コンビニエンスストア大手のローソンが、店頭での支払い手段として、法定通貨に価値が連動するステーブルコインの導入に向けた実証実験を開始します。2026年8月上旬から、KDDIが運営するローソン高輪ゲートウェイシティ店で、デジタル資産ウォレット企業のハッシュポートと連携して実施されます。ステーブルコインをPOSシステムと連動させた店頭決済の検証は国内で初めての試みであり、決済手数料の削減や新たなデジタル決済手段の確立に向けた重要な一歩として注目されます。
国内初のPOSシステム連動、ローソン高輪ゲートウェイシティ店で検証開始
実証実験では、消費者がスマートフォンに表示した電子財布(ウォレット)のバーコードを店舗の従業員がPOS端末で読み取り、ハッシュポートがその決済情報をもとに円建てステーブルコインであるJPYCの残高を更新する仕組みを採用します。
ローソンによると、POSシステムと連動させた形でのステーブルコイン導入実験は国内初の取り組みとなります。実験を通じて、POSとのシステム連携や決済にかかる処理時間などを検証し、その結果を踏まえて今後の本格導入を判断するとしています。
ステーブルコインは、ブロックチェーン技術を基盤とし、預金や短期国債を裏付け資産とすることで法定通貨と価値を連動させたデジタル通貨です。クレジットカードやQRコード決済に比べて加盟店側の決済手数料が安い点がメリットとされています。JPYCは、日本円と価値が連動するステーブルコインであり、価格変動のリスクが少ない特徴があるとされています。
KDDIとハッシュポートの資本業務提携が背景に
今回の実証実験の舞台となるローソン高輪ゲートウェイシティ店を運営するKDDIは、2025年10月にハッシュポートと資本業務提携を締結しています。KDDIは第三者割当増資を通じてハッシュポートの株式を20パーセント超取得し、同社を持分法適用会社としました。このようにKDDIとハッシュポートの間に資本関係があることが、今回の実証実験がKDDI運営店舗で実施される背景にあります。
ハッシュポートが提供するHashPort Walletは、デジタル資産を管理するためのウォレットアプリであり、初心者向けの設計を重視した国内発のWeb3ウォレットとして展開されているとされています。
なお、JPYCを用いた決済の実証実験は今回が初めてではなく、2026年4月にはお好み焼き専門店である千房の2店舗で先行実施されたほか、同年7月には東京や千葉の歯科医院への導入も予定されています。
拡大するステーブルコイン市場と相次ぐ国内企業の参入
米シティグループの推計によると、世界のステーブルコインの市場規模は2025年時点で2820億ドルであり、2030年には1兆9000億ドルから4兆ドルに達する見通しです。この市場拡大を背景に、日本国内でもステーブルコインの発行や決済の実用化に向けた参入が相次いでいます。
三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクは、2026年度中の共同発行の実現に向けて協議会を設置する方針を固めたと報じられています。2026年2月に金融庁へ届け出た野村証券や大和証券との枠組みも活用する方針です。
また、信託型ステーブルコインでは、SBIホールディングスとスターテイルグループが共同開発したJPYSCが2026年6月24日に発行され、先行提供が開始されています。さらに、りそなホールディングスもJCBやデジタルガレージと提携し、2027年度の実用化を視野に実証実験を進めています。
ポイント
- ローソンが2026年8月上旬から、ローソン高輪ゲートウェイシティ店で日本円連動型ステーブルコインであるJPYCの店頭決済実証実験を開始します。
- ステーブルコインをPOSシステムと連動させる実証実験は国内初の試みであり、決済時間やシステム連携の検証を行います。
- 実験の背景には、店舗を運営するKDDIがデジタル資産ウォレット企業のハッシュポートと資本業務提携を行っているという関係があります。
- 国内外でステーブルコイン市場が急拡大する中、日本のメガバンクや大手金融機関による発行・決済実用化への動きが本格化しています。