レイヤー1ブロックチェーンのSuiは、手数料(ガス代)を支払うことなくステーブルコインを送金できるプロトコルレベルの新機能をメインネットで開始しました。これにより、Suiネットワーク上での対象ステーブルコインの送金手数料は0.00ドル(無料)となります。ユーザーや企業は、手数料支払いのためにネイティブトークンであるSUIを別途保有・管理する必要がなくなり、対応ステーブルコインのみでP2P(ピア・ツー・ピア)送金を完結させることが可能です。今回のアップデートは、Web3決済における最大の障壁の一つであったガストークン管理の複雑さを解消し、実用的な決済インフラとしての普及を後押しするものと見られます。
ガス代不要の送金機能と対応ステーブルコイン
Suiがメインネットで開始した新機能は、ステーブルコインの送金時に発生するネットワーク手数料(ガス代)を不要にするものです。これにより、Sui上での対象ステーブルコインの送金手数料は完全に0.00ドルとなりました。
従来のブロックチェーン送金では、ネットワークのネイティブトークンを手数料用としてウォレットに別途用意する必要があり、これが一般ユーザーや企業の参入における大きな摩擦となっていました。今回の機能導入により、ユーザーはガストークンの残高を気にすることなく、ステーブルコインだけで送金を完結できるようになります。
開始時点で対応しているステーブルコインは、以下の7銘柄です。
- USDコイン(USDC)
- USDsui(Suiの独自ネイティブステーブルコイン)
- SuiUSDe
- AUSD
- FDUSD
- USDB
- USDY
新システム Address Balances と主要パートナーの参画
今回のガス代無料化機能は、同時にメインネットへ導入された新しいアカウント型残高システムである「Address Balances(アドレス・バランシズ)」によって技術的に支えられています。このシステムは、オンチェーンでの資金の保管や送金プロセスを簡素化しつつ、高いパフォーマンスとスケーラビリティを維持する仕組みとされています。
本機能の導入にあたっては、暗号資産カストディ(保管・管理)大手のFireblocks(ファイアブロックス)が支援を行いました。さらに、サービス開始当初から以下の主要なカストディ機関や暗号資産取引所が対応を表明しています。
- Anchorage Digital(アンカレッジ・デジタル)
- BitGo(ビットゴー)
- Coinbase(コインベース)
- OKX
- Robinhood(ロビンフッド)
Suiの開発を主導するMystenLabs(ミステン・ラボ)の共同創業者兼最高製品責任者(CPO)であるAdeniyi Abiodun(アデニイ・アビオドゥン)氏は、ステーブルコインがグローバル金融の中核になりつつある一方で、従来のインフラが利用者に不必要な複雑さを強いていたと指摘しています。同氏は、ガス代無料の送金によってガストークン管理という最大の障壁が取り除かれることの意義を強調しました。また、FireblocksのRan Goldi(ラン・ゴルディ)決済・ネットワーク担当シニアバイスプレジデントも、Suiがオンチェーン決済を構築する企業の摩擦を取り除く正しい一手を打ったと評価しています。
ビジネスへの影響とグローバル決済レールとしての位置づけ
このアップデートは、Web3ビジネスを展開する企業や開発者にとって極めて重要な意味を持ちます。
送金コストが完全に予測可能(0.00ドル)になることで、これまで手数料が課題となっていた1セント未満のマイクロペイメント(超少額決済)の実用化が進むと見られます。さらに、自律型AIエージェントが自動で決済を行う「エージェント型コマース」など、新しいビジネスモデルや技術カテゴリの社会実装が加速する可能性があります。
Suiネットワークは2025年8月以降、すでに1兆ドル(約160兆円、1ドル=160円換算)を超えるステーブルコイン取引を処理してきた実績があります。今回のガス代無料化により、Suiはグローバルな決済インフラとしての地位をさらに強固なものにする動きを見せています。
ポイント
- Suiがステーブルコインの送金手数料を0.00ドルにするガス代無料化機能をメインネットで開始しました
- ユーザーは手数料用のSUIトークンを別途管理・保有する必要がなくなり、ステーブルコインのみで送金が完結します
- USDCやUSDsuiなど、主要な7つのステーブルコインが開始当初から本機能に対応しています
- 新しいアカウント型残高システムであるAddress Balancesが技術的基盤となり、送金プロセスの簡素化と高いスケーラビリティを両立しています
- Fireblocksをはじめ、CoinbaseやOKXなど業界大手のカストディや取引所が初期からサポートを提供しています
- 送金コストの排除により、マイクロペイメントやAIエージェントによる自動決済など新たなユースケースの誕生が期待されます