EUの暗号資産規制MiCAの移行期間が終了 駆け込み認可が相次ぐ一方バイナンスは未認可のまま

欧州連合(EU)における包括的な暗号資産規制である暗号資産市場規則(MiCA)の18カ月にわたる移行期間が、2026年7月1日に終了しました。移行期間の最終盤には、欧州の各国当局による暗号資産サービスプロバイダー(CASP)ライセンスの認可が相次ぎ、EUおよび欧州経済領域(EEA)全体の認可企業は244社に達しています。一方で、世界最大の取引高を誇るバイナンスが依然としてライセンス未取得である中、すでに認可を得た他の大手取引所が欧州市場で台頭しつつあります。

移行期間終了の直前に相次いだ各国でのライセンス認可

EUの暗号資産規制MiCAの移行期間が終了 駆け込み認可が相次ぐ一方バイナンスは未認可のまま

MiCAの移行期間が終了する直前の最終盤において、欧州各国では暗号資産企業へのライセンス発行が急増しました。

イタリアでは、資産管理プラットフォームのホドリー、暗号資産取引所ヤング・プラットフォーム、取引プラットフォームのクリプトスマート、暗号資産サービス事業者のヘルクレの4社が認可を受けました。イタリア銀行の発表によると、これにより同国内で認可済みのCASPは計8社となっています。

フランスの金融市場庁(AMF)も、暗号資産投資プラットフォームのメロー・ファイナンス、ブロックチェーン基盤企業のアイスブロック、暗号資産サービス事業者のアプロの3社を新たに登録しました。これにより、フランスでライセンスを取得したCASPは計31社に達しています。

さらにマルタでは、デジタル資産プライムブローカーのファルコンXがMiCAライセンスを取得したと発表しました。スペインでも、ヴェンガがスペイン当局からCASP認可を取得したことを明らかにしています。欧州証券市場監督機構(ESMA)の暫定登録簿によると、EUおよびEEA全体での認可済みCASPは244社に上ります。

バイナンスの未認可と移行期間終了に伴う市場シェアの変動

取引高で世界最大の暗号資産取引所であるバイナンスは、依然としてMiCAに基づくライセンスを取得していません。同社はギリシャで認可を申請していましたが、その後これを取り下げ、別の加盟国での認可取得を目指す方針を示しています。なお、ギリシャは現在もMiCAライセンスを発行していないEU加盟国の一つです。

これに先立ち、ESMAは6月23日、移行期間終了までに認可を受けていない暗号資産サービス事業者に対し、EU域内での事業を縮小・終了するための即時の措置を講じる必要があると警告していました。

バイナンスが未認可のまま移行期間が終了したことを受け、スポット取引のオーダーブック流動性において、すでにMiCA認可を取得している大手取引所が台頭しています。ディファイラマのデータによると、認可済みの有力な大手取引所として、OKX、コインベース、バイビット、クリプト・ドットコム、ゲート、ビットスタンプなどが浮上しています。

業界における重要性とビジネスへの影響

今回の移行期間終了は、欧州の暗号資産市場が統一された法規制の下で本格的に稼働し始めたことを意味しており、ビジネスパーソンにとって極めて重要な節目となります。

MiCAは、EUにおける暗号資産の包括的な規制フレームワークであり、1つの加盟国でライセンスを取得すれば、EU全域でサービスを提供できるパスポート制度などが特徴とされています。

今回の移行期間の終了により、未認可の事業者はEU域内で新規顧客の受け入れやプロモーションを行うことができなくなり、事業の縮小や終了を即座に進める必要があります。このため、市場のシェアが未認可のプラットフォームから、すでにライセンスを取得して流動性を確保しているOKXやコインベース、バイビットなどの認可済み取引所へと移行する可能性が考えられます。

ポイント

  • EUの包括的な暗号資産規制であるMiCAの18カ月に及ぶ移行期間が、2026年7月1日に終了しました。
  • 移行期間終了の直前にイタリア、フランス、マルタ、スペインなどで駆け込みの認可が相次ぎ、EUおよびEEA全体で認可済みの企業は244社に達しました。
  • 世界最大の取引所バイナンスは依然として未認可であり、ギリシャでの申請を取り下げて別の加盟国での取得を目指しています。
  • バイナンスが未認可である中、OKX、コインベース、バイビットなどの認可を取得した大手取引所が流動性の面で市場の主導権を握る動きが見られます。
  • 未認可の事業者は、EU域内での新規顧客開拓を停止し、事業を縮小・終了させる即時の措置を講じる必要があります。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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