米暗号資産業界団体、マイニング・ステーキング課税明確化法案の無修正成立を議会に要請

米国の主要な暗号資産業界団体が、マイニングとステーキング報酬の課税時期を明確にする法案「Tax Clarity for Mining and Staking Act(H.R. 9175)」について、修正を加えることなく成立させるよう米議会に要請しました。業界団体は現行の税制がネットワーク検証による資産生成の実態を十分に反映していないと指摘し、課税時期の選択制導入を求めています。一方、伝統的な金融業界からは、この法案が暗号資産を優遇するものであるとして反対の声も上がっています。この法案の行方は、米国における暗号資産ビジネスの競争力や税務コンプライアンスのあり方に大きな影響を与える可能性があると見られます。

業界団体が提出した書簡と法案の概要

米暗号資産業界団体、マイニング・ステーキング課税明確化法案の無修正成立を議会に要請

暗号資産業界の主要団体であるブロックチェーン・アソシエーション(Blockchain Association)、クリプト・カウンシル・フォー・イノベーション(Crypto Council for Innovation)、デジタル・チェンバー(The Digital Chamber)の3団体は、米下院歳入委員会のジェイソン・スミス(Jason Smith)委員長と、同委員会の民主党トップであるリチャード・ニール(Richard Neal)議員に共同書簡を送付しました。書簡では、マイク・ケアリー(Mike Carey)下院議員が提出した法案「H.R. 9175」を、修正せずにそのまま成立させるよう求めています。

この法案は、暗号資産のマイニングやステーキングで得られたトークンの課税ルールを明確化するものです。マイニングやステーキングは、ブロックチェーンネットワークの検証や維持に貢献することで、報酬として暗号資産を受け取る仕組みとされています。法案では、得られたトークンを原則として受領時に通常所得として課税する一方、納税者が選択した場合には売却時まで課税を繰り延べられる選択制の導入を提案しています。

生成時課税が抱える課題と業界の主張

暗号資産業界は長年にわたり、ステーキングなどの報酬に対する課税は、トークンの生成・受領時ではなく売却時に行われるべきだと主張してきました。現行の税法では、マイナーやステーカーが実際に資産を現金化していない段階で課税が発生するため、支配や管理の問題、実際には現金化していない所得への課税、流動性の問題などがあると指摘されています。

納税者がまだ換金できていない資産に対して税金を負う場合、税負担を賄うために意図せず保有資産を売却せざるを得ない可能性があります。デジタル・チェンバーのコディ・カーボーン(Cody Carbone)CEOは、本法案が必要な明確性を提供し、米国の競争力を守るために不可欠であると述べています。

伝統的金融機関からの反発と修正への懸念

一方で、この法案に対しては反対の意見も存在します。米国銀行協会(American Bankers Association)は、この法案が暗号資産を他の資産クラスよりも優遇する内容であると批判しています。さらに、これにより伝統的な銀行から預金が流出する可能性があると警告しています。

これに対し、業界の3団体は、法案の文言を再び修正することは、これまでに合意された超党派の妥協を崩し、問題の解決を遅らせるリスクがあると主張しています。そのため、提出された当初の形のまま法案を維持し、早期に成立させることが重要であると訴えています。

ポイント

  • 主要な暗号資産業界団体が、マイニング・ステーキング課税明確化法案「H.R. 9175」の無修正成立を米議会に要請した点で注目されます。
  • 法案は、報酬の課税タイミングを受領時とするか、売却時まで繰り延べるかを選択できる制度の導入を目指している点で注目されます。
  • 現行の生成時課税が納税のための意図しない資産売却を招き、米国の競争力を損なう懸念があることを業界側が指摘している点で注目されます。
  • 米国銀行協会が暗号資産の優遇や銀行からの預金流出を懸念して法案に反対しており、伝統的金融機関との対立が生じている点で注目されます。
  • 法案の再修正が超党派の合意を停滞させるリスクがあるとして、業界団体が提出時の形での早期成立を求めている点で注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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