米国の78の銀行グループは、現在上院で審議されているステーブルコイン規制を盛り込んだ法案「CLARITY Act」について、利回りに関する規定を強化するよう求める共同書簡を提出しました。銀行側は、現行の法案の文言が曖昧であるため、ステーブルコインが実質的に銀行預金の代替手段として機能し、地域銀行からの預金流出を引き起こすリスクがあると警告しています。この要請は、7月17日に予定されている同法案の下院公聴会を控える中で行われ、デジタル資産の規制枠組みを巡る議論に大きな影響を与える可能性があります。
78の銀行団体が共同で修正案を提出
アメリカ銀行協会(ABA)、アメリカ独立コミュニティ銀行協会(ICBA)、および76の州銀行協会を含む計78の銀行グループは、7月13日付で上院指導部へ宛てた共同書簡を送付しました。書簡の送付先は、多数党院内総務のジョン・スーン氏と少数党院内総務のチャック・シューマー氏です。
この書簡は、現在上院で審議されているデジタル資産市場の規制法案「CLARITY Act」の「セクション404」に焦点を当てており、的を絞った具体的な修正を求めています。
ステーブルコインの預金代替化と地域金融への影響を懸念
銀行グループが懸念を示している背景には、ステーブルコインが銀行預金の代替手段として普及し、伝統的な金融システムに悪影響を及ぼすリスクがあります。
CLARITY Actのセクション404は、決済用ステーブルコインに対する直接的または間接的な利回り(金利)の支払いを禁止する一方で、取引やプラットフォーム利用といった活動に基づく報酬やインセンティブの提供は認める方向で調整されているとされています。
しかし銀行側は、現行の法案の文言には曖昧さがあり、この例外措置を悪用して実質的な利回りを支払うような仕組みが構築される可能性があると主張しています。このようなインセンティブによってユーザーがステーブルコインを長期間保有するようになると、ステーブルコインが預金の代替として機能するようになります。その結果、地域銀行から資金が流出(預金流出)し、地域の住宅ローンや小規模ビジネスへの融資能力が低下するなど、地域経済に悪影響を及ぼす可能性があると警告しています。
ブロックチェーン業界における重要性と今後のスケジュール
この出来事は、ステーブルコインの発行体や暗号資産サービスプロバイダーのビジネスモデルに直接影響を与えるため、Web3業界において極めて重要な論点です。利回りや報酬の提供がどこまで許容されるかによって、ステーブルコインの普及速度や利用形態が大きく左右される可能性があるためです。
銀行グループは共同書簡の中で、責任あるイノベーションや適切に規制されたデジタル資産市場の構築自体は支持しているものの、ステーブルコインが価値の保存手段ではなく、本来の取引ツールとして機能するための明確な境界線が必要であると強調しています。
CLARITY Actは、7月17日に下院での公聴会が予定されており、今後上院および下院でどのような修正が加えられるか、その動向が注視されています。
ポイント
- 米国の78の銀行グループが、上院で審議中のCLARITY Actのステーブルコイン利回り規定(セクション404)の修正を要求しました。
- 銀行側は、現行の法案がステーブルコインを銀行預金の代替手段として機能させる余地を残していると指摘しています。
- 曖昧なインセンティブ設計により、地域銀行からステーブルコインへ資金が流出(預金流出)し、地域金融が損なわれるリスクが懸念されています。
- 銀行業界はイノベーションを支持しつつも、ステーブルコインは価値の保存手段ではなく取引ツールに限定すべきだと主張しています。
- 7月17日には下院での公聴会が予定されており、規制の具体化に向けた議論の行方が注目されます。