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特集・調査2026年5月15日

Consensus Miami 2026レポート:米国主導で進むデジタル資産の制度化と実装

2026年5月5日から7日まで、マイアミビーチ・コンベンションセンターで開催された「Consensus Miami 2026」は、3日間で延べ15,000名超を集めて閉幕した。CoinDeskが主催する本イベントは、昨年のトロント開催から規模・密度ともに一段階進化した一方で、その性格は大きく変化している。かつての「クリプト業界の祭典」から、米国の制度設計と機関投資家の資本配分を中心に据えた、デジタル資産領域の旗艦会議へと明確に傾いたのだ。

本稿では、登壇者・セッション・スポンサーの3軸から、Consensusがこの1年でどのように米国中心の場へ変化したのかを整理する。そのうえで、現地取材で得た一次情報をもとに、日本の事業者・金融機関が2026年以降に読み解くべき実務的な意味合いを考察する。

筆者は本イベントでメディアパスを取得し、現地取材を行った。登壇者・主要スポンサー・規制当局関係者への取材・対話を通じて得た一次情報をもとに、本稿を構成している。Pacific Metaは2025年以来、日本国内でJapan Stablecoin Summit、Onchain Finance Summit、Blockchain Summitを継続的に主催し、国内外の機関プレイヤーとの接点を築いてきた。本稿では、その視点も踏まえながら、Consensus Miami 2026が日本の事業者・金融機関に示す意味合いを整理する。

著者:ホン・アンディ/Pacific Meta Head of Alliances

1. 数字で見るConsensus Miami 2026:米国一極化の定量検証

「Consensus」は、デジタル資産専門メディアCoinDeskが2015年から毎年主催してきた、ブロックチェーン領域の旗艦カンファレンスである。規制当局、機関投資家、伝統的金融機関、暗号資産インフラ企業、技術コミュニティが一堂に会する場として、北米最大規模のクリプト系イベントに位置づけられてきた。ニューヨーク、オースティン、トロントなどでの開催を経て、2026年は5月にマイアミビーチへと舞台を移した。

本章では、Consensus Miami 2026の輪郭を主要指標で確認したうえで、昨年のトロント開催との対比から見えてくる「米国一極化」の傾向を、登壇者・セッション・スポンサーの3軸で定量的に検証する。

まず、公式発表ベースでConsensus Miami 2026の輪郭を確認する。主要指標は以下のとおりである。

指標Toronto 2025Miami 2026
開催期間2025年5月14〜16日2026年5月5〜7日
来場者数14,771名/102カ国15,000名超/100カ国超
主要セッション数200超150超(6ステージ・3サミット・6トラック構成)
商談件数(公式集計)非公表5,000件超
関与金融機関の公称AUM規模非公表$4兆AUM超

注目すべきは、来場者総数の伸びそのものではない。むしろ、AUMや商談件数といった出席者の質的指標が、前面に押し出された点である。主催者であるCoinDeskが、ラップアップ通信のヘッドラインに「15,000名・150セッション・5,000商談」を据えたこと自体が、Consensusの自己定義の変化を物語っている。

次回開催は2027年5月4〜6日に再びマイアミビーチ、その翌年2028年は5月9〜11日にニューヨークでの開催が予告されている。2026年・2027年と続けてマイアミを開催地に選んだこと、そしてその次の都市の開催地をニューヨークに選んだことは、米国におけるデジタル資産制度形成と資本集積の接点が、当面マイアミ・ワシントン軸に置かれるという主催者側の意思表示とも読める。

続いて、Consensus Miamiが昨年のトロント開催と比較して、どの程度米国中心のイベントへ変化したのかを、スピーカーの活動拠点、セッションが参照する規制管轄、スポンサーHQ所在地の3軸で検証する。なお、スピーカーについては企業の登記上の所在地ではなく、実際の活動拠点を基準に分類している。数値は公式アジェンダ、登壇者・スポンサー情報、会期中の関連発表をもとに、筆者が推定値として整理した(以下、各表の数値はいずれも筆者調べ・推定)。

1-1. スピーカーの活動拠点

活動拠点Toronto 2025Miami 2026
米国約58〜62%約74〜78%
カナダ約14〜17%約3〜5%
欧州約10〜12%約8〜10%
アジア太平洋約8〜10%約7〜9%
その他約3〜5%約2〜4%

※筆者調べ・推定

トロントで一定の存在感を持っていたカナダ系規制当局・取引所関係者は、マイアミでは政策セッションにおける存在感を大きく落とした。代わって目立ったのは、ホワイトハウス顧問のPatrick Witt氏、Kirsten Gillibrand上院議員、Tether法務最高責任者Jesse Spiro氏ら、米国の政策・制度設計に近い登壇者である。米国における制度実装の「当事者」たちが、ステージの中央に並んだ。

1-2. 米国規制を主題にしたセッションの比率

主参照管轄Toronto 2025Miami 2026
米国(連邦・州)約55%約80〜85%
カナダ約25%約5%
グローバル(MiCA・FATFなど)約20%約10〜15%

※筆者調べ・推定

マイアミでは、GENIUS Act(連邦ステーブルコイン法)、CLARITY Act(市場構造法)、SAB 121撤回後の銀行カストディ実務、州レベルのDeFi規制論が、Stablecoins Track、Policy Summit、School of Stablecoinsの3つの場で繰り返し論じられた。Day 2のメインステージでは、ホワイトハウスのデジタル資産アドバイザーであるPatrick Witt氏が、CLARITY Actについて7月4日を一つの目標時期として、議会での通過に向けたスケジュール感を示した。

1-3. スポンサー本社所在地の地理分布

HQ所在Toronto 2025Miami 2026
米国約55%約70%
カナダ約8〜10%ほぼ消失
その他約35%約30%

※筆者調べ・推定

トロントでは、Wealthsimple、Bitbuy、WonderFi、Coinbase Canadaといったカナダ国内勢が主要スポンサーに並んだ。マイアミでは、BlackRock、Citi、JPMorgan(Kinexys)、Mastercard、Fidelity、DTCC、Swift、PayPal、S&P Global、Cantor Fitzgerald、Deloitte、KPMG、PwC、Grant Thornton、Baker & McKenzie、Morgan Lewisといった伝統的金融機関・四大監査法人・大手法律事務所の存在感が明確に高まった。

つまりマイアミは、スポンサー構成を見ても、「クリプトネイティブ企業中心のイベント」から「伝統的金融機関がデジタル資産領域に実装フェーズで関与する場」へと位相を変えている。

2. 会期中アナウンスから読み取れる4つの論点

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