求めてきました。
財務省に対する少額取引の免税検討と調査の要求
今回提出された「PARITY Act」の最新版には、少額取引に対する課税免除規定そのものは直接盛り込まれていません。その代わりに、内国歳入庁(IRS)を監督する財務省に対し、少額取引に対する課税免除を検討し、既存の権限の下でどのような救済措置を提供できるかについて、180日以内に暫定的な指針を示すよう求めています。
また、法案は以下の具体的な調査や検討も要求しています。
・少額の暗号資産取引に伴う暗号資産保有者の税負担の調査
・内国歳入庁(IRS)に報告されている200ドル未満の取引件数の調査
・少額取引に対する課税免除が実現した場合に想定される不正利用の検討
・納税者に追加的な申告負担を課すことなく、不正行為を検知・抑止する仕組みの検討
業界への影響と今後のスケジュール
この法案は、財務省に対して180日以内に暫定的な指針を示すよう求めているため、今後半年程度で具体的な救済措置や指針が提示される可能性があります。
現状、米国では暗号資産を用いた少額の決済であっても、取引のたびに税務上の計算や報告が必要となるため、日常的な決済手段としての普及を妨げる大きな要因となっています。この法案を通じて財務省による検討が進み、少額取引の課税負担が軽減されれば、暗号資産やステーブルコインの実用性が高まり、決済分野でのイノベーションがさらに促進される可能性があると見られます。
ポイント
・超党派の米下院議員グループが、暗号資産税制を近代化するための「PARITY Act」最新版を提出しました。
・法案では少額決済の免税規定を直接設けるのではなく、財務省に対して既存権限による救済措置を検討し、180日以内に暫定指針を示すよう求めています。
・内国歳入庁(IRS)に報告されている200ドル未満の取引件数や、保有者の税負担、免税化された場合の不正利用対策についても調査を要求しています。
・日常的な暗号資産決済における煩雑な税務処理を緩和し、金融テクノロジーの成長を後押しする一歩として業界から注目されています。