Cardano(カルダノ)の創設者であるチャールズ・ホスキンソン(Charles Hoskinson)氏は、ブロックチェーンの研究資金に関する重要な提案が日本の委任代表者(dRep)らから反対されたことを受け、エコシステムの研究体制が崩壊する危機にあると警告しました。この提案は、提携大学や開発企業による暗号技術やスケーラビリティの研究を支援するために3,290万ADAの資金を求めるものです。ホスキンソン氏は、提案が否決されれば専門の研究者らを失い、研究ラボの閉鎖を余儀なくされる可能性があると述べており、今回の事態はCardanoが掲げる科学的アプローチのアイデンティティと、分散型ガバナンスのあり方を問う重要な局面となっています。
資金調達プロポーザルの否決危機と創設者の警告
Cardanoのエコシステムにおいて、学術研究や基盤開発の継続を目的とした3,290万ADAの研究資金調達プロポーザル(提案)が否決される危機に瀕しています。
この提案は、Cardanoの開発を主導するInput Output Global(IOG)や提携大学における、ポスト量子暗号、ゼロ知識証明、スケーラビリティなどの先端技術研究を支援するためのものです。しかし、日本の複数のdRep(Delegate Representatives:分散型ガバナンスにおいて投票権を委任された代表者)がこの提案に反対票を投じたことが明らかになりました。
これを受け、創設者のチャールズ・ホスキンソン氏は5月20日、自身のXアカウントで日本語の投稿を行い、深い悲しみを表明するとともに、「Cardanoは科学者(研究者)を失い、私たちの研究ラボは閉鎖を余儀なくされるだろう」と強い警告を発しました。同氏によると、この研究グループは長年かけて構築されたものであり、一度資金の確実性が失われれば、代替の研究体制を再構築することは極めて困難であるとされています。
分散型ガバナンスと「サイエンス・コイン」のアイデンティティを巡る議論
今回の事態は、Cardanoが誇る「科学的アプローチに基づくブロックチェーン」というブランドアイデンティティの揺らぎと、分散型ガバナンスの課題を浮き彫りにしています。
Cardanoは、査読(ピアレビュー)を経た研究論文や学術的な証拠に基づく開発を特徴としており、コミュニティでは「サイエンス・コイン」とも称されてきました。ホスキンソン氏は、今回の資金問題について「自分個人の問題ではなく、エコシステムの核心を破壊しかねない問題である」と強調し、研究への長期的な投資の重要性を訴えています。
一方で、Cardanoコミュニティ内からは、分散型ガバナンスの仕組みにおいて、投票結果はたとえ創設者や指導層の意に沿わないものであっても尊重されるべきだという意見も上がっています。意思決定の分散化が進む一方で、エコシステムの長期的な競争力を維持するための資金配分をどのように決定すべきか、難しい判断を迫られていると見られます。
今後のスケジュールと投票の現状
この研究資金提案が承認されるためには、Cardanoのガバナンス憲法に基づき、アクティブなdRepのステークのうち67パーセント以上の承認が必要とされています。しかし、現在のところアクティブなdRepのステークの約81パーセントがこの提案に反対していると報じられており、可決は極めて厳しい状況です。
ホスキンソン氏は、ADAの保有者に対し、長期的な研究活動を支持するdRepへ投票権を委任するよう呼びかけています。この提案に関する投票の最終期限は、2026年6月8日に設定されています。
ポイント
- 3,290万ADAの研究資金提案が否決の危機に直面しています。ポスト量子暗号やゼロ知識証明などの研究を支援するための提案に対し、日本のdRepを含む多くの投票者が反対しています。
- 研究ラボ閉鎖と研究者流出の懸念があります。創設者のチャールズ・ホスキンソン氏は、資金が確保できなければ長年築いてきた研究チームが解散し、ラボが閉鎖されるリスクがあると警告しています。
- 「サイエンス・コイン」としてのアイデンティティが揺らぐ可能性があります。査読ベースの開発を特徴とするCardanoにとって、研究体制の縮小はブランドの根幹を揺るがす懸念があります。
- 分散型ガバナンスのあり方を巡る議論が活発化しています。コミュニティ内では、ガバナンスによる決定を尊重すべきだとする意見と、長期的なエコシステムの競争力を優先すべきだとする意見が対立しています。
- 投票期限は2026年6月8日です。可決に必要な67パーセントの承認に対し、現在は約81パーセントのステークが反対しています。