米国ワシントン州シアトルの連邦地方裁判所は、海外の詐欺グループが架空の石油・ガス投資スキームでだまし取った資金約9710万ドルのマネーロンダリング(資金洗浄)に関与したとして、ワシントン州ニューカッスル在住のジェフリー・K・オヨン被告に禁錮5年の実刑判決を言い渡しました。オヨン被告は多数のペーパーカンパニーや銀行口座、暗号資産取引所の口座を開設し、資金をビットコインやイーサリアムなどの暗号資産に変換して共謀者に送金していました。今回の判決は、暗号資産を用いた大規模な不正資金洗浄に対する規制当局の厳しい姿勢を示す事例として、Web3業界におけるコンプライアンスの重要性を改めて浮き彫りにしています。
事件の概要と判決内容
2026年6月9日、シアトルの連邦地方裁判所において、マネーロンダリング共謀の罪でジェフリー・K・オヨン被告(47歳)に禁錮5年の実刑判決が下されたと報じられています。オヨン被告は2024年8月に逮捕され、2026年2月に有罪を認めていました。
米国司法省などの発表によると、オヨン被告は2022年6月から2024年8月にかけて、海外の詐欺グループが主導する架空の石油・ガス投資スキームの資金洗浄を手助けしていました。この詐欺スキームは、被害者に対して石油タンクの保管容量を購入・賃貸することで多額の利益が得られると持ちかけ、エスクロー(取引の安全性を保証するための第三者預託)口座を装って資金を騙し取る手口だったとされています。
洗浄オペレーションの手口と規模
オヨン被告は、被害者からの資金を受け取るため、少なくとも9つのビジネスエンティティ(ペーパーカンパニー)を設立していました。さらに、24の金融機関に少なくとも81の銀行口座を開設し、8つの異なる暗号資産取引所に19の口座を開設していたとされています。
これらの口座を通じて合計約9710万ドルを受け取り、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、テザー(USDT)、USDコイン(USDC)などの暗号資産に変換した上で、共謀者の暗号資産アドレスや口座に送金していました。オヨン被告はこのスキームを通じて400万ドル以上の手数料を受け取っていたことを認めています。さらに、起訴された後も16ヶ月にわたり共謀者と連絡を取り続け、妻の銀行口座を通じて不正な手数料を受け取り続けていたことが指摘されています。
資産の没収と賠償
合意内容に基づき、オヨン被告は被害者に対して約2470万ドルの賠償金を支払うことに同意しています。また、約230万ドルの現金や資産の没収に応じたほか、暗号資産ウォレットから押収された約710万ドルの民事没収についても異議を唱えないことに同意したとされています。
業界への影響と意義
今回の事件は、暗号資産が依然として大規模なマネーロンダリングの手段として利用されている実態を示すとともに、司法当局がブロックチェーン上のトランザクションを追跡し、不正資金を特定・押収する能力を向上させていることを証明しています。Web3業界のビジネスパーソンにとっては、暗号資産取引所や金融サービスにおけるKYC(顧客確認)やAML(アンチマネーロンダリング:資金洗浄防止対策)の徹底が、法的リスクを回避し、業界全体の信頼性を維持するために不可欠であることを再認識させる事例となっています。
ポイント
- ワシントン州の男が、架空の石油・ガス投資詐欺で得られた約9710万ドルの資金を暗号資産などに変換して洗浄したとして、禁錮5年の実刑判決を受けました。
- 被告は9つのペーパーカンパニー、81の銀行口座、19の暗号資産口座を開設し、資金をビットコインやイーサリアム、ステーブルコインに変換して共謀者に送金していました。
- 被告は400万ドル以上の手数料を受け取っており、起訴された後も妻の口座を通じて不正な資金を受け取り続けていたことが指摘されています。
- 被告は約2470万ドルの賠償金支払いに同意したほか、押収された約710万ドル相当の暗号資産などの没収に同意しました。
- 司法当局による迅速な追跡と押収は、暗号資産を用いた不正資金洗浄に対する監視網が強化されていることを示しており、業界におけるAMLコンプライアンスの重要性が改めて注目されます。