トランプ一族WLFI提携のAIファイナンシャル、中核決済事業をPerpetuals.comへ売却交渉中

トランプ一族が支援する暗号資産プロジェクト「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLFI)」と強い結びつきを持つナスダック上場企業「AIファイナンシャル(旧称:ALT5シグマ)」が、中核である決済事業を売却する方向で交渉を進めていることが明らかになりました。売却先として交渉が行われているのは、東京を拠点とするナスダック上場ブロックチェーン企業「Perpetuals.com」で、売却額は最大1,500万ドル(約24億円)にのぼると報じられています。今回の取引が実現すれば、AIファイナンシャルは唯一の収益源を失うことになり、WLFIのステーブルコインを活用した国際決済事業の拡大計画も事実上頓挫することになります。

経営危機と中核事業の売却交渉の背景

トランプ一族WLFI提携のAIファイナンシャル、中核決済事業をPerpetuals.comへ売却交渉中

AIファイナンシャルは、2026年4月にALT5シグマから社名を変更し、自動決済のための金融プラットフォームの構築を目指していました。しかし、同社は2026年5月に、企業継続の前提に関する重大な疑義を表明し、事実上の存続危機に直面していることを明らかにしました。

この危機の背景には、同社が保有するWLFIトークンの価値下落に伴う2億7,100万ドル(約440億円)の四半期損失と、3,900万ドル(約63億円)の負債があります。同社は2026年第1四半期時点で約70億枚のWLFIトークンを保有しており、その公正価値は約7億636万ドル(約1,150億円)とされていましたが、保有分の大部分がロックアップ期間中であり、即座に現金化できない状態にありました。その後、2026年6月にはロックアップの一部解除が進み、経営上の懸念は緩和されたと説明されていますが、依然として厳しい経営状況が続いていると見られます。

このような財務状況の中、同社は唯一の収益源とされる子会社「ALT5シグマ・カナダ(Alt5 Sigma Canada, Inc.)」の売却を模索するに至りました。売却額は最大1,500万ドル(約24億円)で交渉中とされていますが、現時点で取引条件は確定しておらず、取引が成立しない可能性も残されています。

買収を検討するPerpetuals.comの狙いと現状

交渉相手であるPerpetuals.comは、東京を拠点にアメリカ、ヨーロッパ、アジアで事業を展開するナスダック上場のブロックチェーン企業です。同社は独自の人工知能(AI)を用いた取引プラットフォームの運営や、AI駆動の取引サービスなどを手がけています。

Perpetuals.comは2026年7月7日に公式声明を発表し、同社のマシュー・ニコレッティ最高戦略責任者が、AIファイナンシャルの子会社であるALT5シグマ・カナダの買収可能性を検討するため、非拘束力の基本条件書に署名したことを明らかにしました。

ALT5シグマ・カナダは、機関投資家向けのデジタル資産OTC(取引所を介さない相対取引)取引プラットフォームや、加盟店向けの暗号資産決済サービスを提供している企業です。昨年度は2,500万ドル(約41億円)の収益を上げており、AIファイナンシャルグループ内における優良な収益部門とされています。Perpetuals.comは現在、デューデリジェンス(資産査定)を実施しており、この買収が自社の成長促進や製品ロードマップをどのように補完できるかを精査しています。ただし、現時点では最終的な決定は下されていません。

WLFIとの提携関係と国際決済計画への影響

AIファイナンシャルは、トランプ一族の仮想通貨プロジェクト「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLFI)」と極めて緊密な関係を築いてきました。WLFIは自社トークンを対価としてAIファイナンシャルの多数株式を取得し、AIファイナンシャル側も私募で調達した約7億5,000万ドルを原資にWLFIトークンの追加購入を行っていました。さらに、AIファイナンシャルの会長を務めるザック・ウィトコフ氏がWLFIのCEO兼共同創業者を兼任するなど、経営陣の人的な結びつきも強固でした。

本来の計画では、AIファイナンシャルはWLFIが発行を計画しているドル建てステーブルコイン「USD1」を活用し、国際決済事業を拡大していく役割を担うはずでした。しかし、中核である決済事業の売却交渉が開始されたことで、この国際決済計画は事実上頓挫したと見られます。

また、AIファイナンシャルはWLFIとの提携後に株価が80%下落し、CEOや複数の幹部が解任されるなどの内部混乱に見舞われていました。これに加え、規制当局による調査や、ルワンダでのマネーロンダリングに関する有罪判決が明らかになるなど、ガバナンス面の深刻な問題も浮き彫りになっていました。

ポイント

  • AIファイナンシャルが、唯一の収益源である決済事業子会社「ALT5シグマ・カナダ」を最大1,500万ドル(約24億円)で売却する交渉を進めています。
  • 買収交渉の相手は東京を拠点とするナスダック上場企業「Perpetuals.com」で、現在は非拘束力の基本条件書に基づきデューデリジェンスを実施しています。
  • AIファイナンシャルはトランプ一族のプロジェクト「WLFI」と深く提携しており、ステーブルコイン「USD1」を用いた国際決済事業の中核を担う計画でしたが、今回の売却交渉により計画は事実上頓挫したと見られます。
  • AIファイナンシャルは、保有するWLFIトークンの価値下落による巨額の四半期損失や負債を背景に、2026年5月に存続の危機を表明していました。
  • 売却対象のALT5シグマ・カナダは昨年度に2,500万ドル(約41億円)の収益を上げており、売却が成立すればAIファイナンシャルは主要な営業基盤を失うことになります。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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