FRBウォーシュ議長が仮想通貨業界の救済拒否を明言 ステーブルコイン破綻時の対応が焦点に

米連邦準備制度理事会(FRB)のケビン・ウォーシュ議長は14日、米下院金融サービス委員会の公聴会で、仮想通貨業界が危機に陥った場合でも救済を行わない方針を示しました。5月に議長に就任して以来、初めて臨む半年ごとの議会証言での発言であり、ステーブルコインの破綻時における中央銀行の厳しいスタンスが浮き彫りになりました。この方針は、今後のステーブルコイン規制や関連法案の審議の行方とも密接に関連しており、Web3業界のビジネスパーソンにとって極めて重要な動向です。

ステーブルコインの取り付け騒ぎでも「救済しない」方針を表明

FRBウォーシュ議長が仮想通貨業界の救済拒否を明言 ステーブルコイン破綻時の対応が焦点に

ウォーシュ議長は公聴会において、民主党のブラッド・シャーマン下院議員から、ステーブルコイン発行体が破綻するなどして業界全体で取り付け(預託資産の急速な引き出し要求)が起きた場合の対応を問われました。これに対し同氏は、「われわれは救済業務を行いたくない、その一点に尽きる」と回答しました。さらに、「そうした極端なリスクを抑えるためにできることはすべて行う」としながらも、「誰も、仮想通貨を含めて救済しない立場でありたい」と語り、仮想通貨業界に対するセーフティネットの提供を拒否する姿勢を明確にしました。

過去の金融危機対応への批判的姿勢と緊急融資権限への慎重さ

ウォーシュ議長がこのような厳しい姿勢を示す背景には、同氏のこれまでの経歴と金融政策に対するスタンスがあると見られます。同氏は2008年の金融危機当時、FRB理事として危機対応に関わりましたが、その後の大規模な資産購入や、2020年のコロナ禍における緊急融資制度の運用に対して、長らく批判的な立場を取ってきた人物として知られています。今回の証言でも、FRBが持つ緊急融資権限(連邦準備法13条3項)を将来的にどこまで発動するかについては具体的な言及を避け、明確な確約を回避しました。

ジーニアス法とクラリティー法をめぐる今後の規制動向

今回の発言は、米国におけるデジタル資産関連の法整備が重要な局面を迎える中で行われました。

まず、FRBが担う制度整備の期限が7月18日に迫る「ジーニアス法(GENIUS Act)」の論点が、今後の議会証言で取り上げられる可能性があります。ジーニアス法は、ステーブルコインに対する連邦レベルの規制枠組みを構築する法律とされています。

また、16日にはトランプ大統領が、仮想通貨市場の包括的な市場規制を定める「クラリティー法(CLARITY Act)」の最大の懸案である「倫理条項」をめぐり、上院議員らと会談する予定です。この倫理条項は、政府高官や議員らが在職中に仮想通貨関連ビジネスから利益を得ることを制限する内容とされています。公聴会では、マキシン・ウォーターズ議員から政府関係者が監督対象の仮想通貨業界から利益を得ている問題についても質問が及ばれましたが、ウォーシュ議長はこの点への明確な回答を避けており、業界の健全性とガバナンスをめぐる議論は今後も続くと見られます。

ポイント

  • FRBのウォーシュ議長は、ステーブルコイン破綻などの危機が発生した場合でも、仮想通貨業界を救済しない方針を明言しました。
  • 議長は過去の金融危機における緊急融資制度の運用に批判的であり、将来的な緊急融資権限の発動についても明確な確約を回避しました。
  • FRBによる制度整備の期限が7月18日に迫る「ジーニアス法」の論点が、今後の議会証言で議論される可能性があります。
  • 16日にはトランプ大統領と上院議員らによる「クラリティー法」の倫理条項に関する会談が予定されており、法案可決に向けた合意形成が注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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