大手信用格付け機関のムーディーズ・レーティングスは、ブロックチェーンのソラナ上で信用格付けをオンチェーン化する取り組みを発表しました。機関投資家向け債券トークン化プラットフォームのアルファレジャーとの連携により、同社のトークン統合エンジンであるTIE(Token Integration Engine)がソラナのメインネットに対応します。これにより、発行体はソラナ上に直接、機械可読な形で信用格付けを組み込むことが可能になります。本取り組みは、主要なパブリックかつパーミッションレスなブロックチェーンにおける初めての本格的な格付け統合事例として、Web3業界における現実資産(RWA)のトークン化をさらに前進させる可能性があると見られます。
信用格付けをトークン化資産のメタデータに直接統合
ムーディーズは、アルファレジャーとの連携を通じて、自社のトークン統合エンジン「TIE」をソラナのメインネットに拡張しました。これにより、アルファレジャー上でトークン化された債券などの固定利回り証券の発行体は、ムーディーズの信用格付けを資産レベルでソラナのブロックチェーン上に直接組み込むことが選択可能になります。
信用格付けが、パブリックかつパーミッションレス(参加に管理者の許可を必要としない開かれた環境)なブロックチェーン上で、機械可読(コンピュータで直接処理可能)な形で統合されるのは今回が初めてです。これにより、トークン化されたアセットそのものに格付け情報がネイティブに組み込まれることになります。
許可型ネットワークからパブリックチェーンへの展開
今回のソラナメインネットへの展開は、段階的な実証と導入を経て実現しました。
ムーディーズとアルファレジャーは、2025年6月にソラナの開発用ネットワーク(デブネット)にて、地方債の信用格付けをソラナ上のトークン化証券に直接付与する実証実験を完了させていました。
その後、2026年3月に、ムーディーズは機関投資家向けの許可型(参加に管理者の許可を必要とする制限された環境)ブロックチェーンであるカントン・ネットワークにおいて、初めてTIEを導入しました。今回のソラナメインネットへの拡張は、許可型ネットワークでの実績を踏まえた、パブリックチェーンにおける次の展開にあたります。
RWA市場のインフラ高度化と投資家への影響
債券やファンドなどの伝統的資産をブロックチェーン上で表現する「トークン化」の動きが広がるなか、所有記録や価格データ、コンプライアンス情報といった周辺インフラをオンチェーンに移行する動きが進んでいます。
債券投資において、発行体の信用リスクを評価する「信用格付け」は極めて重要な情報です。これをトークン化証券に直接組み込むことで、投資家やアプリケーションは、別のデータベースや市場端末を参照することなく、独立した信用評価に直接アクセスしやすくなります。
ムーディーズのデジタル経済戦略責任者であるラジーブ・バムラ氏は、投資家が取引する場所がオンチェーンに移行するにつれて、オンチェーンでの独立した信用分析が必要とされていると指摘しています。また、ソラナ財団のニック・デュコフ氏は、今回の統合によってソラナ上のトークン化された現実資産(RWA)が、世界の投資家にとってより透明で相互運用性が高く、アクセスしやすいものになると述べています。
ポイント
- ムーディーズが信用格付けをソラナのメインネット上でオンチェーン化し、トークン化資産への直接組み込みを可能にしました。
- 主要なパブリックかつパーミッションレスなブロックチェーンにおいて、機械可読な形で信用格付けが統合されるのは初の事例です。
- 2025年6月のソラナ上での実証実験、および2026年3月の許可型チェーンであるカントン・ネットワークへの導入を経て、パブリックチェーンへの展開が実現しました。
- 外部のデータベースを参照せずに信用リスクを評価できるようになるため、現実資産(RWA)トークン化市場の透明性と利便性が向上する点で注目されます。