カナダのビットコインマイニング企業HIVE Digital Technologies(以下、HIVE)は、AI子会社であるBUZZ High Performance Computing(以下、BUZZ)を通じて、総額約2億2000万ドルのGPUクラウド契約を締結したと発表しました。この契約は、AIスタートアップのCohere向けに、大手電気通信会社Bell CanadaのAI基盤を活用して3年間にわたり計算基盤を提供するものです。本件は、HIVEが暗号資産マイニング事業からAIインフラ分野へと本格的に事業を拡大している象徴的な事例として注目されます。
契約の概要と財務への影響
HIVEの発表によると、同社の子会社であるBUZZは、大手電気通信会社Bell CanadaのAI基盤「Bell AI Fabric」を活用し、AIスタートアップ企業であるCohere向けに3年間のGPUクラウド契約を締結しました。契約総額は約2億2000万ドル(約352億円、1ドル=160円換算)に上ります。
この契約により、HIVEには年間約7000万ドル(約112億円)の経常収益が新たに加わる見通しです。既存の約3500万ドル(約56億円)の収益と合わせることで、同社の契約済み高性能計算(HPC)収益は1億ドル(約160億円)を突破することになります。この発表を受け、市場ではHIVEの株価が時間外取引で約10%上昇しました。
技術的背景とカナダ国内での役割
本契約に基づき、BUZZはブリティッシュコロンビア州メリットにあるBell CanadaのAIファブリック施設に、NVIDIAの「Grace Blackwell GPU」を2304基導入します。これにより、カナダの政府や企業顧客向けにサービスを提供するCohereのエンタープライズAIモデル専用となる、高度な計算基盤が構築されます。
このインフラはすべてカナダ国内に設置される予定です。これは、外国が管理するAI技術への依存度を減らし、国内での技術自立を目指すカナダ政府の広範な取り組みを後押しするものと見られます。
なお、各企業や技術の基本情報として、HIVEはビットコインのマイニングや高性能計算(HPC)インフラの提供を行う企業とされています。子会社のBUZZは高性能計算やAI向けのインフラ構築を担う企業とされています。また、Cohereはカナダのトロントを拠点とし、企業向けの大規模言語モデル(LLM)などを開発するAIスタートアップ企業とされています。Bell Canadaはカナダの大手電気通信会社であり、同社が推進する「Bell AI Fabric」は国内の企業や政府向けにセキュアなAIインフラを提供するプロジェクトとされています。さらに、NVIDIAのGrace Blackwell GPUは、AIや高性能計算向けに設計された次世代の高性能プロセッサとされています。
今後のスケジュールと業界への影響
今回構築されるAIインフラの稼働は、2026年後半から2027年初頭を予定しています。
ビットコインマイニング企業がAIインフラ分野へと事業を拡大する動きが見られる中、HIVEによる今回の大型契約締結は、同社がマイニング事業からAIインフラ分野への事業拡大を本格的に進めていることを示す重要な事例と見られます。
ポイント
- カナダのビットコインマイニング企業HIVEが、子会社を通じて総額約2億2000万ドルのAIインフラ供給契約を締結しました。
- Bell Canadaの施設にNVIDIAのGrace Blackwell GPUを2304基導入し、AIスタートアップCohereのエンタープライズAIモデル専用の計算基盤を構築します。
- すべてのインフラをカナダ国内に設置することで、外国技術への依存低減を目指すカナダ政府の取り組みを後押しする役割を担います。
- 年間約7000万ドルの新規収益が加わることで、HIVEの契約済みHPC収益は1億ドルを突破する見通しです。
- 本契約は、マイニング企業がAIインフラ分野へと本格的に事業領域を拡大している具体的な事例として注目されます。