米国のエリザベス・ウォーレン上院議員は、米商品先物取引委員会(CFTC)のマイケル・セリグ委員長に対し、同委員会の投資家および市場保護能力について説明を求める書簡を送付しました。ウォーレン議員は、CFTCにおける人員削減や執行活動の減少を指摘し、暗号資産や予測市場の監督体制に懸念を示しています。暗号資産市場の大部分をCFTCの監督下に置く「クラリティ法案(Clarity Act)」の審議が進む中、この出来事は今後の暗号資産業界の規制構造に大きな影響を与える可能性があります。
ウォーレン議員が指摘するCFTCの体制弱体化と執行減少
ウォーレン議員は6月5日付の書簡において、CFTCの規制能力を損なう要因として、人員の削減と執行活動の大幅な減少を挙げています。
具体的には、CFTCが職員数を約25%削減し、早期退職制度などを提示しているとの報道を引用して、市場規制能力への懸念を表明しました。また、2024会計年度には58件だった執行措置が、ドナルド・トランプ大統領就任後の12カ月間では11件にまで減少していると指摘しています。
さらに、最近の具体的な対応についても批判を強めています。暗号資産取引所Gemini(ジェミナイ)に科された500万ドルの制裁金について、セリグ委員長が判決の取り消しを求めるのが適切と判断したことや、予測市場プラットフォームPolymarket(ポリマーケット)や暗号資産取引所Crypto.com(クリプト・ドットコム)に関して懸念を示した職員をCFTCが排除したとする報道に言及しました。
なお、マイケル・セリグ委員長は2025年12月にCFTC委員長に就任したとされています。
クラリティ法案による監督権限移管への懸念
現在、米国議会では暗号資産市場を包括的に規制する「Clarity Act(クラリティ法案)」の議論が進められています。このクラリティ法案は、米国のデジタル資産に対する明確な規制枠組みを構築し、証券取引委員会(SEC)やCFTCなどの規制機関の間で管轄権を明確に分担することを目指す法案とされています。法案が成立すれば、暗号資産市場の大部分に対する監督権限がCFTCに移管されることになります。
ウォーレン議員は、人員削減や執行活動の減少、さらに外部からの影響力の増大によってCFTCが弱体化していると主張しました。このため、同委員会が暗号資産企業と予測市場企業の両方を効果的に監督することは難しいと述べています。
同議員はCFTCに対し、2025年1月20日のトランプ大統領就任以降における職員の退職、停職、配置転換の記録や、ポリマーケットおよびジェミナイへのノーアクションレターの根拠となった行政記録、クラリティ法案に関する予測市場業界関係者とのやり取りの記録などを6月18日までに提出するよう求めています。
ポイント
- エリザベス・ウォーレン米上院議員が、CFTCのマイケル・セリグ委員長に対し、市場監督能力を問い質す書簡を送付しました。
- ウォーレン議員は、CFTCの約25%の人員削減や、トランプ大統領就任後の執行措置件数の大幅な減少(12カ月間で11件)を指摘し、規制能力の弱体化を懸念しています。
- 暗号資産市場の大部分の管轄権をCFTCに移管する「クラリティ法案(Clarity Act)」の成立を控え、CFTCが十分な監督体制を維持できるかが焦点となっています。
- Geminiに対する制裁金判決の取り消し判断や、PolymarketやCrypto.comに懸念を示した職員の排除に関する報道などが、外部からの影響や監督姿勢に対する批判の根拠とされています。
- ウォーレン議員はCFTCに対し、異動記録や行政記録などの提出期限を6月18日と定めており、今後の回答内容が今後の規制議論に影響を与える可能性があります。