JPYCがシリーズBで累計約50億円を調達へ 日本円ステーブルコインの利用拡大に向け基盤を強化

日本円ステーブルコイン「JPYC」を発行・運営するJPYC株式会社は、シリーズBラウンドにおいて累計約50億円の資金調達を実施する見込みであることを発表しました。今回の調達には、地方金融機関や大手生命保険会社の関連ファンドなどが新たに参加しています。調達資金はシステム開発や人材採用、決済関連事業の拡充などに充てられ、日本円ステーブルコインの社会実装に向けた基盤強化が進められます。これにより、国内外における実用的な決済手段としての普及がさらに加速すると見られます。

金融機関系ファンドが参画し約50億円規模の資金を確保

JPYCがシリーズBで累計約50億円を調達へ 日本円ステーブルコインの利用拡大に向け基盤を強化

JPYC株式会社が発表したシリーズBラウンドでの累計調達額は、約50億円に達する見込みです。今回のラウンドには、追加投資家としてLife Design Fundに加え、いよぎんホールディングス、阿波銀キャピタル、そして明治安田生命の関連ファンドが新たに参加しました。

調達した資金の具体的な使途として、同社は以下の領域への投資を挙げています。

  • システムおよびアプリケーションの開発
  • 優秀な人材の採用
  • 発行・償還および決済関連事業の拡充
  • 新たなユースケースの創出や戦略的提携

同社は2025年8月に資金移動業者としての登録を完了し、同年10月に日本円ステーブルコイン「JPYC」の発行を開始しました。提供開始から約7カ月で口座開設数は1万8000件に達しており、累計発行額は2026年5月18日時点で25億円を突破、総取引高は350億円を超えるなど、実需に基づいた利用が急速に拡大しています。

利便性向上に向けたプラットフォームの刷新とマルチチェーン展開

JPYCは、実用性の向上と利用シーンの拡大に向けた技術的・機能的なアップデートを相次いで実施しています。

まず、公式の発行・償還プラットフォームである「JPYC EX」において、1回あたりの発行上限を従来の「1日100万円」から「1回100万円」へと変更しました。これにより、大口の取引や頻繁に利用するユーザーの利便性が大幅に向上するとされています。

さらに、マルチチェーン展開の一環として、新たにKaiaチェーンでの発行にも対応しました。Kaiaチェーンは、カカオのKlaytnとLINEのFinschiaが統合されて誕生した、アジア最大級のエコシステムを持つレイヤー1ブロックチェーンとされています。この対応により、アジア圏をはじめとするグローバルな流動性の確保や、新たなデジタル金融サービスの創出が期待されます。

LINEウォレットUnifiとの連携とクロスボーダー決済への展望

一般ユーザーへの普及に向けた取り組みも加速しています。2026年5月22日より、LINEアプリ上で手軽に利用できるステーブルコインウォレット「Unifi」において、JPYCの取り扱いが開始されました。Unifiは、LINE NEXT社が提供する自己管理型のウォレットとされています。身近なLINEアプリ上でJPYCが利用可能になったことで、一般生活者の日常的な決済や送金に浸透するための大きな一歩になると見られます。

また、同日にはクロスボーダー(国境を越えた)ステーブルコイン決済サービスである「トレーダム ペイメント」の記者発表会が東京都内で開催され、JPYC代表取締役の岡部典孝氏がゲストとして登壇しました。岡部氏はステーブルコインのクロスボーダー利用や、前述のJPYC EXにおける発行上限変更の意義について言及しており、日本円ステーブルコインが国内にとどまらず、国際的な決済手段としての役割を担う方向性が示されています。

ポイント

  • JPYC株式会社がシリーズBラウンドで累計約50億円を調達する見込みとなり、地方銀行や大手生命保険会社の関連ファンドが新たに参加したことで、事業の信頼性と基盤がより強固になりました。
  • 提供開始から約7カ月で口座開設数1万8000件、累計発行額25億円、総取引高350億円超を記録し、決済や送金の実需が急速に拡大している点が注目されます。
  • 「JPYC EX」の発行上限を「1回100万円」へ緩和し、アジア最大級の「Kaiaチェーン」へ対応したことで、大口取引の円滑化とアジア圏を中心としたグローバル展開の基盤が整いました。
  • LINEアプリ上で動作する「Unifi」ウォレットに対応したことで、一般ユーザーが複雑なブロックチェーン技術を意識せずに日本円ステーブルコインを日常的に利用できる環境が実現しました。
  • クロスボーダー決済サービス「トレーダム ペイメント」との連携など、法人の国際決済や新たな決済ユースケースの創出に向けた取り組みが本格化しています。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用や、AI×ブロックチェーン領域における事業開発・実装に関する情報を発信する編集チームです。株式会社Pacific Metaが、グループ累計260社以上・41カ国以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

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