米仮想通貨市場構造法案「クラリティー法」を黒人法執行幹部全国組織が支持、法執行機関として初の表明

米国の暗号資産(仮想通貨)市場の規制構造を定める法案「クラリティー法(CLARITY Act)」について、米国の黒人法執行幹部全国組織(NOBLE)が正式に支持を表明しました。主要な法執行機関団体が同法案を公開支持するのは今回が初の事例となります。この支持表明は、非カストディアル(ユーザー資金を自己管理する)型事業者の扱いを巡って法執行機関や一部議員から懸念が示される中、法案の上院通過に向けた議論を前進させる可能性があると見られています。

法執行機関による初の支持表明とその背景

米仮想通貨市場構造法案「クラリティー法」を黒人法執行幹部全国組織が支持、法執行機関として初の表明

NOBLEは7月1日、米上院のジョン・スーン多数党院内総務とチャールズ・シューマー少数党院内総務に宛てた書簡の中で、クラリティー法案への正式支持を表明しました。

NOBLEは「公共の安全と技術革新は共に前進すべきだ」との立場から同法案を精査し、法執行機関に意味のある新たな権限を付与しつつ、長年の刑事法執行権限を維持しているとの評価を示しました。

法案には、デジタル資産産業への参加事業者に対する規制義務の拡大、デジタル資産没収権限の強化、透明性向上のための新たなコンプライアンス要件の追加、デジタル資産キオスクへの監視要件の追加などが定められており、捜査の可視性向上と金融犯罪への対処に資するとされています。

なお、クラリティー法は米国のデジタル資産市場に対する包括的な規制枠組みを構築することを目指す法案であり、米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)の間でデジタル資産の管轄権を分割して明確化することを目的としているとされています。

非カストディアル事業者の規制除外を巡る対立とNOBLEの回答

クラリティー法の第604条に組み込まれた「ブロックチェーン規制確実性法(BRCA)」は、ユーザーの資金を管理・保管しない非カストディアル型のブロックチェーン開発者やバリデーターなどが、銀行秘密法上の「送金業者」に該当しないことを明確化する条項です。

これに対し、全国保安官協会や全国地方検事協会、国際警察長官協会など複数の法執行機関団体は、このBRCA条項がマネーロンダリングや制裁違反の資金追跡を困難にする「抜け穴」をもたらしてしまうとして、議会や司法省に懸念を訴えてきました。仮想通貨懐疑派のエリザベス・ウォレン上院議員ら一部の民主党議員もこれらの懸念に同調しています。

他団体からこのような懸念が寄せられる中、NOBLEは「法案は捜査官や検察官が日常的に依拠する連邦刑事権限を変更するものではない」と述べ、既存の刑事法執行権限は維持されるとの見解を示しました。マネーロンダリングや無免許送金、共謀、幇助、制裁執行に関する既存の法令を含む連邦刑事権限はそのまま維持されるとしています。

上院採決の行方と成立の見通し

クラリティー法は昨年7月に超党派の支持を得て下院を通過し、今年5月の上院銀行委員会では賛成15、反対9の投票で前進しました。現在は上院本会議での審議待ちとなっています。

上院は7月13日まで休会に入っていますが、休会中も法案採決に向けた裏交渉は続けられており、8月の夏季休会前の成立を目指しています。

しかし、法案の成立にはいくつかの障壁が残されています。トランプ大統領の10億ドルを超える仮想通貨収益の資産報告を受け、民主党は法案への倫理条項の明記を強く求めており、民主・共和両党の交渉が続いています。

こうした倫理条項をめぐる交渉の停滞や上院日程の逼迫を主因として、ギャラクシー・リサーチのアレックス・ソーン氏は、クラリティー法の2026年成立確率を60%から50%に引き下げました。7月初旬に審議日程が確定するかどうかが、今後の大きな分岐点になると見られています。

ポイント

  • 米国の黒人法執行幹部全国組織(NOBLE)が、主要な法執行機関団体として初めて「クラリティー法」への支持を表明しました。
  • NOBLEは、同法案が金融犯罪への対処力を高める一方、既存の連邦刑事権限を維持していると評価しています。
  • 非カストディアル事業者に対する送金業者除外条項(BRCA)を巡っては、他の警察・検察団体から懸念の声も上がっており、法執行機関の間で議論が分かれています。
  • 法案は上院銀行委員会を通過し本会議の審議待ちとなっており、8月の夏季休会前の成立を目指して調整が進められています。
  • 民主党が求める倫理条項の交渉や日程の逼迫により、2026年中の成立確率が50%に引き下げられるなど、緊迫した交渉が続いています。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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