ハーバード大学の基金を運用するハーバード・マネジメント・カンパニー(HMC)が、保有していたイーサリアムの現物上場投資信託(ETF:特定の資産価格に連動することを目指す投資信託)をすべて売却したことが、2026年第1四半期の米証券取引委員会(SEC)への提出書類で明らかになりました。同基金は2025年第4四半期にブラックロックのイーサリアムETFを約8700万ドル相当取得したばかりでしたが、新規取得からわずか1カ月で全売却に至っています。一方でビットコインETFの保有は継続しており、伝統的な機関投資家が暗号資産への投資スタンスを厳選し始めている動きとして注目されます。
新規取得からわずか1カ月でイーサリアムETFを全売却
HMCが2026年第1四半期にSECへ提出した書類によると、同基金は2025年第4四半期に新規取得したブラックロックのイーサリアムETFであるiShares Ethereum Trust(ETHA)をすべて売却しました。
前四半期における取得額は約8700万ドル(約134億9000万円、1ドル155円換算)相当でしたが、新規取得からわずか1カ月でポジションを完全に解消したことになります。ETHAは米国の現物イーサリアムETF市場において主要な投資商品の一つとされていますが、同基金は早期の撤退を選択しました。
ビットコインETFは保有比率を引き下げるも継続
イーサリアムETFを全額売却した一方で、HMCはビットコインETFについては保有を継続しています。
同基金が保有するブラックロックのビットコインETFであるiShares Bitcoin Trust(IBIT)の保有量は、2025年第4四半期から約250万口減少したものの、2026年第1四半期時点で約300万口を維持しています。ビットコインの保有比率は引き下げられたものの、暗号資産への露出を完全にゼロにしたわけではなく、ビットコインへの投資を選択的に残している状況がうかがえます。
背景にある市場価格の低迷と開発組織の動揺
HMCがイーサリアムETFの保有を急速に見直した背景には、市場環境の悪化とエコシステムにおける不確実性が影響していると見られます。
イーサリアム(ETH)の価格は、2025年8月に記録した史上最高値の約5000ドルから50%下落しています。さらに、イーサリアムの技術開発やエコシステムを支援する非営利団体であるイーサリアム財団(Ethereum Foundation)では、2026年に入ってから主要な開発者やリサーチャーなどの人材流出が続いているとされています。こうした価格の低迷や組織的な動揺が、機関投資家であるHMCに保有ポジションの早期見直しを促した可能性があります。
ポイント
- ハーバード大学の基金(HMC)が、2025年第4四半期に約8700万ドルで新規取得したブラックロックのイーサリアムETF(ETHA)を、わずか1カ月で全売却したことが判明しました。
- 同基金はブラックロックのビットコインETF(IBIT)についても保有比率を引き下げ、約250万口を売却したものの、約300万口の保有は継続しています。
- イーサリアム価格が2025年8月の最高値(約5000ドル)から50%下落していることに加え、イーサリアム財団からの主要人材の流出が続いていることが、保有見直しの要因となった可能性があります。
- 世界最大級の大学基金であるハーバード大学基金の動向は、伝統的な金融機関や機関投資家が暗号資産ポートフォリオを再評価・選択する動きを象徴する事例として注目されます。