欧州委員会は2026年5月20日、欧州連合(EU)の包括的な暗号資産規制枠組みである「暗号資産市場規制(MiCA)」の運用状況について、利害関係者および一般市民から意見を収集する協議を開始したと発表しました。この協議は、暗号資産市場の拡大とそれに伴う政策環境の変化に対応し、現行の枠組みが依然として目的に適しているかを評価することを目的としています。先行して包括的な規制を導入したEUが、施行から約2年で見直しに着手することは、急速に変化する世界の暗号資産規制環境への対応姿勢を示すものとして注目されます。
運用状況を評価する2つの協議プロセス
欧州委員会は、2024年に施行されたMiCA(Markets in Crypto-Assets:暗号資産市場規制)が、現在の市場環境において適切に機能しているかを検証します。MiCAは、暗号資産や資産参照型トークン、電子マネートークン(ステーブルコイン)、それらの発行者、および暗号資産サービスプロバイダー(CASP)を対象とする、EU域内で統一された規制枠組みです。
今回の協議は、以下の二本立てで実施されます。
- 個人を対象に広く意見を募る「パブリックコンサルテーション」
- 暗号資産の発行者やサービス提供者、金融機関、技術提供者、学術機関、業界団体、消費者団体、EU公的機関などを対象とし、技術的・法的論点を扱う「ターゲテッドコンサルテーション」
意見募集の期間は2026年8月31日までとなっており、集まった意見は今後の政策策定に活用される予定です。
背景にあるグローバルな規制環境の変化と米国の動向
欧州委員会が早期の見直しに着手した背景には、MiCA策定後も暗号資産市場が進化を続けていることに加え、世界の政策・規制環境が大きく変化していることが挙げられます。
特にアメリカでは、トランプ政権下で暗号資産に対して友好的な姿勢が鮮明化しており、デジタル資産市場の規制管轄を明確にする「CLARITY法」やステーブルコインを規制する「GENIUS法」といった包括的な規制整備が急速に進んでいます。このように世界の規制競争が激化する中、EUは市場の実態や国際的な動向を踏まえ、現行の枠組みを更新する必要があるかどうかを検証するとしています。
ポイント
- 欧州委員会が2026年5月20日に、EUの暗号資産規制「MiCA」の運用状況を評価するための協議(意見募集)を開始しました。
- 意見募集は2026年8月31日まで実施され、個人向けのパブリックコンサルテーションと、事業者や専門家向けのターゲテッドコンサルテーションの二本立てで行われます。
- 2024年に施行されたMiCAですが、市場の進化や世界の政策環境の変化に対応するため、施行から約2年で早くも見直しの検証が行われます。
- アメリカで「CLARITY法」や「GENIUS法」などの包括的な規制整備が進み、世界の規制競争が激化する中、EUが迅速に対応姿勢を示すことで、国際的な規制の主導権を維持する狙いがあると見られます。