米上院共和党の議員らは、銀行による暗号資産の保有や関連業務に対する自己資本規制の見直しを求める書簡を金融規制当局に送付しました。議員らは、現行の国際的な基準が銀行による暗号資産の保有を事実上禁止していると指摘し、より明確で公平な規制枠組みの策定を求めています。この動きは、伝統的金融機関の暗号資産市場への参入を促す重要な一歩となる可能性があります。
金融規制当局への書簡送付と共同ガイダンスの評価
米上院銀行デジタル資産小委員会の委員長を務めるシンシア・ルミス議員をはじめとする共和党上院議員6人は、2026年5月27日付で、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融監督担当副議長、連邦預金保険公社(FDIC)の総裁、通貨監督庁(OCC)の長官宛てに書簡を送付しました。ルミス議員は同年6月4日にこの事実を明らかにしています。
書簡の中で議員らは、これら3つの規制当局が2026年3月に公表した、トークン化証券の自己資本規制上の取り扱いを明確化する共同ガイダンスを評価しました。この共同ガイダンスでは、トークン化された証券について、発行や取引に用いられる技術ではなく、原資産のリスク特性に基づいて自己資本を扱うべきだという方針が示されています。議員らはこの進展をさらに発展させ、バランスシート上で保有する暗号資産全般についても、明確かつ公平な自己資本規制の枠組みを構築するよう求めました。
1250%リスクウェイトによる事実上の保有禁止への懸念
議員らが問題視しているのは、国際的な銀行監督基準を策定するバーゼル銀行監督委員会(BCBS)が2022年に公表した自己資本基準です。この基準では、ビットコイン(BTC)などの暗号資産をバランスシート上で保有する場合、1250%のリスクウェイトが適用されます。リスクウェイトとは、銀行が保有資産のリスクに応じてどの程度の自己資本を積み増す必要があるかを示す指標とされています。
1250%という水準は自己資本規制の枠組みにおいて最も厳しい分類であり、銀行は保有する暗号資産と同額以上の自己資本を維持しなければなりません。議員らは、この規制が暗号資産の実際のリスク特性を精査したものではなく、資産カテゴリーを理由に一律のペナルティを課すものであると主張しています。結果として、銀行が暗号資産を保有することを経済的に不可能にし、事実上の禁止措置となっていると批判しました。
業界への影響と求められる制度設計
書簡では、バランスシート上で暗号資産を保有する銀行に対する自己資本規制は、暗号資産がもたらす機会とリスクを正確に反映したものであるべきだとされています。
また、規制は特定の技術に偏らない技術中立的なアプローチに基づき、銀行が暗号資産市場に実質的に参加できるような制度設計にすべきだと強調されました。この要請が受け入れられ、自己資本規制の見直しが進めば、銀行による暗号資産市場への参入や関連サービスの提供がより現実的になり、Web3業界と伝統的金融の融合がさらに進む可能性があると見られます。
ポイント
- 米共和党上院議員6人が、FRB、FDIC、OCCに対し、銀行の暗号資産保有に関する自己資本規制の見直しを求める書簡を送付しました。
- 議員らは、2026年3月に発表されたトークン化証券向けの技術に中立な共同ガイダンスを評価し、同様の原則を他の暗号資産にも適用すべきだと主張しています。
- 現行のバーゼル基準が定める1250%リスクウェイトは、暗号資産の実際のリスクを反映しておらず、銀行の暗号資産保有を事実上禁止していると批判されています。
- 規制当局が技術中立的なアプローチを採用し、リスクと機会を正確に反映した制度設計を行うことで、銀行の実質的な暗号資産市場への参入を促すことが期待されています。