米議会、CBDC発行を2030年末まで禁止する「21世紀住宅への道法」の改訂版で合意

米国議会の上下両院における関連委員会の指導部は、連邦準備制度理事会(FRB)による中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行を2030年末まで禁止する条項を含んだ「21st Century ROAD to Housing Act(21世紀住宅への道法)」の改訂版で合意に達しました。この法案は、本来は住宅価格の適正化を目指すものですが、共和党が強く求めてきたCBDC禁止条項が盛り込まれた形です。法案は速やかに可決される見通しであり、米国のデジタル決済政策や暗号資産市場に影響を与える可能性があります。

超党派による住宅法案とCBDC禁止条項の統合

ティム・スコット上院銀行委員長やエリザベス・ウォーレン同委員会筆頭理事ら超党派グループは、2026年6月17日に「21st Century ROAD to Housing Act」の改訂版を公表しました。この法案は、機関投資家による既存の一戸建て住宅の賃貸目的での買い占めを禁止するなど、住宅価格の適正化を主目的としています。

しかし、この住宅法案にはFRBによるCBDCおよび実質的に類似するデジタル資産の発行を禁止する条項が組み込まれています。この条項は、上院が3月に可決した時点ですでに盛り込まれており、下院も5月に強い支持で同様の法案を可決していました。今回の改訂版の合意により、CBDCの発行禁止期間は2030年12月31日までと規定され、同日をもって失効する設計となっています。

ホールセール型CBDCの適用除外と政治的背景

今回の禁止措置には例外が設けられています。金融機関のみが利用できるホールセール型CBDC(中央銀行が発行するデジタル通貨のうち、金融機関同士の決済に用いられるもの)などには適用除外(カーブアウト)が適用されており、開発や利用が完全に禁止されるわけではありません。

CBDCの禁止は、これまで共和党が単独法案として成立を目指してきたものの頓挫し続けてきた経緯があります。そのため、超党派の支持を集める住宅法案にこの条項を組み込む形で合意に達したことは、共和党にとって大きな政治的勝利とされています。

また、ドナルド・トランプ米大統領は2025年1月、CBDCが金融システムの安定性、個人のプライバシー、そして米国の主権を脅かすとして、連邦機関の関連業務を禁止する大統領令にすでに署名しています。

業界への影響と暗号資産擁護派の視点

暗号資産擁護派は、CBDCを「政府が暗号技術を中央集権的な資産に転用する試みである」として批判してきました。今回の法案が可決されれば、米国におけるリテール(一般向け)CBDCの導入は2030年末まで法的に阻止されることになり、民間主導の暗号資産やステーブルコインの重要性が相対的に高まる可能性があります。

ポイント

  • 米議会の超党派が、2030年12月31日までFRBによるCBDC発行を禁止する条項を含む「21st Century ROAD to Housing Act」の改訂版で合意しました。
  • 禁止の対象は一般向け(リテール型)CBDCや類似のデジタル資産であり、金融機関向けのホールセール型CBDCは適用除外となっています。
  • 単独での法案成立が難しかったCBDC禁止条項を、超党派の住宅法案に統合することで、共和党にとって大きな政治的勝利となりました。
  • トランプ大統領は2025年1月にCBDC関連業務を禁止する大統領令に署名しており、政府のCBDCに対する慎重な姿勢が改めて法制化される見通しです。
  • リテールCBDCの事実上の凍結は、米国のデジタル資産市場やプライバシー保護の観点から業界でも注目されています。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用や、AI×ブロックチェーン領域における事業開発・実装に関する情報を発信する編集チームです。株式会社Pacific Metaが、グループ累計260社以上・41カ国以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

ビジネスでの活用から個人の学びまで、ブロックチェーンやトークンに関する情報を、最新動向と実務でのナレッジを踏まえてわかりやすくお届けします。編集部や事業内容の詳細は、公式サイトをご覧ください。

ニュース
ブロックチェーンマガジン by Pacific Meta