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ブロックチェーン総研by Pacific Meta

農林中央金庫グループがケネディクスやProgmatなどと協業。グループ初の不動産ST組成と信託業務参入を目指す方針

農林中央金庫や子会社の農中信託銀行など6社は、デジタルアセット発行・管理基盤「Progmat」を活用した不動産デジタル証券(セキュリティ・トークン、ST)の案件化に向けて協業を開始しました。農林中央金庫グループにとってST事業への参入は初めてであり、農中信託銀行が受益証券発行信託の受託者を、SBI証券が引受・販売を担当します。農中信託銀行による受託が実現すれば、STの発行や管理を担う金融機関の裾野が広がる契機となります。将来構想として、農林水産業に由来する資産のデジタルアセット化も視野に入れています。

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監修:ブロックチェーン総研編集部

株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。

協業スキームとProgmat SaaSによる運用体制

今回の協業には、農林中央金庫、農中信託銀行、ケネディクス(KDX)、KDX STパートナーズ(KST)、SBI証券、Progmatの各社が参加しています。現時点で対象物件や発行額、募集時期などの具体的な発行計画は公表されておらず、案件組成に向けた協業の開始という位置付けです。

各社の役割分担として、KDXがスポンサー兼アレンジャーとして対象不動産の供給とスキーム組成を担当し、KSTがアセットマネージャーとしてST組成後の期中運用や投資家への情報開示を担います。農中信託銀行は、不動産STを発行するための仕組みである受益証券発行信託の受託者として、信託財産およびProgmat上の受益権原簿を管理し、STファンドに関する信託業務へ新規参入します。販売面ではSBI証券がSTの引受と販売を行い、幅広い個人投資家への提供を目指します。

システム面では、Progmatが農中信託銀行とSBI証券に対して「Progmat SaaS」を提供します。この仕組みを利用することで、金融機関は自社サーバー上にブロックチェーンのノード(ネットワークを構成する接続ポイント)を独自に構築することなく、デジタルアセットの原簿管理やカストディ(資産の保管・管理業務)を開始できます。また、証券会社側にとっても投資家の秘密鍵管理を外部のカストディアンに委託せず自社で完結できる利点があります。なお、農中信託銀行は今後、SBI証券以外の証券会社との連携も見据えています。

出資から案件受託への進展と将来的な資産トークン化構想

農中信託銀行は2025年4月にProgmatへの出資を行っており、これまで制度設計を含む発行市場の発展や新規デジタルアセットの開拓に取り組んできました。今回の協業により、従来の資本参加の段階から、実際のST案件を受託する実務フェーズへと踏み出すことになります。

案件組成を担うKDXとKSTは、2021年7月に当時の三菱UFJ信託銀行と国内初の公募型不動産STで協業した実績があり、この案件にはSBI証券も参加していました。さらに2026年7月には、ProgmatやDatachainとともに、仮想ファンドのSTと信託型ステーブルコインを異なるブロックチェーン間で同時決済する「クロスチェーンDvP」の実証実験を実施するなど、ノウハウを蓄積してきました。

農林中央金庫と農中信託銀行は、今回の不動産STを皮切りに、ブロックチェーンを活用した金融ソリューションの研究をグループ一体で進める方針です。中長期的には、従来は大型の機関投資家向けに限定されていた金融商品や、農林水産業に由来する非金融資産のデジタルアセット化などを通じて、系統団体や組合員を含む投資家へ新たな投資機会を提供することを目指しています。

ポイント

  • 農林中央金庫グループがST事業に初参入し、ケネディクスやProgmatなどと共同でグループ初となる不動産STの案件組成に着手しました。
  • 農中信託銀行が受益証券発行信託の受託者としてST信託業務に新規参入し、発行・管理を担う信託銀行の選択肢が広がる契機となります。
  • 自社ノード構築を不要とする「Progmat SaaS」を活用し、システム負担を抑えた原簿管理や秘密鍵管理体制のもとでSBI証券が販売を担います。
  • 2025年4月のProgmatへの出資から実際の案件受託を目指す段階へ進展した取り組みであり、将来は農林水産業関連資産のトークン化も視野に入れています。

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