電子取引プラットフォーム大手のTradeweb(トレードウェブ:電子取引プラットフォームを運営する企業)は、Canton Network(キャントン・ネットワーク:金融機関向けのブロックチェーンネットワーク)においてトークン化された米国債のリアルタイム取引を完了したと発表しました。この取引では、フランクリン・テンプルトンが保有するトークン化米国債がバーチュ・フィナンシャルに対して移転され、決済には米ドル連動型ステーブルコインUSDCを裏付けとするトークン化キャッシュであるUSDCxが使用されました。今回の取引は、従来の市場インフラにおける時間や決済の制約を受けずに、証券と現金をリアルタイムで移動できることを実証した重要な事例となります。
取引の概要と参加企業
今回の取引は、電子取引プラットフォームを提供するTradewebが執行プラットフォームと価格発見機能を提供し、Canton Networkが2つの資産間の同期されたオンチェーン決済を可能にしました。フランクリン・テンプルトンがトークン化された米国債をバーチュ・フィナンシャルに移転し、その対価としてCanton Network上で発行されたUSDC裏付けのステーブルコインであるUSDCxが支払われました。この取引には、ブロックデーモン、デジタル・アセット、ソシエテ・ジェネラル、フランクリン・テンプルトン、トレードウェブ、バーチュ・フィナンシャルなどの大手金融機関やテクノロジー企業が参加しています。
リアルタイム決済技術と24時間運用の可能性
従来の金融市場インフラでは、取引の実行から実際の決済までに時間的な制約やラグが存在していました。しかし、今回のオンチェーン決済では、Canton Networkの同期決済機能を活用することで、証券と現金をリアルタイムで移動させることに成功しました。これにより、市場参加者は従来の取引時間制限にとらわれることなく、24時間365日いつでも流動性を確保し、安全かつ迅速に高品質な資産を移動させることが可能になるとされています。
今後の展開とDTCCトークン化サービスへの布石
今回の取引は、DTCC(米国預託信託清算公社:証券の保管や清算を行う機関)が今年後半に予定している「トークン化サービス」の立ち上げを見据えた重要なステップとされています。DTCCのトークン化サービスが開始されれば、参加者は従来の資産が持つ投資家保護や所有権を維持したまま、特定の株式や上場投資信託(ETF)、米国債などをトークン化して取引できるようになります。この動きは、現実資産(RWA:現実世界の資産をブロックチェーン上でトークン化したもの)のトークン化市場における機関投資家の参入をさらに加速させるものと見られます。
ポイント
- トークン化された米国債とUSDCx(USDC裏付けのトークン化キャッシュ)を組み合わせた初のリアルタイム取引が完了した点で注目されます。
- 従来の金融インフラの制約を受けず、証券と現金をオンチェーンで即座に移動できる実用性を示した点で注目されます。
- フランクリン・テンプルトンやバーチュ・フィナンシャル、ソシエテ・ジェネラルなどの大手金融機関が協力して実施された点で注目されます。
- 今年後半に予定されているDTCC(米国預託信託清算公社)のトークン化サービス開始に向けた実証事例となった点で注目されます。