米資産運用大手のブラックロックは2026年6月16日、ビットコインへの投資機会を提供しつつ、オプション取引によるプレミアム収入を分配する新たな上場投資信託(ETF)「iShares Bitcoin Premium Income ETF(ティッカー:BITA)」をナスダックに上場しました。この商品は、ビットコインの価格変動による利益を一定程度確保しながら、定期的なインカム(分配金)を求める投資家の需要に応える設計となっています。業界最大手による低コストなインカム型ビットコインETFの登場は、これまで利回りの不在を理由に投資を躊躇していた機関投資家や個人投資家の参入を促す可能性があると見られます。
プレミアム収入を分配するカバードコール戦略の仕組み
BITAは、ビットコイン現物を直接保有するとともに、ブラックロックのビットコイン現物ETFである「iShares Bitcoin Trust(IBIT)」の持分を保有することで、ビットコインへの投資機会を確保します。
その上で、保有するIBITの約25%から35%を対象にコールオプション(あらかじめ決められた価格で買う権利)を売却する「カバードコール戦略」を採用しています。このオプション売却によって得られる「プレミアム収入」が、投資家への分配金の原資となります。
カバードコール戦略は、市場が横ばいや緩やかな上昇推移を示す局面において、プレミアム収入によってリターンを向上させられる特徴があります。一方で、ビットコイン価格が急騰する強気相場においては、オプション売却の対象となっている部分の上昇益が制限されるというトレードオフが存在します。
競合比で優位な0.65%の手数料設定
BITAのスポンサー手数料は0.65%に設定されています。
この手数料率は、ブラックロックが提供する通常のビットコイン現物ETF「IBIT」の手数料である0.25%と比べると高く設定されています。しかし、先行する他社のカバードコール型ビットコインETFと比較すると低水準に抑えられています。例えば、同種の大手ETFである「Roundhill Bitcoin Covered Call Strategy ETF(YBTC)」の手数料0.95%や、「NEOS Bitcoin High Income ETF(BTCI)」の手数料0.99%を下回っており、コスト面での競争力を備えているとされています。
インカム型ビットコインETFが業界に与える影響
ビットコインはこれまで、保有しているだけでは金利や配当のような利回りを生まない資産とされてきました。この特徴は、定期的なキャッシュフローを重視する機関投資家(年金基金や保険会社など)や、退職後の生活資金を運用する個人投資家にとって、投資の障壁となっていたとされています。
今回のBITAの上場により、高い価格変動性を活かしてインカムを生成する仕組みが、ブラックロックという知名度の高いブランドを通じて提供されることになります。これにより、従来の現物ETFとは異なる利回り重視の投資層がビットコイン市場へ流入する契機となる可能性が指摘されています。
ポイント
- ブラックロックが2026年6月16日、新たなインカム型(カバードコール型)ビットコインETFであるBITAをナスダックに上場しました。
- 保有するビットコイン現物およびIBITの約25〜35%を対象にコールオプションを売却し、得られたプレミアム収入を投資家に分配する仕組みです。
- 手数料は0.65%に設定されており、競合する大手カバードコール型ビットコインETFであるYBTC(0.95%)やBTCI(0.99%)よりも低い水準に抑えられています。
- 横ばいや緩やかな上昇相場においてリターンを高められる一方で、ビットコイン価格が急騰する強気相場では上昇益が制限されるという特徴があります。
- 利回りを重視する機関投資家や個人投資家に対し、新たなビットコイン投資の選択肢を提供する点で注目されます。