Coinbaseは2026年5月14日、分散型取引所(DEX)のHyperliquidにおいて、ステーブルコインであるUSDコイン(USDC)の公式トレジャリーデプロイヤー(準備金運用者)に就任することを発表しました。これは「AQAv2(Aligned Quote Asset v2)」という新たな枠組みの下で実施され、急成長するオンチェーン取引ネットワークでの流動性管理をCoinbaseが担うことになります。USDCの発行元であるCircleは、クロスチェーン送金プロトコル(CCTP)を通じた技術支援を行います。
新枠組みAQAv2による流動性管理とUSDCの役割
今回の提携は、HyperliquidのHIP-4仕様に基づく先物市場において、USDCをクオート資産(取引の価格表示通貨)に指定するものです。HyperliquidにおけるUSDCの供給量は約50億ドルに達しており、前年から倍増するなど、同ネットワークの主要な担保資産としての地位を確立しています。
この枠組みを有効化するため、CoinbaseとCircleの両社はHyperliquidのネイティブトークンであるHYPEをステーキングする方針です。特にCoinbaseは、プロトコルが要求する水準を上回る規模のステーキングを確保するとしています。Coinbaseは今回の統合により、オンチェーン資本市場を支える主要なステーブルコインとしてのUSDCの役割がより強固になると説明しています。
独自ステーブルコインUSDHの廃止と収益還元モデルの継承
AQAv2の導入に伴い、2025年9月にローンチされたHyperliquidのネイティブステーブルコイン「USDH」は、今後数カ月かけて段階的に廃止される予定です。利用者は、保有するUSDHを手数料無料でUSDCまたは法定通貨に変換することが可能です。
USDHがこれまで実施していた「プロトコルとの利回り共有」の仕組みは、今回のAQAv2にも引き継がれます。USDCの準備金から発生する収益は、今後HYPEトークンの買い戻しや、ネットワークを支援するアシスタンスファンドへの還元に充てられる計画です。
業界における重要性と戦略的背景
Hyperliquidはパーペチュアル(期限のない先物)取引を中心に急成長を遂げているオンチェーン取引所の一つです。CoinbaseとCircleにとって、今回の提携はUSDCの利用範囲を活発な取引プラットフォームへと拡大する戦略的な動きといえます。
技術面では、Circleが提供するCCTP(異なるブロックチェーン間でUSDCを移動させるためのプロトコル)が活用されます。これにより、複数のネットワーク間での効率的な資金移動と流動性の確保が図られる見通しです。
ポイント
- CoinbaseがHyperliquidにおけるUSDCの公式準備金運用者に就任し、流動性管理の中核を担います。
- Hyperliquid上のUSDC供給量は約50億ドルに達しており、ネットワークの主要な担保資産および取引指標資産となります。
- 既存の独自ステーブルコインUSDHは廃止されますが、その収益共有モデルはUSDCの運用枠組みに継承されます。
- CircleがCCTPを通じて技術面をサポートし、オンチェーン資本市場におけるUSDCの普及を加速させる狙いがあります。
- パーペチュアル取引で成長するHyperliquidとの提携により、USDCのリーチが最も活発なオンチェーン取引所の一つへ拡大されます。