欧州議会の経済・通貨委員会(ECON)は、デジタルユーロ導入案に関する立場を賛成多数で承認しました。このルール案には、プライバシー保護のための暗号技術の活用や、オンラインとオフライン双方での利用、保有制限、無利子などの条件が盛り込まれています。今回の承認は、欧州中央銀行(ECB)が2029年の発行を目指す中で、制度設計に向けた重要な一歩と位置づけられています。
デジタルユーロの基本設計とプライバシー保護技術
承認されたルール案によると、デジタルユーロは欧州中央銀行(ECB)が発行する中央銀行デジタル通貨(CBDC)です。このデジタルユーロは、オンライン決済とオフライン決済の両方に対応する設計となっています。オンライン決済は口座ベースで処理される一方、オフライン決済は端末内にデータを直接保存する仕組みとなっており、従来の現金に近い形で機能します。
また、プライバシー保護の観点から、ゼロ知識証明などの技術が活用される予定です。ゼロ知識証明は、相手に具体的な情報を明かすことなく、その情報が正しいことを証明できる暗号技術の一種とされています。これにより、発行元であるECBがユーザー個人の識別情報にアクセスできない設計が採用されており、プライバシーの確保が図られています。
現金との共存と今後のスケジュール
今回のルール案の報告者であるフェルナンド・ナバレテ・ロハス議員は、デジタルユーロは現金を補完するものであり、置き換えるものではないと述べています。これにより、市民が従来の現金とデジタル通貨のどちらの支払い方法も自由に選択できる権利が守られると強調されています。
ECBも今回の委員会の決定を歓迎する意向を表明しており、今後の技術的な準備や支援を継続する方針です。デジタルユーロの制度化に向けた次の段階として、2026年7月の本会議で交渉方針が示され、最終的にはEU理事会との交渉を経てルールの成立を目指すことになります。ECBは2029年のデジタルユーロ発行を視野に入れており、今回の合意はその実現に向けた大きな前進と見られます。
ポイント
- 欧州議会の経済・通貨委員会(ECON)が、デジタルユーロ導入案のルール草案を賛成43票、反対14票、棄権1票で承認しました。
- デジタルユーロはオンライン(口座ベース)とオフライン(端末保存)の両方に対応し、無利子や保有上限などの条件が設定されます。
- 個人情報の保護に向けてゼロ知識証明などの暗号技術が活用され、欧州中央銀行(ECB)が個人を識別できない設計が採用されています。
- 法的枠組みの成立に向けては、2026年7月の本会議で交渉方針が示された後、EU理事会との最終交渉へと進む予定です。
- ECBは2029年のデジタルユーロ発行を目指しており、今回の承認はCBDCの普及や制度設計において重要な節目になると見られます。