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ブロックチェーン総研by Pacific Meta

Securitizeとは?ブラックロックBUIDLを支えるトークン化基盤と日本企業の検討論点

Securitizeとは、証券をブロックチェーン上のトークンとして発行・管理・取引するための、米国の登録事業者を傘下に持つプラットフォーム企業です。

証券の事務は、どう変わる?
従来は発行体、運用会社、名簿管理、販売会社が別々に記録する。トークン化では登録事業者が共通の記録で保有と移転を管理する。

2024年3月、BlackRockは初のトークン化ファンド「BUIDL」をEthereum上で開始し、Securitizeがトランスファーエージェントとトークン化基盤を担いました。ファンド持分がトークンとしてウォレット間で移転できるようになったことは、AIエージェントがウォレットで支払いや資金管理を行う経済圏と同じオンチェーンの基盤に、証券が乗り始めたことを意味します。BUIDL以外のトークン化ファンドの仕組みと国内外の事例は、オンチェーンファンドの解説にあります。

国内の発行体や金融機関にとっては、海外基盤と国内基盤のどちらで、どの商品を出すかを判断する材料になる企業です。

  • Securitizeは証券事務を担うSEC登録事業者を持つトークン化基盤
  • BlackRockのBUIDLで名簿管理とトークン化を担当
  • 2026年7月にNYSEへ上場、ティッカーはSECZ
  • 国内投資家向けは国内基盤との比較から検討

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監修:ブロックチェーン総研編集部

株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。

Securitizeとは

Securitizeとは、株式やファンド持分などの証券をトークンとして発行し、投資家名簿の管理から取引までを一貫して扱う企業です。単なるシステム開発会社ではなく、証券事務の担い手として規制上の責任を負う事業者である点が特徴です。

Securitizeは証券のトークン化、名簿管理、募集と取引の仲介、欧州での取引決済を担う。
Securitizeが担う主な事業
項目内容
共同創業者・CEOCarlos Domingo
主な事業証券のトークン化、名簿管理、募集・取引の仲介
米国の登録SEC登録ブローカーディーラー、SEC登録トランスファーエージェントなど
上場2026年7月にNYSEで取引開始(SECZ)

米国では関連会社ごとに役割が分かれています。Securitize Markets, LLCはSEC登録ブローカーディーラーで、SEC規制下の代替取引システム(ATS)を運営しています。Securitize Transfer Agent, LLCはSEC登録トランスファーエージェントです。

欧州ではSecuritize Europe Brokerage and Markets, S.A.が投資会社の認可を受け、EUのDLTパイロット制度の下で取引・決済システムを運営しています。

なぜSecuritizeが注目されているのか

Securitizeが注目される理由は、大手運用会社のBlackRockが実際の商品でこの基盤を採用したことにあります。

2024年3月のBUIDL開始から2026年7月のNYSE上場までの出来事。
BUIDL開始から上場までの動き

2024年3月20日、BlackRockはパブリックブロックチェーン上で発行する初のトークン化ファンド「BlackRock USD Institutional Digital Liquidity Fund(BUIDL)」をEthereum上で開始しました。運用はBlackRock、カストディと事務管理はBank of New York Mellonが担い、Securitizeはトランスファーエージェントとトークン化基盤を、Securitize Marketsは募集取扱を担当しています。

BUIDLの運用、カストディ、名簿管理、募集取扱、監査を担う事業者。
BUIDLを支える事業者の役割

BlackRockは同時にSecuritizeへ戦略的に出資し、BlackRockのJoseph ChalomがSecuritizeの取締役に就きました。BUIDLの総資産額は2026年10月時点で約21.7億ドルでした(rwa.xyz集計)。

企業としての動きも続いています。Securitizeは2025年10月28日、SPACのCantor Equity Partners IIとの事業統合契約を発表し、統合前の株式価値評価は12.5億ドルとされました。統合は2026年7月1日に完了し、Securitize Corp.の普通株式は7月2日にNYSEで取引を始めています。同社がオンチェーン化した資産は、2026年6月時点で40億ドル超でした(同社公表)。

大手運用会社の実商品と上場企業としての開示がそろい、トークン化証券は実運用の段階に入っています。

Securitizeの仕組みと主な構成要素

Securitizeの仕組みは、発行・名簿管理・募集と取引・複数チェーン対応の4つの要素で成り立っています。発行体が出した証券は、トークンの形で投資家のウォレットに届き、名簿と移転の可否は規制要件に沿って管理されます。

発行体の証券がDS Protocolでトークン化され、名簿管理と募集を経て承認済み投資家のウォレットに届く。
発行から投資家までの流れ

構成要素①:DS Protocolによる発行

SecuritizeはDS Protocolという独自の仕組みでトークンを発行します。BUIDLでは、トークンを移転できる相手が事前承認済みの投資家に限られています。

一般的なトークンとDS Protocolのトークンで移転の扱いを比べる。
移転制限のある発行の違い

構成要素②:トランスファーエージェントによる名簿管理

Securitize Transfer AgentはSEC登録トランスファーエージェントとして、投資家名簿を管理します。BUIDLでは、トークン化されたファンド持分の管理と、申込・償還・分配の報告を担っています。

BUIDLでトランスファーエージェントが担う申込、名簿の記録、償還、分配の報告。
名簿管理が担う事務

構成要素③:ブローカーディーラーによる募集と取引

Securitize MarketsはSEC登録ブローカーディーラーとして募集取扱を行い、代替取引システム(ATS)で取引の場を提供します。発行から流通までを同じグループ内で扱える構成になっています。

発行、募集、取引をグループ内の事業者がそれぞれ担う。
同じグループで扱う発行と流通

構成要素④:複数チェーンへの展開

トークンは1つのチェーンに限られません。BUIDLは2025年3月25日のSolana追加時点で、Aptos、Arbitrum、Avalanche、Ethereum、Optimism、Polygon、Solanaの7チェーンで提供され、チェーン間の相互運用はWormholeが担っていました。

2025年3月25日時点でBUIDLを提供していたチェーンの一部と相互運用の担い手。
BUIDLを提供していたチェーン

規制要件をトークンのコードで管理できる点が、この基盤の特徴です。

Securitizeと混同されやすいBUIDLとの違い

「BUIDL」という名前は、Securitizeとの関係で2つの別の主体を指します。BlackRockが運用するファンドと、Securitizeが2019年に買収した日本企業です。

BlackRockのファンドとしてのBUIDLと、旧社名の株式会社BUIDLを並べる。
BUIDLという名前の2つの主体
名称主体何をしているか
SecuritizeSecuritize Corp.とその関連会社トークン化基盤、名簿管理、募集・取引の仲介
BUIDL(ファンド)BlackRock現金・米国短期国債・レポに投資するトークン化ファンド
株式会社BUIDL(旧社名)現Securitize Japan株式会社2019年12月にSecuritizeの子会社となり、2020年4月1日に社名変更

BUIDLファンドは1トークン1ドルの安定価値を目指し、配当は毎月トークンとして投資家のウォレットへ支払われます。運用はBlackRockが行い、Securitizeは基盤を提供する立場です。

「BUIDL」で情報を調べるときは、どの主体の話かを先に切り分ける必要があります。

日本企業から見たSecuritizeと国内STO基盤の違い

国内でセキュリティトークンを発行する場合は、金融商品取引法の枠組みで整理されます。内閣府令はセキュリティトークン全体を「電子記録移転有価証券表示権利等」と定め、その中にトークン化有価証券、電子記録移転権利、適用除外電子記録移転権利の3区分を置いています。

準拠する法制度、投資家、取扱事業者、通貨の違いを比べる。
海外基盤と国内STO基盤の違い

電子記録移転権利は、金商法2条2項の権利のうちブロックチェーン等のトークンに表示されるもので、第1項有価証券として扱われます。Securitizeは米国証券法とEUのDLTパイロット制度の下で事業を行っており、前提となる法制度が異なります。

電子記録移転有価証券表示権利等の中のトークン化有価証券、電子記録移転権利、適用除外電子記録移転権利。
国内のセキュリティトークンの区分
比較項目Securitize(海外基盤)国内STO基盤
準拠する法制度米国証券法、EUのDLTパイロット制度金融商品取引法
想定する投資家米国の適格投資家など(BUIDLの場合)国内の投資家
取扱事業者SEC登録ブローカーディーラーなど国内の金融商品取引業者
通貨BUIDLはドル建て商品ごとに設計

国内基盤の代表例にはProgmatがあり、Pacific MetaはST発行基盤Progmatと戦略的業務提携を結んでいます。

国内投資家向けの商品は国内基盤、海外投資家やドル建ての商品は海外基盤という切り分けが、検討の起点になります。

Securitizeに関するよくある誤解

Securitizeは名前が知られている一方、事業の中身は誤って伝わりやすい企業です。よく見かける説明と実際を並べます。

取引所との混同、購入できる人、日本での発行についての誤解と実際。
Securitizeでよくある誤解
よくある誤解実際
暗号資産の取引所である証券のトークン化と名簿管理を担うSEC登録事業者を持つ企業
誰でもBUIDLを買えるBUIDLの対象は適格投資家で、当初の最低投資額は500万ドル
日本でも同じ商品をそのまま出せる国内での発行は金融商品取引法の枠組みで別途整理が必要

BUIDLは米国証券法のRule 506(c)と投資会社法Section 3(c)(7)に基づいて発行されています。トークンを移転できるのは事前承認済みの投資家の間に限られます。

Securitizeを使う際のリスクと注意点

海外のトークン化基盤を検討する際は、損失や手戻りにつながるリスクを4つの観点で見ておきます。

規制、カウンターパーティー、スマートコントラクト、流動性の4つの確認点。
海外基盤で確かめる4つの点

規制リスク

米国やEUの登録・認可を前提にした事業のため、制度改正や登録状況の変更で、使える商品や投資家の範囲が変わる可能性があります。国内の法制度とどう接続するかの確認を、基盤選定より先に行います。

カウンターパーティーリスク

運用会社、カストディアン、トランスファーエージェントなど複数の事業者が関わります。どの事業者が何を負うかを契約で確認しておかないと、障害時の責任の所在が曖昧になります。

運用会社、カストディアン、トランスファーエージェント、募集取扱者ごとに契約で確かめる責任。
関わる事業者と確かめる契約

スマートコントラクトリスク

移転制限や名簿管理をコードで実行するため、コードの不具合が名簿や移転に影響を及ぼすおそれがあります。監査の有無と、不具合時の復旧手順を確認しておくことが欠かせません。

流動性リスク

トークンは承認済み投資家の間でしか移転できません。売却したいときに買い手が見つかるかは、市場の厚みに左右されます。

Securitizeを含むトークン化の導入検討の進め方

トークン化の導入検討は、商品と投資家の範囲を決めることから始まります。基盤の比較から入ると、法制度が合わない選択肢に時間を使うことになります。

商品と投資家範囲の定義、準拠法と基盤の選定、委託範囲の決定、PoCでの判断の順に進める。
トークン化の導入検討の進め方

進め方は4段階です。

投資家と準拠法、発行基盤、委託範囲、会計と体制の4つの観点で確認する。
自社で確かめる項目
  1. 商品と投資家範囲を定義する(国内投資家か海外投資家か、円建てかドル建てか)
  2. 準拠法と発行基盤を選定する(国内基盤か海外基盤か)
  3. 発行・名簿管理・募集の委託範囲を決める
  4. PoCで事業化の可否を判断する

PoCは、本格導入を判断する材料として設計するものです。事業化の判断基準を先に決めてからPoCに入ると、結果を次の意思決定につなげられます。

順番作業主担当部門関与部門完了の判定
1商品・投資家範囲の定義新規事業法務対象投資家と通貨が文書で決まっている
2準拠法と基盤の選定法務システム採用する法制度と基盤が決まっている
3委託範囲の決定新規事業法務・経理発行・名簿管理・募集の担い手が決まっている
4PoCの設計と実施新規事業システム事業化の判断基準に対する結果が出ている

自社で確認すべき項目を、目的別に並べます。

検討の目的・論点確認すること確認先完了の判定
投資家範囲と準拠法対象投資家の所在地と、適用される法制度金融庁の公表資料、弁護士対象投資家と法制度が1つに決まっている
発行基盤の選定国内基盤と海外基盤それぞれの対応商品各基盤の公表資料候補基盤が2つ以内に絞られている
名簿管理の委託範囲名簿管理と分配報告を誰が担うか基盤事業者、委託先候補担い手と責任範囲が契約案に書かれている
会計・税務トークンの会計処理と税務上の扱い監査法人、税理士処理方針が文書で合意されている
体制障害時の対応と委託先管理の体制社内リスク管理部門対応手順と担当者が決まっている

海外基盤と国内基盤のどちらを選ぶかは、商品設計、投資家範囲、法務、システムの条件が組み合わさって決まります。部門をまたぐ論点が多く、社内の検討が基盤の比較表づくりで止まりやすいところです。国内でのデジタル証券の発行を軸に進め方を整理したい場合は、デジタル証券の発行支援の内容が参考になります。

Pacific Metaのサービス

セキュリティトークンによる資金調達を検討段階から支援します。

スキーム選定・規制対応・パートナー選定まで、STO・デジタル証券の発行検討を伴走します。

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よくある質問

SECZとは何ですか

SECZは、Securitize Corp.がニューヨーク証券取引所で使うティッカーです。SPACのCantor Equity Partners IIとの事業統合が2026年7月1日に完了し、翌7月2日に取引が始まりました。2025年10月の発表時点では、自社株式のトークン化も計画として示されています。

BUIDLは日本から買えますか

BUIDLの対象は米国証券法に基づく適格投資家で、当初の最低投資額は500万ドルでした。トークンを移転できるのも事前承認済みの投資家の間に限られます。個人が国内の暗号資産交換業者で購入できる商品ではありません。

Securitizeの手数料はいくらですか

手数料は商品や案件ごとに異なり、一律の料率表は公表されていません。個別のファンドについては、運用会社や募集取扱者の公表資料で条件を確認します。

ここでの内容は2026年10月16日時点の公表資料に基づく制度の一般的な整理です。個別の事業スキームが登録を要するかなどの判断は、弁護士や当局への事前相談で確認してください。基準日以降の制度改正や登録状況の変更で、内容が変わる場合があります。

Securitizeのまとめ

Securitizeは、SEC登録事業者を通じて証券の発行・名簿管理・取引を担うトークン化基盤で、BlackRockのBUIDLを支えています。国内企業の検討では、国内基盤と海外基盤のどちらで何を出すかの切り分けが最初の判断になります。

SEC登録事業者による発行と名簿管理、BUIDLの実運用を踏まえ、国内基盤と海外基盤の切り分けから判断する。
Securitizeと国内企業の判断

対象とする投資家や通貨によって、使える法制度と基盤は変わります。商品設計と法務、システムを同時に見る必要があるため、社内の一部門だけでは判断を決めきれない論点です。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言・投資助言ではありません。暗号資産には価格変動リスクがあり、投資元本を失う可能性があります。個別の判断はご自身の責任で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。

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