米国の証券市場インフラを担うDTCC(米証券保管振替機関)は、34銘柄の証券を対象としたトークン化サービスを正式に開始しました。同サービスにはJPモルガンやシティ、モルガン・スタンレーを含む20社のDTC(預託信託会社)参加企業がアクセス契約を結んでいます。対象となる証券の規模は約30兆ドルに達し、従来のウォール街の中核的な証券取引インフラとブロックチェーン技術の統合を進める大きな一歩として注目されます。
オンチェーン金融の動きは、総研プライムの週刊レポート「今週のオンチェーン金融」で毎週追っています。最新号を読む(初月無料)
オンチェーン金融の事業検討について、Pacific Metaに相談できます。支援内容を見る
株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。
大手金融機関が参画する30兆ドル規模のトークン化基盤
DTCCのトークン化サービスは、34銘柄の証券を対象に提供が開始されました。この取り組みには、すでにJPモルガン、シティ、モルガン・スタンレーをはじめとする20社がアクセス契約を締結して参画しています。
DTCCは米国の株式や債券などの清算・決済業務を広く担う機関とされており、今回対象となる34銘柄は合計で30兆ドル規模に達します。ウォール街の基幹インフラを担うDTCCが大手金融機関とともにブロックチェーン上で証券を扱う仕組みを実稼働させたことは、従来の金融資産がブロックチェーン環境へ移行する動きを大きく後押しするものと見られます。
Canton NetworkとBesuを採用し実務に合わせた運用を実施
本サービスは、金融機関向けネットワークであるCanton NetworkおよびプライベートブロックチェーンのBesu上で稼働しています。なお、Besuはイーサリアム互換の企業向けブロックチェーン基盤として知られています。
運用面においては、24時間行われるトークン転送に対して、従来の証券形態とトークンとの転換注文(コンバージョン注文)は限定された時間帯で処理される運用スケジュールが採用されています。常時稼働するブロックチェーンの特性を活かしつつ、既存の証券決済実務の制約や枠組みに合わせた設計が取られている点が特徴です。
ポイント
- DTCCが30兆ドル規模に相当する34銘柄を対象にトークン化サービスを開始し、伝統的証券のオンチェーン化を前進させた点
- JPモルガン、シティ、モルガン・スタンレーなど大手金融機関20社が早期に参加契約を締結している点
- Canton NetworkとプライベートチェーンBesuというエンタープライズ向けインフラ上で展開されている点
- 24時間のトークン移転に対応する一方で転換注文は限定スケジュールで運用するなど、既存金融実務と接続させた運用の点で注目されます