イオレ、AIとオンチェーン金融を軸とする次世代インフラ企業へ転換

東証グロース上場の株式会社イオレは、AIデータセンター事業とオンチェーン金融事業を新たな柱に据え、AIエージェント時代のインフラ企業への事業転換を進めています。この転換は2025年6月に代表取締役社長に就任した瀧野諭吾氏が主導しており、同社の時価総額は約240億円規模に拡大しています。同社は、AIが人に代わって経済活動を担う未来を見据え、それを支える計算基盤と、AI同士が価値をやり取りするための金融基盤を一体として提供することを目指しています。この取り組みは、国内におけるAIインフラの自給率向上と、次世代のデジタル決済システムの確立という観点から、Web3およびAI業界において注目を集めています。

経営体制の刷新と急ピッチな事業転換

イオレ、AIとオンチェーン金融を軸とする次世代インフラ企業へ転換

グループ向け連絡ツールであるらくらく連絡網の運営やネット広告事業で知られていたイオレは、2025年6月の瀧野氏の社長就任を契機に、経営再生と新たな成長戦略として事業構造を大きく変革させました。同社は短期間に約160億円規模の新株予約権を発行して資金を調達し、GPU事業への参入やビットコインの購入など、大型施策を次々と実行しました。その結果、瀧野氏の就任から約1年で時価総額は就任前の約10倍となる約240億円に拡大しています。さらに、2026年6月には元アニモカブランズジャパン代表取締役社長CEOの天羽健介氏が専務取締役兼上級執行役員に就任し、この事業転換をさらに加速させています。

AIデータセンター事業:国内AIインフラの構築を急ぐ

イオレが注力するAIデータセンター事業は、昨年度に約100億円規模だった売上高が、今年度は約200億円規模に拡大する見通しとなるなど、急速な成長を遂げています。この事業の背景には、国内のAIインフラが海外企業に過度に依存している現状(首根っこをつかまれている状態)に対する強い危機感があります。

同社は、AIの推論やビッグデータ解析に強みを持つ高性能なGPUサーバーの販売を進めるだけでなく、すでに約5000枚規模のGPUを確保しています。さらに、発電設備と一体化した電源併設型の大規模AIデータセンターの開発プロジェクトを推進しており、まずは海外AI企業などへ提供して収益を確保しつつ、国内におけるAIインフラの整備を急ぐ方針です。

オンチェーン金融事業:Neo Crypto Bank構想が描く自律経済の決済インフラ

もう一つの柱であるオンチェーン金融(暗号資産金融)事業は、AIエージェント(人に代わって自律的に経済活動を行うAIシステム)同士が直接接続し、取引を行う未来に向けた金融インフラの構築を目指しています。

従来のクレジットカードや銀行送金システムは人間向けに設計されており、システム同士が少額決済を瞬時に何度も繰り返すAIエージェント同士の取引には不十分であるとされています。そこで同社は、ブロックチェーンを基盤としたNeo Crypto Bank(ネオクリプトバンク)構想を掲げ、2027年度に向けて次世代の金融取引を支えるハブとなることを目指しています。

この構想の初期フェーズとして、同社は暗号資産を自社で保有するDAT(デジタル・アセット・トレジャリー:企業が暗号資産を財務資産として保有・運用する戦略とされています)や、暗号資産レンディングサービス(暗号資産を貸し出して貸借料を得るサービスとされています)のらくらくちょコインを展開しています。レンディング事業を通じてユーザーとの接点をつくり、将来的には法定通貨に連動したステーブルコインなどを中核に据え、AIエージェントが自律的に価値をやり取りできる世界の実現を目指しています。

ポイント

  • イオレは、2025年6月の瀧野氏の社長就任以降、従来の広告・HR事業からAIデータセンター事業とオンチェーン金融事業を2大柱とするインフラ企業へと急ピッチで転換しています。
  • 元アニモカブランズジャパンCEOの天羽氏が2026年6月に専務取締役に就任し、Web3およびオンチェーン金融領域における体制を強化しています。
  • AIデータセンター事業では、GPUサーバーの販売や電源併設型の大規模データセンター開発を進め、国内におけるAIインフラ不足とデジタル赤字の解消に貢献することを目指しています。
  • オンチェーン金融事業では、Neo Crypto Bank構想を掲げ、AIエージェント同士が自律的かつ瞬時に少額決済を行える次世代のブロックチェーン金融インフラの構築を推進しています。
  • 同社は、GPUサーバー販売の拡大などを背景に、2027年3月期に営業利益11億円超の大幅な黒字化を見込んでいます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用や、AI×ブロックチェーン領域における事業開発・実装に関する情報を発信する編集チームです。株式会社Pacific Metaが、グループ累計260社以上・41カ国以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

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