米証券取引委員会(SEC)が、米国株式をブロックチェーン上でトークン化して取引できるようにするための「イノベーション免除」計画を延期したことが明らかになりました。市場関係者やウォール街からの懸念や反発を受けて、SECはドラフト(草案)フレームワークの公開を先送りし、フィードバックの精査を進めていると報じられています。また、SECのヘスター・パース委員は、免除の対象を実際の株式に限定し、株価に連動するだけの「合成トークン」は除外すべきだとの見解を示しました。この動きは、Web3業界における現実資産(RWA:現実世界に存在する資産)のトークン化の今後の規制方針に大きな影響を与える可能性があります。
株式トークン化の免除措置が延期された背景
SECは、暗号資産プラットフォーム等での米国株式トークン化取引を可能にする「イノベーション免除」のドラフトフレームワークを、早ければ今週中にも発表する予定だったとされています。しかし、ウォール街の市場関係者や証券取引所の幹部からの強い反発や懸念を受け、計画の延期を決定しました。
主な懸念点として、発行企業の同意や関与がないまま第三者がトークンを発行・取引すること(サードパーティ・トークン)による、市場の断片化リスクが挙げられています。さらに、ブロックチェーン上で取引されるトークンに対して、従来の株主が持つ配当金や議決権といった権利を技術的にどのように保証するのかという実務的な課題も、元規制当局者などから指摘されています。
パース委員が主張する実際の株式への限定と合成トークンの除外
「Crypto Mom(クリプト・マム)」の愛称で知られるSECのヘスター・パース委員は、この免除措置の適用範囲について自身の見解を述べました。
パース委員は、免除の範囲は限定的であるべきだとし、対象となるのは投資家が現在流通市場で購入できる実際の原資産株式のデジタル表現のみに限定されるべきだと主張しています。これにより、実際の株式の裏付けを持たずに株価のみを追跡する「合成トークン(実際の株式の所有権を伴わずに株価を模倣するデジタル資産)」や「合成暗号資産製品」は、この免除措置の対象から明示的に除外されることになります。パース委員は、こうした合成トークンを提供するサードパーティに対しては、引き続き規制が適用されるべきであるとのスタンスを示しています。
ポイント
- SECは、米国株式のトークン化を可能にする「イノベーション免除」のドラフト公開を延期しました。これはウォール街や市場関係者からの懸念を受けた措置とされています。
- 発行企業の同意なしに第三者がトークンを発行することによる市場の断片化や、ブロックチェーン上での配当金や議決権の技術的保証といった実務的課題が懸念されています。
- ヘスター・パースSEC委員は、免除の対象を「実際の株式」のデジタル表現に限定し、株価を模倣するだけの「合成トークン」は除外すべきだと明言しました。
- この決定とパース委員のスタンスは、今後のRWAトークン化市場の法的な枠組みや、DeFi(分散型金融)プラットフォームにおけるトークン設計に影響を与える可能性がある点で注目されます。