トークン化されたGoogle株の価格が7,700%高騰、DeFiレンディングで約40万ドルの不正借入が発生

DeFi(分散型金融)のレンディングプロトコルにおいて、担保として使用されていたトークン化されたGoogle株の価値が実質価格の約78倍(7,700%)に吊り上げられるという、珍しいエクスプロイト(脆弱性を突いた攻撃)が発生しました。攻撃者はこの異常に膨らんだ担保価値を利用して融資を受け、約403,000ドルの不良債権(回収不能な債務)を発生させました。この出来事は、現実世界資産(RWA:Real World Assets)をDeFi市場に統合する際の、スマートコントラクト設計におけるセキュリティの重要性を改めて浮き彫りにしています。

担保価値の不正操作と約40万ドルの不良債権発生

トークン化されたGoogle株の価格が7,700%高騰、DeFiレンディングで約40万ドルの不正借入が発生

DeFiのレンディング(貸付・借入)プロトコルにおいて、トークン化されたGoogle株を担保にした不正な借入が行われました。

攻撃者は、本来の実質価格の約78倍(7,700%増)に担保トークンの価値を意図的に膨らませ、その担保を元に資金を借り入れました。

このエクスプロイトの結果、プロトコルには約403,000ドルの不良債権が残されることとなりました。

技術的背景とプロトコルの対応

海外メディアなどの報道によると、今回の攻撃対象となったのは「Edel Finance」が提供するレンディングプロトコル(Edel Lending)のバージョン1(v1)スマートコントラクトとされています。

今回の問題において、価格オラクル(ブロックチェーン外のデータをブロックチェーン内に取り込む仕組み)であるChainlinkは、実際のGoogle株価(約357ドル)を正しく示していたとされています。しかし、トークン化されたGoogle株である「GOOGLx」と、それをラップしたトークン「wGOOGLx」との間で行われる変換プロセス(ラップメカニズム)の脆弱性が突かれたことで、プロトコル内での価格評価に異常が生じたとされています。

この事態を受け、Edel Financeはv1のスマートコントラクトを凍結し、レンディングプロトコルを一時停止したと発表しています。また、発生した損失はチームが補填し、ユーザーの残高を1対1で復元する方針を示しているほか、設計を刷新したバージョン2(v2)の展開を進めているとされています。

RWAのDeFi統合におけるセキュリティ上の教訓

近年、株式や国債などの現実世界資産(RWA)をトークン化し、DeFiに組み込む動きが活発化しています。今回の事件は、RWAトークンをレンディング市場の担保として活用する際の技術的なリスクを浮き彫りにしました。

オラクルが正確な価格を提供していたとしても、トークンの規格変換プロセスやコントラクト間の連携部分に不備があれば、価格の不正操作が可能になるという点が示されています。RWAの利便性である「コンポーザビリティ(相互運用性)」は大きなメリットである一方、スマートコントラクト全体のセキュリティ設計が極めて重要であることを示す事例となりました。

ポイント

  • トークン化されたGoogle株の評価額が実質価格の約78倍(7,700%増)に不正に吊り上げられるエクスプロイトが発生しました。
  • 攻撃者は膨らんだ担保価値を利用して不正に融資を受け、約403,000ドルの不良債権が発生しました。
  • 報道によると、オラクル自体は正しい価格を示していたものの、トークンの変換プロセスにおける脆弱性が原因とされています。
  • 運営元のEdel Financeはスマートコントラクトを凍結し、損失の補填やバージョン2(v2)の展開を進めているとされています。
  • RWA(現実世界資産)をDeFiに統合し担保として利用する際の、スマートコントラクト設計におけるセキュリティの重要性を示す事例として注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用や、AI×ブロックチェーン領域における事業開発・実装に関する情報を発信する編集チームです。株式会社Pacific Metaが、グループ累計260社以上・41カ国以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

ビジネスでの活用から個人の学びまで、ブロックチェーンやトークンに関する情報を、最新動向と実務でのナレッジを踏まえてわかりやすくお届けします。編集部や事業内容の詳細は、公式サイトをご覧ください。

ニュース
ブロックチェーンマガジン by Pacific Meta