デジタル証券とは、株式や社債、不動産の権利などの有価証券を、ブロックチェーン上で発行・管理できるようにしたものです。個人には少額から実物資産に投資できる商品として、企業には新しい資金調達の手段として広がり始めています。日本では2020年施行の改正金融商品取引法で制度化され、大手金融グループの発行基盤と二次流通市場が動いています(2026年7月31日時点)。
この記事では、次のポイントを整理して解説します。
- デジタル証券の仕組みと、株式・暗号資産との違い
- 不動産をはじめとする種類と国内の主な事例
- 投資家・発行体それぞれのメリットとリスク
- 企業が発行を検討する際の進め方
投資する側の判断材料から、企業が発行を検討する手順まで順に見ていきます。
デジタル証券(セキュリティトークン)とは
デジタル証券とは、株式・社債・不動産の権利などの有価証券を、ブロックチェーン上のトークンとして発行・管理する仕組みです。セキュリティトークン(ST)とも呼ばれ、指す内容は同じです。本記事では「デジタル証券」の表記に統一します。

法令上は「電子記録移転権利」などと呼ばれますが、本質は難しくありません。紙や振替口座で管理されてきた「有価証券の権利の記録」を、ブロックチェーンという新しい台帳に載せ替えたものがデジタル証券です。
この呼び名が定まったのは2020年5月1日に施行された改正金融商品取引法で、同じ日から日本STO協会が認定金融商品取引業協会として自主規制業務を始めています。発行・販売を担えるのは登録を受けた金融商品取引業者などに限られるため、新しい商品であっても投資家が向き合う窓口は従来の証券会社と変わりません。
ここで湧く疑問が「株式はすでに電子化されているのに何が新しいのか」という点です。デジタル証券の新しさは単なるペーパーレス化ではなく、権利の小口化や柔軟な商品設計にあります。
デジタル証券が注目される背景と国内の発行実績
国内のデジタル証券は、実証実験の段階を過ぎて発行が積み上がる段階に入っています。
発行基盤を運営するBOOSTRYの集計によると、2025年度の公募デジタル証券の発行額は単年度で1,650億円、累計では3,333億円と前年度から約2倍に拡大しました。
トークン数は2025年度の単年度で24本、累積では82本に達し、100億円を超える大型案件も年度内に7本登場しました。同社は2026年度の単年度発行額を2,000億円、累計を5,300億円と見込んでいます(いずれも同社の予想値)。
数字の意味は本数より1本あたりの規模に出ています。単年度24本で1,650億円は1本平均70億円弱で、100億円級が7本を占める構成です。個人向けの小口商品と、機関投資家も入る大型案件が同じ制度の上に並び始めた段階と読めます。
この積み上がりを支えたのは、2020年施行の改正金融商品取引法による制度整備と、証券会社・信託銀行が本業として参入できる環境です。
動きは日本に閉じたものではありません。不動産や債券などの現実資産をブロックチェーン上のトークンにするRWA(リアルワールドアセット)の流れが世界的に進んでおり、デジタル証券はその証券版に当たります。同じRWAの文脈では、将来的にAIエージェントが決済や取引の主体になる構想も業界の議論として挙がっていますが、デジタル証券の制度・実務は現時点で人間の投資家・発行体を前提に設計されています。
決済側ではステーブルコインの実用化が並行して進んでいます。証券インフラの入れ替わりが始まった初期段階、というのが国内の発行実績から見える実態です。
デジタル証券の仕組み
デジタル証券が投資家の手元に届くまでの流れは、次のとおりです。
- 発行の準備:発行体(企業)が裏付け資産や事業を決め、信託銀行・証券会社と商品を設計(不動産では信託による小口化が代表的)
- 発行・購入:投資家が証券会社などの販売窓口で申し込み、トークン化された権利を取得
- 保有・権利管理:保有記録をブロックチェーン上の台帳で管理し、分配金の支払いなどの権利処理を実行
- 償還・売却:運用期間の満了で償還、または二次流通市場(セカンダリ市場)で他の投資家へ売却

ブロックチェーンが担うのは、このうち「権利の記録」の部分です。保有者情報を改ざんしにくい形で記録し、権利の移転や分配金計算といった事務を自動化しやすくします。管理コストを抑えながら小口の商品を扱えるのは、この自動化があるためです。
投資家がブロックチェーンを直接意識する場面は多くなく、個人向けサービスでは申し込みから購入までオンラインで完結する設計が一般的です。
台帳を誰が動かすかも決まっています。野村グループのBOOSTRYが開発する発行・流通基盤「ibet for Fin」はトークンを販売・流通できる参加者を金融庁の登録を受けた金融商品取引業者と登録金融機関に限定しています。4段階目の売却先となる二次流通市場も、2023年12月25日に売買を開始した大阪デジタルエクスチェンジの「START」が国内で先行しました。
つまり4段階のうち投資家の判断が要るのは1段階目の商品選びと4段階目の出口で、権利管理は基盤側に閉じています。購入前に確認する価値が高いのは、その商品がSTARTのような売却の場を持つかどうかです。
デジタル証券の種類
裏付けとなる資産のクラスごとに性質が変わり、国内の発行はいまも不動産が中心です。主な区分は次のとおりです(金額はBOOSTRYの2025年度集計に基づきます)。

| 区分 | 裏付け資産 | 分配・利払いの原資 | 国内の状況 |
|---|---|---|---|
| 不動産デジタル証券 | ホテル・レジデンスなど特定の不動産 | 賃料収入・売却益 | 発行の中心。2025年度発行額の約85% |
| 社債型(デジタル社債) | 発行企業の信用(債務) | 利払い・償還金 | 2025年度の発行額は204億円 |
| その他(インフラ・未公開株式など) | 発電施設・航空機・プライベートエクイティ等 | 資産ごとの収益 | 発行はまだ少数で、裾野が広がりつつある段階 |
不動産デジタル証券(不動産ST)
国内で最も発行が多いのが不動産デジタル証券です。2025年度は不動産を裏付けとする発行が1,408億円と全体の約85%を占めました。特定のホテルやマンションを裏付けに、賃料収入などを原資として分配する商品が中心です。
似た仕組みにREITや不動産クラウドファンディングがありますが、違いは次の表で確認できます。
| 項目 | 不動産デジタル証券 | REIT(上場) | 不動産クラウドファンディング |
|---|---|---|---|
| 投資対象 | 特定の物件を個別に選ぶ | 複数物件のポートフォリオ | 特定の物件を個別に選ぶ |
| 取引の場 | 非上場。私設取引システム(PTS)で売買できる銘柄がある | 証券取引所でいつでも売買 | 非上場。運用期間中の換金は限定的 |
| 権利の管理 | ブロックチェーン上のトークン | 従来の振替制度 | 事業者ごとの契約管理 |
物件を選べる点はクラウドファンディングと共通しつつ、金商法の開示・業規制とセカンダリ市場を備える点が特徴です。
社債型(デジタル社債)
企業が発行する社債をトークン化した区分で、発行額は不動産に次ぐ規模です。野村グループの「ibet for Fin」も社債・証券化商品・非上場株式等を取り扱っています。
その他の資産クラス
インフラ施設やプライベートエクイティなど、不動産・社債以外の資産クラスへ広げる動きも出ています。ただし規模はまだ小さく、BOOSTRYの集計では2025年度の発行額はプライベートエクイティ裏付けが24億円、不動産の匿名組合出資持分型が14億円で、合わせても全体の3%に届きません。
裏付けにできる資産の幅は、基盤側の対応と規制の整備が進むほど広がる構図です。逆にいえば、いま社内で検討できる現実的な選択肢は不動産の信託型と社債型の2本で、それ以外は先行事例の少なさを前提に置く必要があります。
デジタル証券と株式・暗号資産・REITの違い
デジタル証券と上場株式・暗号資産・REITの違いは、「何の権利を、どの法律の下で、どこで取引するか」で見えてきます。

| 資産 | 法的な性質 | 適用される主な法律 | 裏付け資産 | 主な取引の場 |
|---|---|---|---|---|
| デジタル証券 | 有価証券(電子記録移転権利など) | 金融商品取引法 | 不動産・社債など特定の資産 | 証券会社・PTS |
| 上場株式 | 有価証券 | 金融商品取引法 | 発行企業の事業 | 証券取引所 |
| REIT | 有価証券 | 金融商品取引法等 | 複数の不動産 | 証券取引所 |
| 暗号資産 | 有価証券ではない | 資金決済法 | 原則なし | 暗号資産交換業者(いわゆる取引所) |
| NFT | 内容による | 内容による | デジタルコンテンツ等 | マーケットプレイス |
上場株式との違いは「電子か紙か」ではありません。上場株式はすでに振替制度で電子化されています。デジタル証券の新しさは、ブロックチェーンで権利を管理することにより、小口化や柔軟な商品設計を低コストで実現しやすくした点にあります。
暗号資産とは適用される法律が別です。デジタル証券は金融商品取引法上の有価証券で、資金決済法上の暗号資産ではありません。裏付け資産を持たず需給で価格が動く資産とは、値動きの性質も規制の枠組みも異なります。
投資家・発行体それぞれのメリットとデメリット
デジタル証券のメリットは、投資する側と発行する側で中身が異なります。
投資家にとってのメリット
最大の特徴は少額から実物資産に投資できることです。たとえば三井物産デジタル・アセットマネジメントの個人向けサービス「ALTERNA」は、10万円から不動産などを裏付けとするデジタル証券に投資できる商品を扱っています(同社公表・2026年7月31日時点)。同社は関東財務局長〔金商〕第3277号の登録を受けた金融商品取引業者で、購入窓口が金商法の業規制の下にある点は従来の証券会社と同じです。
実物で一棟を取得するには手が届かないホテルやマンションに10万円という単位で投資できる点が、小口化の最も分かりやすい効果です。
商品性の分かりやすさも利点です。値動きの拠り所は裏付け資産の価値や賃料などの収益で、保有中は商品ごとの分配を受け取れます。需給だけで価格が動く資産と比べ、投資判断の根拠を説明しやすい構造です。
発行体(企業)にとってのメリット
企業側の意味は、資金調達の選択肢が増えることです。銀行借入・社債・増資に加えて、保有資産を裏付けにした小口の証券発行という手段を持てます。
投資家層の広がりも見込めます。小口化により、従来は機関投資家が中心だった資産に個人投資家の資金が入る経路ができ、自社のファンや顧客を投資家にする商品組成も検討できます。
デメリット・リスク
投資家・発行体に共通して、次のリスクを踏まえる必要があります。
- 換金しにくい場合がある:セカンダリ市場は立ち上がって間もなく、売りたいときに買い手が見つからないおそれ
- 元本保証はない:裏付け資産の価値や収益が下がれば分配額・償還額も減少
- 事業者の信用リスク:発行体や運営事業者の経営・システムの問題が取引や分配に波及
- 税務の扱いが商品ごとに異なる:スキームによって課税関係が変わるため、交付書面と税理士等での確認が必要
なお、デジタル証券は金商法上の有価証券であり、暗号資産の税制とは別の扱いです。「ブロックチェーンを使うなら暗号資産と同じ税金」という早合点は実務で起きやすいため、区別しておくと混乱を防げます。
国内のデジタル証券の主な事例
国内では、大手金融グループが発行基盤と流通市場を整え、その上に個別の発行が積み上がる構図ができています。主な担い手と案件は次のとおりです(2026年7月31日時点)。
| 主体 | 基盤・サービス | 役割・資産クラス | 時期・概要 |
|---|---|---|---|
| 三井物産デジタル・アセットマネジメント | ALTERNA(オルタナ) | 不動産・インフラ等を裏付けとする個人向けデジタル証券サービス | 関東財務局長〔金商〕第3277号。最低投資額10万円のオンラインサービスとして展開(2026年7月31日時点) |
| 野村グループ(BOOSTRY) | ibet for Fin | 発行・流通基盤。社債・証券化商品・非上場株式等を取扱い | 参加者を金融商品取引業者・登録金融機関に限定した共同運営型。基盤自体はオープンソースとして開発 |
| 三菱UFJ信託銀行ほか | Progmat | 発行基盤(Progmat ST/UT/Coinとウォレット群) | 2023年10月2日に株式会社Progmatを設立。デジタルアセット共創コンソーシアムに344社が参加(同社サイト・2026年7月31日時点) |
| SBI・三井住友FGなど | ODX「START」 | デジタル証券の二次流通市場(PTS) | 2021年4月1日設立、2023年12月25日に売買開始。日本初のST二次流通市場 |
| ケネディクスグループ | ケネディクス・リアルティ・トークン | ホテル「ドーミーイン神戸元町」を裏付けとする不動産デジタル証券 | 2023年11月発表。国内初のデジタル証券上場銘柄。設定・発行済数量は35,200口(ODX公表・2026年7月31日時点) |
注目したいのは、これが既存インフラの置き換えとして進んでいる点です。有価証券の権利は従来、証券保管振替機構を中心とする振替制度で管理されてきました。
表に挙げた基盤は、その記録の役割をブロックチェーンで担う新しい層で、信託銀行・証券会社という既存の担い手自身が構築しています。二次流通を担うODXの株主にSBI PTSホールディングス・三井住友フィナンシャルグループ・野村ホールディングス・大和証券グループ本社が並ぶことも、その表れです。
スタートアップの実験ではなく、金融インフラの本体側で起きている変化です。発行を検討する企業から見れば、話をする相手は取引のある信託銀行・証券会社と地続きになります。
デジタル証券の規制・制度上の位置づけと2026年の動向
デジタル証券は、金融商品取引法の規制下にある有価証券です。新しい技術を使っていても、規制の外で取引されているわけではありません。制度は法令・自主規制・改正動向の3層で押さえると全体像がつかめます。
2020年施行の制度の土台
制度の起点は、2020年5月1日に施行された改正金融商品取引法です。この改正でブロックチェーン上を移転できる有価証券の権利は「電子記録移転権利」などとして扱われることになりました。
整備されたのは呼び名だけではありません。私募の要件、有価証券報告書の提出要件と免除要件、有価証券届出書などの開示内容といった実務の要が同時に定まっています。同じ政令・内閣府令改正のなかで暗号資産交換業の制度整備とは別項目として整理されており、デジタル証券が資金決済法上の暗号資産と別枠で規制される構造もここで確定しました。
発行・販売を担えるのは登録を受けた金融商品取引業者などに限られ、投資家保護は従来の証券と同じ考え方で設計されています。制度の内容は金融庁が公表している改正時の資料で確認できます。
業界の自主規制
法令と並行して業界の自主規制も整いました。2019年10月1日に設立された日本STO協会が2020年4月30日に金融商品取引法上の認定金融商品取引業協会として認定を受け、翌5月1日から電子記録移転権利等の取引に係る自主規制業務を開始しています。
法令の施行と自主規制業務の開始が同じ日に揃ったため、発行の実務ルールは法令だけで完結しません。募集の手続きや広告の扱いを確認する際は協会の自主規制規則も参照先になります。
2026年改正の内容と施行状況
2026年4月10日に国会へ提出された金融商品取引法と資金決済法の改正法が、同年7月15日に成立しました。施行日は2026年7月31日時点で確定していません。
改正の主対象は暗号資産に関する規制の見直しで、資金決済法中心だった規制を金融商品取引法へ移す枠組みが柱です。あわせて企業のサステナビリティ情報の開示・保証、スタートアップへの資金供給の促進、不公正取引規制の見直しが盛り込まれています。
デジタル証券(電子記録移転権利等)本体の制度はこの改正の主対象ではなく、2020年からの運用が引き続き土台です。ただし暗号資産が金商法の枠組みに入ることで、両者が同じ法律の下に並ぶ形になります。発行を検討する企業が確認すべきなのは、成立と施行の区別、そして施行期日が公表された段階で自社のスキームに関係する条項が動くかどうかです。
企業がデジタル証券の発行を検討する際の進め方
発行の検討は、商品設計・規制対応・パートナー選定が同時に動くプロジェクトで、着手の順番を先に決めておくと部門をまたぐ議論が前に進みます。国内の発行事例で確立してきた進め方を、担当部門と完了の判定まで含めて示します。

| 順番 | 作業 | 主担当 | 関与部門 | 完了の判定 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 調達目的と裏付け資産の特定 | 経営企画・財務 | 事業部門 | どの資産で・いくら・何のために調達するかを1枚で説明できる |
| 2 | スキーム・発行形態の検討 | 財務 | 法務 | 信託型・社債型などの候補と制約を比較表にできている |
| 3 | 基盤・証券会社などパートナーの確認 | 財務 | システム | 各候補の役割分担・費用構造を比較し、選定理由を説明できる |
| 4 | 社内体制・投資家対応の設計 | 法務・経理 | IR・システム | 開示・会計・投資家窓口の担当と手順が文書化されている |
| 5 | 初回案件の検証設計 | 経営企画 | 全部門 | 初回発行で何を確認し、何をもって拡大を判断するかが決まっている |
所要期間は資産の種類やスキームで幅が大きいため、期間ではなく各段階の完了判定で進捗を測る方が実務的です。
検討の途中では、次の論点が部門をまたいで繰り返し出てきます。
| 検討の目的・論点 | 確認すること | 確認先(一次情報) | 完了の判定 |
|---|---|---|---|
| 自社の調達で使えるか | 裏付けにできる資産の権利関係と、既存の調達手段との比較 | 信託銀行・発行基盤の公表資料、自社の財務データ | 候補資産と概算の調達像が1枚で説明できる |
| 法務・規制 | 発行するトークンの法令上の区分と、必要な手続き・開示 | 金融庁の公表資料、日本STO協会の自主規制規則 | 必要な手当ての一覧を法務が確定している |
| 会計・税務 | 発行時・運用中の会計処理と課税関係 | 監査法人・税理士への確認、会計基準の公表資料 | 経理が処理方針を文書化している |
| 体制・委託先 | 基盤・証券会社・信託の役割分担と、自社に残る業務 | パートナー候補の提示条件 | 委託範囲と社内の責任分担表がある |
この表の難所は、項目が互いに独立していないことです。裏付け資産の性質が変わればスキームが変わり、スキームが変われば会計・税務も委託先の構成も動きます。財務・法務・事業部門をまたぐ変数が絡み合うため、社内の検討がスキームの比較表を作った段階で止まりやすい構造があります。
この絡み合いをほどく順番の設計や、基盤・証券会社の選定に向けた論点整理は[セキュリティトークンによる資金調達支援](/sto/)で扱っています。
Pacific Metaのサービス
セキュリティトークンによる資金調達を検討段階から支援します。
スキーム選定・規制対応・パートナー選定まで、STO・デジタル証券の発行検討を伴走します。
STO支援サービスの詳細を見るよくある質問
デジタル証券と暗号資産は何が違いますか
適用される法律が違います。デジタル証券は金融商品取引法上の有価証券で、不動産や社債などの裏付け資産を持ちます。暗号資産は資金決済法で規制され、裏付け資産を原則持ちません。取引の場も分かれ、デジタル証券は証券会社系のサービス、暗号資産は暗号資産交換業者で取り扱われます。
個人でもデジタル証券を購入できますか
購入できます。証券会社の窓口や、発行体グループが運営するオンラインサービスを通じて申し込む形が一般的で、いずれも口座開設と適合性の確認を経てからの申し込みになります。最低投資額は商品ごとに異なり、募集単位や分配の条件は交付書面に記載されます。
デジタル証券は途中で売却できますか
売却の道はありますが、上場株式ほど自由ではありません。日本初の二次流通市場である大阪デジタルエクスチェンジの「START」では、2026年3月末時点で8トークンが取引され、時価総額は336億円でした(BOOSTRY集計)。累積82本の発行に対して取引できる銘柄は一部にとどまるため、商品ごとの換金手段は交付書面と販売窓口で購入前に確かめてください。
三井物産のデジタル証券とは何ですか
三井物産グループの三井物産デジタル・アセットマネジメントが手がける個人向けサービス「ALTERNA」を指すのが一般的で、不動産・インフラなどを裏付けとする商品をオンラインで購入できます。個別の商品内容や募集状況は同サービスの公式情報で確認できます。
デジタル証券のまとめ
デジタル証券は、有価証券の権利をブロックチェーン上で管理する仕組みで、2020年から金融商品取引法の下で制度化されています。国内では発行基盤と二次流通市場が揃い、不動産を中心に発行が積み上がる、実務で動いているテーマになりました。
企業にとっての論点は「使えるかどうか」より「自社のどの資産・どの調達に当てはめるか」です。資産の性質・規制・パートナー構成という複数の変数が絡むため、前章の工程表とチェックリストを埋める過程が社内の合意形成の材料になります。動かしているのは信託銀行・証券会社・事業会社の実務であり、検討に必要な相手も情報も、すでに市場の中にあります。
なお、本記事は2026年7月31日時点の公表情報に基づく一般的な整理です。個別のスキームの規制上の扱いは、弁護士・監査法人や当局への事前相談でご確認ください。制度は改正の途上にあり、施行日などの前提は今後変わる可能性があります。