為替リスク管理サービスなどを手がけるトレーダム株式会社は、2026年6月5日、クロスボーダー・ステーブルコイン決済サービス「トレーダム ペイメント」において、実際の商取引に基づく決済トランザクションを実施したと発表しました。この取引は、国内の決済事業者が主体となり、海外で支払われたステーブルコインを日本円化し、国内事業者への円貨精算まで完了した実際の商流に基づく事例として、日本初とされています。決済のプロセスには、JPYC株式会社の発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」が活用されており、日本企業がステーブルコインを直接保有せずに海外のデジタル決済ニーズに対応できる仕組みとして注目を集めています。
実際の商取引に基づく決済の仕組み
トレーダム ペイメントは、海外の買い手がUSDCなどのステーブルコインで商品やサービスの代金を支払い、日本国内の売り手企業が原則として日本円などの法定通貨で受け取ることができる決済サービスです。
今回の実取引では、以下のプロセスを通じて決済が行われました。
1. 海外の購入者がステーブルコインで支払いを行い、トレーダム ペイメントが決済処理を実施します。
2. JPYC社が運営する発行・償還プラットフォームであるJPYC EXを経由して、支払われたステーブルコインを日本円に換算(償還)します。
3. 日本国内の事業者へ、日本円(円貨)による精算を完了します。
国内の決済事業者(PSP:決済サービスプロバイダー)が主体となり、海外で支払われたステーブルコインの日本円化から国内事業者への円貨精算までを、実際の商流に基づいて完了させた事例は、日本で初めてであるとされています。
技術的背景と導入のメリット
この決済モデルの背景には、日本円に連動するステーブルコインであるJPYCとそのエコシステムがあります。JPYCは、日本国内の法律に準拠した電子決済手段として発行されているステーブルコインとされています。
日本企業がトレーダム ペイメントを導入する最大のメリットは、ステーブルコインを自社で直接保有・管理する必要がない点にあります。ステーブルコインの保有に伴う会計上の処理や管理コスト、為替リスクを避けることができるため、企業は既存の業務フローを大きく変えることなく、海外で広がるデジタル決済の需要を取り込むことが可能になります。また、今回の取引は単なる実証実験(PoC)ではなく、実際のビジネスに基づいた決済トランザクションとして実行された点も大きな特徴です。
今後の展開とビジネスへの影響
トレーダム社とJPYC社は、今後の展開として両者間のシステム連携を視野に入れています。具体的には、API連携を通じてJPYCの円貨化処理を自動化し、より大量かつリアルタイムなクロスボーダー決済処理への対応を目指すとしています。
この自動化が進むことで、越境EC、貿易取引、デジタルコンテンツ販売、さらにはグローバルなBtoB(企業間)決済など、多岐にわたる国際商取引での活用が期待されています。ステーブルコインを用いた迅速かつ安価な決済手段が実用化されることは、日本企業の海外展開における決済の選択肢を広げ、グローバル市場での競争力向上につながる可能性があります。
ポイント
- 為替リスク管理サービスを手がけるトレーダムが、クロスボーダー決済サービスであるトレーダム ペイメントによる実際の実取引完了を発表しました。
- 海外の買い手が支払ったステーブルコインを日本円化し、国内事業者へ円貨精算する一連のプロセスを決済事業者が主体となって完了した事例は日本初とされています。
- 決済の日本円化プロセスには、JPYC社が提供するプラットフォームであるJPYC EXが活用されました。
- 国内の売り手企業は、ステーブルコインを直接保有・管理することなく、海外で普及するデジタル決済ニーズに対応できます。
- 今後はAPI連携による円貨化処理の自動化を進め、越境ECや貿易取引、グローバルBtoB決済などでの実用化を目指す計画です。