半ばコレクションアイテムとなっていて実用性の無いNFTがなぜ売れるのかわからない、と内心感じている方も多いのではないでしょうか。
今回Pacific Metaマガジンでは、NFTがなぜ売れるのかについて説明をおこないます。
この記事で記載する内容は以下の通りです。
- NFTの基本的な特徴について
- NFTにはどういった価値があるのか
- 売れているNFTの成功事例
- 売れる/売れないNFTの特徴
- NFTを売るまでの流れ・コツについて
売れるNFTと売れないNFTの違いなどについても説明していきます。
NFTとは
NFTは日本語で非代替性トークンと訳され、技術的にもデジタルコンテンツに大きな変革をもたらそうとしています。
まずは、そんなNFTの特徴について簡単に説明します。
デジタルデータに非代替性を付加する技術でNFT化された作品
NFTは替えの利かない資産といった意味合いを持っています。
デジタルデータにトークンと呼ばれる情報を付与することによって、著作者の情報や取引履歴などが記録されるようになり、偽物の存在を許しません。
それにより全てのNFT商品は一点物となり、希少性が保たれます。
NFTの歴史はまだ浅く、市場に登場してから数年程度ですが、ここにきて一気に広まりを見せました。
あらゆるデジタルデータはNFT化できる
アート分野などがメジャーなNFTですが、理論的にはデジタルデータであれば何でもNFT化させることが可能です。
ジャンルを選ばないため、活用の幅が限定されないことが強みの1つとなっています。
NFTはなぜ売れる?
ここからは本題に入ります。
NFTが売れる代表的な理由について、4つご覧ください。
デジタル作品でも本物とコピーを判別できる
NFTは、上でも触れた「非代替性」という性質によって取引履歴が保存されているため、デジタルデータであっても本物とコピー品の区別が付くようになります。
クリエイターからすると著作権を守る手段として画期的ですし、保有者からしても希少性が確実に保たれるので安心感が得られます。
市場規模が大きい
特にアート分野などは国や言葉などに影響されないため、世界的な広がりを見せました。
経済的な影響力が大きいアメリカやヨーロッパなどでもNFTは広がっており、アメリカではスポーツ関連、フランスではアート関連の発展が見られるなど、国によっても特色が出ています。
今後、企業を巻き込んでますます規模が大きくなっていくのは間違いないでしょう。
経年劣化しないため低コストで管理・維持できる
これはデジタルデータの特徴ですが、古いものでも関係無く保存し続けることが可能です。
劣化によって価値が下がる心配も無いので、基本的には管理費もかかりません。
購入した後は場所を取らず手間もかからないので、そういった意味では気軽に手を出しやすいでしょう。
将来値上がりする投資的価値がある
現状でNFT人気が出ている理由としては、投資的な意味合いがやや強いです。
今後NFTを欲しがる人が増えて需要が高まる期待や、技術が発展していき新たなサービスが出てくる期待など、業界が盛り上がっていくことに期待を込めて投資している人が増えています。
どちらかと言えば、作品自体の価値よりも技術に対する価値を感じている方が多いと考えられるでしょう。
売れているNFTの成功事例
昔のゲームのようなドット絵が人気になるなど、人気の高さは作品自体のクオリティに比例しないケースが目立ちます。
NFTアートで成功した有名事例を3つ見ていきましょう。
CryptoPunks
CryptoPunks(クリプトパンクス)は高額NFTアートの代表格です。
こちらは2017年頃からサービスを開始しており、「世界最古のNFTアート」とも言われています。
絵自体はドット絵のシンプルなものですが、Twitterアイコンにしてステータスのように使っている方も見られます。
Crypt Ninja
Crypt Ninja(クリプトニンジャ)は、日本産のコレクティブNFTとして絶大な人気を誇っているアート作品です。
名前の通り忍者をモチーフにした全32作品のアートで、1枚につき1体ずつの忍者が描かれています。
設定や世界観がきっちりしていて、二次創作をOKとしたことでコミュニティが広がったことなどが成功の要因と考えられます。
Zombie Zoo
Zombie Zoo(ゾンビ・ズー)は、当時小学3年生(9歳)だった日本人作者が夏休みの自由研究で作ったゾンビのアートです。
高額転売されたことでニュースなどでも話題になり、その後はアニメ化プロジェクトなども進行しています。
売れる/売れないNFTの特徴
このように人気のあるNFTですが、作れば何でも良いというわけではありません。
特に最近は一般の人でも制作・販売する人が増えており、売れるものと売れないものがはっきり分かれるようになってきました。
売れるNFTの特徴
まずは売れるNFTの特徴を4つ紹介します。
買う立場になった時になぜ価値があると思うのか、なぜ買うのかを考えるとわかりやすいかもしれません。
希少性がある
そもそもNFT自体が一点物で希少性はあるのですが、さらに希少性があると思われる売り方をすることが大事です。
制作する数を少なく絞って後から追加はしないなど、レア感を出すような売り方が効果的となります。
付加価値がある
付加価値を付ける一番簡単な方法は、購入者に限定特典を付けることです。
これによりNFTの希少性をさらに強くできます。
企業であれば、取引をする度に仮想通貨を配付しているような実例もあります。
話題性がある
例えば上の見出しでも挙げた「小学3年生が夏休みの自由研究で作ったNFTアート」といった触れ込みは注目度が大幅に上がります。
NFT商品は「誰が作ったか」を重視する傾向がかなり強いので、意外性を出すやり方は有効でしょう。
別のケースでは、インドネシアの一般大学生が5年分にも及ぶ大量の自撮り画像を投稿して人気になった例もありました。
ファンの数が多い
最近では、芸能人がNFTを販売するケースもかなり増えてきました。
NFTはコレクターグッズの一環として扱われることもあるので、すでにファンがいる方であればそれだけで売れる可能性が高いでしょう。
売れないNFTの特徴
一般の人が作ったNFTは、残念ながら売れ残るケースの方が圧倒的に多数です。
考えられる要因を挙げてみました。
売れ残りが多い(投資価値がない)
物の売買において当たり前のことですが、作品の価値と値段が釣り合っていない場合は売れ残ります。
安い値段に設定し直すのが確実ですが、それでも売れないなら作品や制作者に価値を感じていないことが原因でしょう。
作品のコンセプト・統一感がない
思いついたものを片っ端から作っていては売ることは難しいです。
仮に売れたとしても、単発で後が続かないことが予想されます。
これを解決するには『Crypt Ninja』のようにコンセプトを決めて統一感を出すのが有効です。
出品する作品数は最初に決めてしまったほうが良いでしょう。
オリジナリティがない
既存のキャラクターをモチーフにしたようなアート作品などは売れづらいです。
これは音楽・動画など全てのジャンルで共通して言えます。
最悪、著作権で問題になるリスクもあるので、どこかで見たような作品を出品することは避けましょう。
マーケティング戦略を立てていない
何が売れるのかを考えて作ることは最重要です。
利益を得たいのであれば、作りたい物より売れる物を優先しましょう。
トレンド調査や宣伝などをSNSでおこなうのも有効です。
秀でたスキルを持たない一般の人が、全く宣伝しないでNFT作品を買ってもらうのは至難の業なので、マーケティングを並行しておこなうようにしましょう。
NFTを売るためのコツ
実際にどう立ち回れば売れるNFTが作れるか、コツを5つ紹介します。
顧客規模が大きいマーケットで出品する
NFTの売買はマーケットプレイスと呼ばれるWebサイトでおこなわれることが一般的です。
ユーザーの多いマーケットで出品すれば、それだけNFTを売るチャンスが広がるでしょう。
日本人だけをターゲットにしているとチャンスが減ってしまうので、時には英語のサイトにチャレンジすることも必要になります。
話題性があるジャンルを選ぶ
NFTの世界でも人気のあるトレンドはすぐに変化します。
出品されているNFTを定期的にチェックするなどして、話題になっているジャンルを選択するようにしましょう。
また、SNSで情報収集をするのも有効です。
流行の変化を見逃さないようにしましょう。
影響力のあるコレクターに売り込む
活動する中でインフルエンサーを味方につけられれば非常に大きいです。
直接商品を買ってもらえなくても、宣伝してもらえれば大きな効果となるでしょう。
SNSで情報収集をするついでに、コミュニケーションを取ることをおすすめします。
限定感を出す
希少性の話に近いですが、ユーザーへ限定感を与えることが大事です。
売れないと焦ってたくさん作ってしまいがちですが、逆に出品数を上手く絞りながら展開しましょう。
期間限定で特典をつけたりするのも有効です。
マーケティングする
企業でなくてもマーケティングは大事になります。
SNSやYouTubeなど、使える媒体で情報を発信しましょう。
マーケットプレイスを通してNFTを売買すれば、転売でも数%は著作者に利益が入ってくる仕組みなので、注目を集めれば爆発的に取引が増える可能性もあります。
NFTマーケティングのやり方
続いては、すぐ上で紹介したマーケティングについて、もう少し深掘りして紹介します。
①作品を作る前にリサーチする
まずは、どういった作品を制作するか決めるため、トレンドなどをリサーチしましょう。
マーケットプレイスの商品も検索して人気のありそうな内容をリストアップしたら、あとは自分で作れそうなものにチャレンジします。
このリサーチは、定期的に欠かさずおこなうことが大事です。
②購入者層に合わせて供給数を決める
作るものを決めるのと同時に、メインのターゲットについても考えておきます。
人気のあるジャンルは競争も激しいので、最初はニッチなところから攻めるのも戦略の1つです。
その後はターゲットに応じたコンセプトを1つ決めて、そのコンセプト内で制作する供給数を考えましょう。
また、値段の相場についてもチェックして売上の見通しを立てておきたいです。
③SNSを利用して情報発信する
宣伝については、ツイッターやインスタグラムなどのSNSを使うのがおすすめです。
ツイッターではNFTアートをアイコンに設定できる、インスタグラムではNFTのファイルを添付できるといった機能が搭載されており、NFTへの対応も日に日に進んでいます。
スマホアプリに対応しているマーケットプレイスも数多くあるので、SNSでの情報発信からほぼダイレクトに購入までいくこともできるでしょう。
NFTの始め方
最後に、NFT取引の始め方についてもご覧ください。
売る場合と買う場合、共通で簡単に説明します。
①仮想通貨取引所に口座を開設
NFTの取引はほぼ仮想通貨でおこなわれるため、まずは取引所に登録します。
ひとまずは日本の取引所で大丈夫でしょう。
日本円で取引できるマーケットプレイスも一部ありますので、どうしても仮想通貨を扱いたくない方は、そちらを利用すれば登録不要です。
②デジタルウォレットを作成
NFTを仮想通貨で売買する際は、ウォレットに仮想通貨を入れて取引することになるため、取引所とセットで準備する必要があります。
初めて作成するウォレットとしては、MetaMask(メタマスク)がおすすめです。
③NFTマーケットにウォレットを連携してアカウントを登録
マーケットプレイスに登録する際、手持ちのウォレットとマーケットを連携することになります。
MetaMaskならまず大丈夫ですが、マーケットプレイスごとに対応ウォレットは違うので注意しましょう。
④取引所で仮想通貨を購入
買いたいNFTをある程度決めてから、必要な分だけ仮想通貨を購入するのがおすすめです。
銘柄としては、対応しているマーケットプレイスが多いイーサリアムをおすすめします。
当然、他の仮想通貨を使ったほうが安く済むこともあるので、慣れてきたらレートなどを見ながら臨機応変に対応しましょう。
⑤ウォレットを経由してマーケットに送金
取引所で仮想通貨を購入した後は、ウォレットへ送金することで取引に使えるようになります。
扱う仮想通貨の種類が増えてくると、管理も難しくなってくるので気をつけましょう。
⑥マーケットでNFTを購入・販売する
購入側は、ここまで来てしまえばネット通販で買い物をするのとさほど変わりません。
売る方も、メルカリなどを知っている方なら手順をイメージしやすいでしょう。
取引には値段を予め決めておく固定価格方式や、オークション方式などが存在します。
購入や出品などの手続きには手数料がかかりますが、マーケットによってはサービスで無料にしているところもあります。
NFTはなぜ売れるについてまとめ
今回Pacific Metaマガジンでは、NFTがなぜ売れるのかについて紹介しました。
最後に改めて、ポイントをおさらいしましょう。
- NFTはデジタルデータを「替えの利かない資産」にすることが可能で、あらゆるデジタルデータはNFT化できる
- NFTは本物とコピーを判別できるという安心感があり、投資の対象としても人気がある
- アート作品としては「CryptoPunks」「Crypt Ninja」「Zombie Zoo」などの成功事例がある
- 希少性や話題性などを上手く出しているNFTは売れやすいが、統一感やオリジナリティが無いNFTは売れづらい
- NFTを売るためにはマーケットや商品ジャンルの選び方、宣伝方法なども重要になってくる
- 宣伝はターゲットを絞った上で、SNSを使っておこなうのがおすすめ
- NFTの取引をするためには仮想通貨取引所やウォレットなどの準備が必要
現状は芸術分野の取引が盛んなNFTですが、今後は電子書籍など実用的なジャンルが伸びてくることも予想されます。
世の中の需要を上手くつかみながら、売れるNFTについても考えみましょう。