米国上院において、ステーブルコインの規制枠組みを定める「Clarity Act(デジタル資産市場透明化法案)」の逐条審査(マークアップ)が2026年5月に延期される見通しとなりました。トム・ティリス上院議員がさらなる検討時間を求めたことによるものですが、シンシア・ルミス上院議員はこの遅れが法案成立の機会を逃すリスクになると警告しています。議会での立法プロセスが停滞する一方で、通貨監督庁(OCC)は独自の規制ルール策定を進めており、規制の主導権を巡る動きが活発化しています。
審議延期の背景と調整の難航
トム・ティリス上院議員(共和党)の要請により、上院銀行委員会での「Clarity Act」の逐条審査(マークアップ:法案の修正や決裁を行うプロセス)が5月に持ち越されました。延期の主な要因は、銀行業界と仮想通貨業界の間で議論が続いている「ステーブルコインの利回り(保有者への報酬)」に関する妥協案の作成に、さらなる時間が必要であると判断されたためと見られます。銀行側は、ステーブルコインに利回りが設定されることで既存の銀行預金が流出するリスクを懸念しており、規制のあり方を巡る交渉が続いている状況です。
立法機会の喪失に対するルミス議員の警告
この延期に対し、仮想通貨推進派として知られるシンシア・ルミス上院議員(共和党)は強い懸念を表明しています。ルミス議員は、現在の議会会期において法案を成立させるための「窓(機会)」が閉ざされつつあると指摘しました。具体的には、5月中に進展が見られなければ、その後の選挙に向けた政治スケジュールの影響で、法案が立ち消えになる可能性があるとされています。同議員は、今回が法案を成立させる重要な機会であると強調し、早期の審議再開を求めています。
通貨監督庁(OCC)による規制の先行
議会での立法プロセスが足踏みする一方で、米財務省傘下の通貨監督庁(OCC:連邦法に基づき銀行の監督・規制を行う機関)は、ステーブルコインに関する独自の規制ルールの策定を前進させています。これは、先行して成立した関連法案に基づき、発行体に対する資本要件やリスク管理基準などを具体化する動きとされています。立法による包括的な枠組みが定まらない中で、行政機関による実務的な規制が先行する形となっており、業界関係者は今後の法案との整合性を注視しています。
ポイント
- Clarity Actの逐条審査が、ティリス議員の要請により2026年5月まで延期されました。
- 延期の背景には、銀行預金の流出を懸念する銀行業界と仮想通貨業界との間での、利回り規制を巡る交渉が難航している可能性があります。
- ルミス議員は、5月中の進展がなければ政治スケジュールの影響で法案成立が困難になると警告しています。
- 立法が遅れる一方で、通貨監督庁(OCC)は独自の規制案を前進させるなど、実務的なルール整備を先行させています。
- 議会による法整備と行政による規制先行のどちらが主導権を握るかが、今後の米国におけるステーブルコイン規制の焦点となります。