Deelが独自の米ドルステーブルコイン「DLUSD」をローンチ、米国の銀行口座不要でワーカーへの米ドル払いを可能に

グローバル給与プラットフォームを提供するDeelは、2026年6月3日、米ドルに裏付けられた独自のステーブルコイン「DLUSD」の提供を開始しました。このサービスは、米国の銀行口座を持たない世界中の契約業者が、米ドル建てのデジタルバランスを保有し、報酬を獲得し、消費できるように設計されています。これにより、急激な現地通貨の価値下落に直面する地域のワーカーを保護し、国境を越えた報酬支払いのプロセスを大幅に簡素化する役割を果たすと期待されています。

米国の銀行口座不要で米ドルの価値を維持・消費可能に

Deelが独自の米ドルステーブルコイン「DLUSD」をローンチ、米国の銀行口座不要でワーカーへの米ドル払いを可能に

Deelは、世界150カ国以上で4万の企業と150万人のワーカーに給与・コンプライアンスサービスを提供するグローバルプラットフォームです。今回導入された「DLUSD」は、Deelアプリ内で提供されるステーブルコインウォレットを通じて利用可能な、米ドルと1対1で価値が連動するデジタルバランスです。

これにより、アルゼンチンのような自国通貨のインフレ率が高い市場の契約業者は、米国の銀行口座を所有していなくても、米ドル建てで報酬を維持できるようになります。2025年のデータによると、アルゼンチンの契約業者の85パーセントが現地通貨ではなく米ドルでの支払いを希望していたとされており、今回の取り組みはこうした実需に応えるものとされています。

Stripeの暗号資産インフラによる3層の技術アーキテクチャ

このステーブルコインウォレットの裏側には、決済大手Stripeの暗号資産(仮想通貨)インフラが全面的に採用されています。具体的には、以下の3つの要素が組み合わされており、企業として初の統合事例とされています。

  • Bridge(Stripe傘下):米ドル準備金に裏付けられたカスタムステーブルコイン「DLUSD」を、そのOpen Issuanceプラットフォームを介して発行します。
  • Privy(Stripe傘下):各契約業者のウォレットをDeel既存のインターフェース内に組み込み、鍵管理などを担うインフラを提供します。
  • Tempo(ParadigmとStripeがインキュベート):支払いに特化したレイヤー1ブロックチェーン(ブロックチェーンの基盤となるネットワーク)です。すべての取引がTempo上で決済され、ほぼ即時かつ低コストでの国境を越えた送金を実現します。

これらの技術はバックグラウンドでシームレスに機能するため、利用者はブロックチェーンの複雑な仕組みを意識することなく、通常のデジタルウォレットとして米ドルベースの残高を管理できます。また、Deelカードを通じて世界中の加盟店でこの残高をそのまま消費することも可能です。

今後のグローバル展開と対象地域

DLUSDのウォレット機能は、ローンチ時点ではアルゼンチンから提供が開始されており、数週間以内にラテンアメリカの他市場へ、その後2026年中にアジア太平洋(APAC)、中東・北アフリカ(MENA)、アフリカ地域へと段階的にロールアウトされる予定です。ただし、米国、英国、オーストラリア、EU諸国、および制約のある一部の国(ロシア、北朝鮮など)は対象外となっています。

ポイント

  • 給与プラットフォーム大手Deelが、米ドル裏付けの独自デジタルバランス「DLUSD」を2026年6月3日にローンチしました。
  • 米国の銀行口座を持たないグローバルな契約業者が、現地通貨のインフレから資産を守り、米ドル建てで報酬を保有・消費できるようになります。
  • Stripeの暗号資産インフラ(Bridge、Privy、Tempo)を統合した初の製品であり、利用者はブロックチェーンを意識せずシームレスに利用可能です。
  • サービスはまずアルゼンチンから提供が開始され、2026年中にラテンアメリカ、アジア太平洋、中東・北アフリカ、アフリカ地域へと順次拡大される予定です。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用や、AI×ブロックチェーン領域における事業開発・実装に関する情報を発信する編集チームです。株式会社Pacific Metaが、グループ累計260社以上・41カ国以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

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