米下院で議員の予測市場取引を禁止する法案提出 インサイダー防止に向け規制強化へ

米国のブライアン・スティール下院議員は、連邦議会議員やその家族が公共政策や選挙に関する予測市場で取引を行うことを禁止する法案を提出しました。この法案は、議員が内部情報を利用して不当に利益を得ることを防ぎ、国民の信頼を回復することを目的としています。予測市場の急成長に伴いインサイダー取引への懸念が高まる中、米議会による法的な規制の動きが加速しています。

法案「Stop Lawmakers from Predicting Act」の概要と罰則

米下院で議員の予測市場取引を禁止する法案提出 インサイダー防止に向け規制強化へ

米下院管理委員会は2026年6月18日、ブライアン・スティール(Bryan Steil)下院議員が「Stop Lawmakers from Predicting Act」を提出したと発表しました。この法案は、連邦議会議員、その配偶者、および扶養する子どもが、公共政策や選挙に関する賭け(予測市場での取引)を行うことを全面的に禁止するものです。

スティール氏は声明で、「米国民は、議員が内部情報によって利益を得ていないことを知る権利がある」と述べ、議員は政策を立案すべきであり、その結果に賭けを行うべきではないと主張しています。

5ページから成る同法案によると、規則に違反した議員には以下のペナルティが科されます。

  • 2,000ドル、または禁止対象取引額の10%のいずれか高い方の金額
  • 取引によって得た純利益の全額支払い

この法案は、2026年1月14日に下院管理委員会が承認した、議員の株式取引を制限する法案「Stop Insider Trading Act」を基に作成されています。

米議会における予測市場への規制強化の背景

米議会では、予測市場におけるインサイダー取引や不正利用に対する懸念が急速に強まっています。

これに先立ち、2026年4月30日には米上院において、上院議員による予測市場での取引を即時に禁止する決議が全会一致で可決されました。今回下院で提出された法案は、こうした上院の動きに続くものであり、議会全体で議員による予測市場の利用を厳しく制限する方向へと進んでいます。

予測市場とは、将来の出来事(選挙結果や政策決定など)の発生確率に基づいて取引を行うプラットフォームを指します。代表的なプラットフォームとして、ブロックチェーン技術を活用しステーブルコインなどで取引を行う分散型の「Polymarket(ポリマーケット)」や、米国の規制下で運営されている「Kalshi(カルシ)」などが知られています。

予測市場全体に広がるインサイダー対策と調査の動き

議員個人に対する規制だけでなく、予測市場のプラットフォームや利用者全体に対する監視の目も厳しくなっています。

2026年4月24日には、マドゥロ元大統領の逮捕をめぐるポリマーケットでの取引において、機密情報を利用して40万ドル超の利益を得たとして米兵が起訴される事件が発生しました。これを受けて、米下院監視委員会は2026年5月23日にKalshiとPolymarketに対する調査を行い、インサイダー取引対策の状況を確認しています。

また、プラットフォーム側も自主的な対策を強化しており、Kalshiは2026年6月10日に、リスクの高い予測市場において勤務先の開示を義務付けるなど、インサイダー取引防止に向けた取り組みを進めています。

一連の動きは、予測市場が急速に拡大する中で、情報の非対称性や不正利用を防ぎ、市場の健全性と透明性を確保するための重要なプロセスであると見られます。

ポイント

  • 米下院のブライアン・スティール議員が、議員およびその家族による公共政策や選挙に関する予測市場取引を禁止する法案を提出しました。
  • 違反した議員には、2,000ドルまたは取引額の10%のいずれか高い方の罰金と、取引で得た純利益の支払いが科されます。
  • 米上院では、すでに2026年4月30日に上院議員による予測市場取引を即時禁止する決議が可決されています。
  • マドゥロ元大統領の逮捕をめぐるインサイダー取引での米兵起訴や、米下院監視委員会による主要プラットフォームへの調査など、業界全体でインサイダー取引対策が急速に強化されています。
  • 政策立案者による予測市場の利用制限は、政治的な公平性を保つとともに、予測市場プラットフォームの健全な発展と信頼性の確保において重要な節目となると見られます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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