今話題のNFT作品は、大手編集部も乗り出すアートの新たな取り組みともいえます。
今回Pacific Metaマガジンでは、NFT漫画について以下の内容を中心にご紹介します。
- そもそもNFTとは何のこと?
- NFT漫画はどのようにして売られる?
- 人気作品もNFT化されている?
- NFT漫画を買えるサイトはどこ?
- NFT作品のメリット・デメリットは?
NFTとは
NFT(Non-fungible Token)をそのまま直訳すると、代替不可能なトークンという意味になります。
簡単にいうと、NFTとは唯一性が証明された無二のデータのことです。
今までデジタルの作品は、アナログの作品と違って作者本人であるという証明ができないという難点がありました?
しかし、偽造や改ざんができないようにするブロックチェーン技術というものを使うことで、唯一性を保証することができるようになったんです。
このブロックチェーン技術を利用して作られたデータのことをNFTと呼びます!
現在NFTは主にデジタルアートに使用されており、非常に高い値段で作品がやり取りされることもあるんですよ✨
NFT漫画とは
ブロックチェーン技術を使って作られる作品のなかには、イラストだけでなく漫画やアニメも存在します。
確かにデータの唯一性を証明できるのは良いことですが、どうしてこんなにも大きな話題になっているのか分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実は、NFTとして作品を発行することで、それ以外にもさまざまなメリットがあるんです✨
最近では、週刊少年ジャンプの集英社や週刊少年マガジンの講談社などの大手編集部もNFT漫画の発行に乗り出しているんですよ。
次項では、NFTによって作られた漫画の特徴やメリットについてご紹介します。
NFT漫画の特徴やメリット
NFTとして漫画を発行することで、作者にとって多くのメリットが存在します。
そのメリットについて一つ一つ詳しくご紹介いたします。
作品の唯一性を証明できる
まず挙げられるのはやはり作品における唯一性の証明です。
アナログ作品は作者によって作られ、作者によって保存されるため、簡単に唯一性を証明することができました。
印刷して販売されようが、他者によってコピーされようが、原本という存在が証明においてとにかく強かったんですね。
一方でデジタル作品は原本というものが存在せず、データを複製するだけで簡単に元の作品と同様のものを複数生み出すことができてしまっていました?
しかし、複製や改ざんを防ぐブロックチェーン技術の開発によって、デジタル作品にも作品の唯一性を証明することができるようになったんです。
ブロックチェーン技術の開発は、デジタル作品における大きな進歩といえるでしょう!
二次流通で収益を得られる
ブロックチェーン技術の開発によって作品の唯一性が証明できるようになった今、NFT作品では転売に関する管理も容易になりました。
NFTでは作品の販売時に条件を細かく設定することができます。
その条件のうちの一つであるロイヤリティ機能では、作品が二次流通市場で売られたときにもクリエイターに一部収益が入ってきます。
今までは作者にとって何の利益にもならなかった転売ですが、NFTを利用すれば希少価値による転売での価格高騰の恩恵をクリエイターも受けることができるようになります?
海賊版への対策になり得る
無断で作品を複製して販売や配信を行う海賊版は、法律上の知的財産権を一切無視したものとして長らく問題視されてきました。
しかし、ブロックチェーン技術ならばこのような複製や改ざんが不可能ですので、海賊版を制作することができません!
実はNFTを使うことは、海賊版への対策にもなるんです。
特に漫画業界では、勝手にデータを盗んで発売前に掲載する海賊版サイトが乱立していたため、NFTの導入によりこれらのサイトの一掃に繋がりました。
NFTを導入している出版社のなかでは、週刊少年ジャンプの集英社や週刊少年マガジンの講談社もあります。
これら漫画業界のなかでも大手の出版社が導入していることから、今後NFTはデジタル業界において必須級のものになっていくことが予想されます✨
NFT漫画ではどんなものが販売されている?
ここまでブロックチェーン技術を利用した漫画について、NFT漫画とひとくくりに紹介してきました。
しかし、実はNFT漫画といっても原画や表紙イラストなど、さまざまな売り方があるんです!
ここではNFT漫画がどのような形で売られているのかについてご紹介します。
原画
今のところ、売られているNFT漫画のなかでも最も多い形態が原画です。
NFT作品における原画というのは、原画を落とし込んだデジタルデータのことをいいます。
週刊少年ジャンプを刊行している集英社では、経年変化に弱い原画を残すための手段としてNFT化を進める方針を選択しました✨
デジタルデータを原画としてブロックチェーンに記録することで、原画としての価値を半永久的に保存するということですね。
集英社から発売されている『ONEPEACE』や、『真珠の耳飾りの少女』などの代表作が有名な芸術家フェルメールの作品など、広い世代の原画がNFT化されてきています!
セル画
セル画とは、アニメの制作過程において透明シートに描かれる絵のことをいいます。
昔はこのセル画を使ったいわゆるセルアニメが主流でしたが、現在では3Dなどを駆使したデジタルアニメが主とされています。
アニメファンからすれば、スタッフが自らの手で描いたセル画はお宝のようなものですね。
そんなセル画もNFT化によって半永久的な保存の試みがなされています!
日本でもNFTマーケットプレイスにおいて、スタジオジブリによる『となりのトトロ』『天空の城ラピュタ』などのセル画がNFT作品として販売されていますよ?
表紙イラスト
漫画の表紙は基本的にカラーで描かれており、多くの読者の目を惹き付けるための作者の腕の見せ所です。
そんな表紙イラストもNFT作品として販売されることがあります。
2022年4月には、シリーズ累計発行部数1,500万部を誇る『神の雫』という作品の表紙と背景原画がNFT化されました。
NFT作品はやはり原画を元にしているだけあって非常に高価ですが、コアなファンにとってはそれだけの価値があるものです!
古い作品でも、作者のデジタルへの理解が深ければ、NFT作品として再会できる可能性がありますよ✨
作中の1コマ
原画、セル画、表紙はやはり希少価値が高く、販売されていても非常に高価です。
NFT漫画を買ってみたいと思っても、なかなか手が出せない価格ですよね?
そんな方におすすめしたいのが、作中の1コマをNFT化したものです。
『北斗の拳』では、「漢の死に様シリーズ~南斗六聖拳~」として漫画コマの原画が複数NFT化して販売されました。
漫画のコマなら原画やセルがよりも価格が低いので、NFT漫画を始めて買うという方にもおすすめですよ。
NFTとして販売されている漫画タイトル10選
ここからはNFTを取り入れて販売を行っている漫画を紹介していきます!
ONE PIECE
週刊少年ジャンプを刊行している集英社では、早い段階からNFTという仕組みを取り入れてきました✨
大人気作品である『ONEPEACE』でも、さまざまな形でNFT化が行われています。
2021年9月には国内のブロックチェーン証明サービスを利用し、『ONEPEACE』を活版印刷したものをNFT化して販売を開始しています。
また、『ONEPEACE』はNFT化された原画を10~20部と限定して活版印刷を行い、サインを入れて販売しています。
このことはファンの間で大きな話題を呼び、インターネットオークションでも高い値段がつけられました。
code:ノストラ
NFTプラットフォーム「Kollektion」からは、ヤングマガジンで連載されている『code:ノストラ』のNFT化された原画作品が発売されました。
全51ページを5部ずつ、全255部を販売したところ、なんと12時間で完売したといいます。
なかには30ページもの原画をまとめて購入した方もいたようです!
新連載の作品でもここまでの注目を集めるNFT漫画は、やはり今後も見逃せないコンテンツへと成長していくことでしょう?
左ききのエレン
『左ききのエレン』という作品から発売されたNFT作品は、漫画そのものの原画ではありません。
登場人物である山岸エレンが描いたストリートアートをNFTアートとしてオークション販売されました。
漫画の原画とは少し違った形での試みですが、こちらも大きな注目を集めています!
今回発売されたストリートアートは「黒い化物」と「チェルシーの夜」の2点です✨
出品後10分と経たずに100万円を突破し、最終的に「黒い化物」は約330万円「チェルシーの夜」は約500万円もの価格で落札されました。
魔法使いの嫁
『魔法使いの嫁』からは、なんとフィギュアがNFT作品として販売されています。
このフィギュアは3D AR フィギュアと呼ばれているもので、ARテクノロジーを駆使して制作されました。
ARというのは現実世界にバーチャルの視覚情報を重ねることで仮想的に現実を拡張するというもので、分かりやすい例えでいえば『ポケモンGO』などが挙げられますね!
そんなARテクノロジーを使ったフィギュアはデジタルデータを元として制作されるため、手彫りでは難しい立体感を演出できるんです?
シュート!
古くから愛されている人気サッカー漫画『シュート!』からは、生原稿を使用したNFT漫画が販売されています。
1巻と2巻の表紙カラー原画は、画用紙にポスターカラーを使って描かれています。
また、厳選された12シーンの生原稿からランダムで3点のモーメントが入ったパックも発売されました✨
作者の試し描きもそのままNFT化されているため、ファンにとっては見逃せないNFT作品となっています。
マーケットやモバイルで馴染み深い楽天による「Rakuten NFT」から販売されており、決済にも楽天ポイントを使用できるようです!
神の雫
前述の通り、『神の雫』からもNFT作品が販売されています。
『神の雫』は全世界でシリーズ累計発行部数が1,500万部を超えた大人気漫画で、その作品における表紙と背景イラストがNFT化されました。
第1弾では1巻~10巻の各巻の表紙・背景イラスト原画が発売され、オークションにて完売しています!
第2弾では引き続き11巻~20巻の表紙・背景イラスト原画が発売されることになっています?
進撃の巨人
『進撃の巨人』からもNFT作品が販売されています。
講談社とNFT事業を主とするAniqueが提携し、NFT作品をシリーズ販売することが発表されました。
ブロックチェーン証明サービスは「Flow」を利用することになっており、アメリカのみでの発売となっております。
『進撃の巨人』は日本のみならず世界中にファンがいるため、この発表にも大きな注目が集まりました✨
北斗の拳
こちらも前述の通り、『北斗の拳』からは作中の1コマが発売されています。
NFTマーケットプレイス「FanTop」が運営となっており、『北斗の拳 漢の死に様シリーズ』としてシリーズ販売されました。
第1弾の南斗六聖拳ボックスはなんとわずか2時間で完売し、第2弾の南斗五車星ボックスも多くの人気を集めたようです。
「FanTop」サービス開始とともに発売された『北斗の拳』シリーズが大好評でしたので、今後もシリーズ販売が続く可能性は高いでしょう✨
NFT漫画の取引ができるプラットフォーム6選
ここでは、NFT漫画の取引ができるプラットフォームについて紹介します。
OpenSea
OpenSeaは2017年と早い段階で設立されたNFTオンラインマーケットプレイスです。
NFTの売買ができるだけでなく、NFTの生成や管理ができる万能型となっています。
出品スタイルは固定価格販売、イングリッシュオークション、ダッチオークションの3種類から選ぶことができますよ!
ロイヤリティの還元率も細かく設定が可能で、自由度の高さが特徴です?
Rakuten NFT
マーケットやモバイルで馴染み深い楽天からも、NFTマーケットプレイスが展開されています。
決済には楽天IDや楽天ポイントを使用することができるため、日本の方に利用しやすいサイトといえるでしょう。
NFTマーケットプレイスはまだまだ海外のものが主流で、英語が苦手な方には利用しにくいですよね?
楽天なら日本語メインなので、安全に取引をすることが可能です!
楽天は2016年のブロックチェーン技術に特化したラボを開設するなど、日本のなかでは早い段階でのNFT参入を計画していました。
Coincheck NFT
Coincheck NFT(β版)は、国内初となる暗号資産交換業者が運営するNFTマーケットプレイスです。
ネットワーク手数料が不要というのが嬉しいポイントで、国内初なだけあって初心者でもNFTを始めやすい環境を整えています。
決済には仮装通貨を採用しており、ビットコインやイーサリアムなどの10種類の仮想通貨での売買が可能です✨
Kollektion
Kollektionは現在ヤングマガジンと提携してNFT作品を販売しているマーケットプレイスです。
『code:ノストラ』や『チリアクタ』『女子校のこひー先生』など5作品の販売実績があり、販売したNFT作品は全て販売終了しています。
今後もヤングマガジンの作品をNFT化して販売してくようなので、ヤングマガジンをよく購読しているファンの方は今のうちにKollektionをチェックしておくとよいでしょう。
楽座
楽座マーケットプレイスでは、主にアニメのセル画のNFT作品を販売しています。
所有するセル画はスタジオジブリの『となりのトトロ』『風の谷のナウシカ』や漫画作品がアニメ化された『SLAM DUNK』『うる星やつら』『ブラックジャック』など多岐に渡ります?
2021年11月には、東京でセル画の現物を常設展示してデジタル上で購入できるストアをグランドオープンしました。
Fantop
FanTopは、先ほども紹介した『北斗の拳』漫画コマ販売を行ったNFTマーケットプレイスです。
サイトでは漫画コマだけでなく、ARデジタルスタンドや写真集の未公開カットなども販売されています。
NFT漫画と合わせて俳優のブロマイドやアーティストの歌詞カードなどもチェックしたい方は、こちらのFanTopをチェックするのがおすすめです✨
NFT漫画の購入方法
元来NFT作品を購入するには、仮想通貨を利用するのが主な手段でした。
しかし、最近ではRakuten NFTの楽天IDのように、仮想通貨以外での手段でもNFT作品の購入が可能です。
サイトによってNFT作品の購入手段は大きく異なります。
上記で紹介したように、原画が欲しいのかセル画が欲しいのかによっても利用するサイトが変わってきます!
まずは、自分がどんな作品が欲しいのかから分析していきましょう✨
NFT漫画に関する注意点
ここまではNFT漫画の良いところや具体例を紹介してきましたが、NFT漫画を購入するにあたって注意点も存在します。
ここでは、その注意点についてご紹介します。
NFT漫画を購入しても著作権は譲渡されない
NFT漫画は作品を原画として入手できる手段の一つですが、当然著作権は作者の手にあるままです。
原画を購入したからといって、その作品に介入して好き勝手できるわけではありません。
NFTというのは、原画であることを保証する手段であるだけということです。
あくまでいちファンとして、原画を楽しむために購入しましょう!
日本円に対応しているプラットフォームが少ない
先ほどもご紹介した通り、NFT市場はまだまだ海外が中心で仮想通貨を利用して取引するのが主流です。
そのため、日本円を使用しないNFTマーケットプレイスの方が多いんです。
購入しようと思っても、使用しない通貨を求められることもあります?
NFT作品を探すときは、まずは自分が使用できる通貨を扱ったサイトかどうかを確認するようにしましょう!
違法なNFT作品に注意する
安全安心な保証をテーマとしたNFTですが、デジタルである以上どうしても発生してしまうのがなりすましです。
原画が本物であるかどうかのチェックについては厳重に行われるものの、その原画をアップロードしたのが作者本人であるかどうかの確認が怠われてしまうこともあります。
海外でもクリエイターが無許可で自分の作品が販売されていたことを訴えており、NFT市場でも問題視されています?
NFTの勉強が漫画でできる
NFTのことを調べようとすると、長文の文章が大量に並んでいて頭が痛くなる方もいらっしゃいますよね。
実は、NFTを漫画で知ることができる本が販売されているんです。
『ザ・テクノロジー2030』では、今話題のテクノロジー業界における言語を漫画で解説しています!
NFTについて知りたい、NFT作品を売買したいという方は、まずはこの漫画をよんでNFTについて知っていくのはいかがでしょうか?
NFT漫画についてのまとめ
今回Pacific Metaマガジンでは、NFT漫画について以下の内容を中心にご紹介してきました。
- NFTとは唯一性が証明されたデータのこと
- NFT漫画とは原画である証明がされたデジタルデータのこと
- 『ONEPEACE』や『進撃の巨人』もNFT化されている
- NFT漫画は海賊版の対策にもなる
集英社などの大手がNFTに注目している以上、今後も作品のNFT化は進んでいくことでしょう✨
人気漫画のNFT作品は即完売してしまうので、早いうちからチェックしておくのがおすすめです。