日本電気株式会社(NEC)と株式会社Crypto Garageは、金融機関や機関投資家、企業向けの国産デジタル資産カストディシステムを共同開発するための協業を発表しました。この取り組みは、2027年中に予定されている金融商品取引法(金商法)の改正施行を見据え、2026年内のシステム開発着手を目指すものです。法規制の変更に伴う国内の安全性確保義務に対応し、海外製システムが抱える日本語対応や国内規制への適応といった課題の解決を図ります。本協業は、国内におけるデジタル資産の安全な管理体制とインフラの構築において重要な一歩となる可能性があります。
協業の背景と国内法規制の移行
近年、暗号資産の投資目的での利用が国内外で拡大する中、日本国内では暗号資産取引に関する規制をこれまでの資金決済法から金融商品取引法(金商法)へ移管する改正法案が進められています。金融庁が2026年4月に公表した説明資料によると、暗号資産の管理を行う重要なシステムの提供業者に対して、事前届出やシステムの安全性確保義務などが導入される方針が示されています。
現在、国内で普及しているデジタル資産カストディ(投資家に代わって資産を保管・管理する仕組み)システムの多くは海外企業が提供しています。しかし、これらは日本語対応や国内の法規制・商慣習への適応、さらにサプライチェーンリスクの管理において課題があるとされています。このような法規制の厳格化や国内固有の課題に対応するため、日本企業の手による信頼性の高い国産システムの開発が求められていました。
両社の役割分担と技術的なアプローチ
今回の協業では、金融システムやサイバーセキュリティ分野で豊富な実績を持つNECと、デジタル資産領域の知見を持つCrypto Garageがそれぞれの強みを活かしてシステム開発を進めます。
NECは、金融機関の業務フローに最適化した管理者向け・クライアント向けの業務アプリケーション開発およびシステム基盤の構築を担当します。また、金融機関がすでに運用している既存システムとの安全な連携も視野に入れています。
一方、デジタルガレージの子会社でありブロックチェーン金融サービスを手がけるCrypto Garageは、法人向けカストディ業務や暗号資産トレジャリー(資金管理)領域での実績を活かします。同社はウォレットや署名などの秘密鍵管理技術のほか、AML/CFT(マネーロンダリング・テロ資金供与対策)に準拠したバックエンドの開発と提供を担います。
今後のスケジュールと展望
両社は2026年中にカストディシステムの開発に着手し、2027年中に施行が予定されている改正金商法の開始に合わせて、速やかなサービス稼働を目指す計画です。
将来的には、ビットコインなどの暗号資産やデジタル資産全般の柔軟な管理に加え、今後需要が高まると見られるステーブルコイン(法定通貨と連動を目指すデジタル通貨)の保管・管理ニーズへの対応も視野に入れています。さらに、国産カストディシステムやウォレット技術の標準化および普及を推進するため、金融機関を巻き込んだコンソーシアムの組成も検討していくとしています。
ポイント
- NECとCrypto Garageが、金融機関や機関投資家、企業を対象とした国産デジタル資産カストディシステムの共同開発に向けた協業を発表しました。
- 2026年内にシステム開発へ着手し、暗号資産規制が金商法へ移行する2027年中の法改正施行に合わせた速やかな稼働開始を目指します。
- 既存の海外製システムが抱える日本語対応や国内法規制への適応、サプライチェーンリスクといった課題の解決を図る点で注目されます。
- 将来的なステーブルコインの管理ニーズへの対応や、技術の標準化・普及に向けた金融機関を含むコンソーシアムの組成も検討されています。