米上院の民主党議員5人が、ドナルド・トランプ大統領の家族が支援する暗号資産企業「World Liberty Financial」に対する即時公聴会の開催を要求しました。報道によると、トランプ氏の大統領就任前に、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ王室に関連する投資機関が、同社の株式の49パーセントを約5億ドルで購入したとされています。議員らはこの巨額投資が、その後のトランプ政権によるUAEへの優遇政策に影響を与えた可能性を懸念しており、国家安全保障上の観点から調査を求めています。
民主党議員による公聴会の要求と背景
2026年6月23日、エリザベス・ウォーレン氏ら5人の民主党上院議員は、それぞれが所属する5つの上院委員会の共和党委員長に対して書簡を送付し、即時公聴会の開催を強く求めました。
この要求は、2025年1月のトランプ大統領就任の4日前に、UAEの国家安全保障顧問であるシェイク・タハヌーン・ビン・ザイード・アル・ナヒヤーン氏が率いる投資機関が、World Liberty Financial(以下、WLF)の49パーセントの株式を約5億ドルで秘密裏に取得したという報道に基づいています。この契約により、前金として2億1800万ドルが支払われ、そのうち1億8700万ドルがトランプファミリーの支配下にある企業へ、3100万ドルが中東特使であるスティーブ・ウィトコフ氏の関連企業へ流れたとされています。
国家安全保障への懸念と政策への影響
民主党議員らは、この巨額の投資がトランプ政権の外交政策や規制緩和に影響を与えた可能性を指摘しています。具体的には、投資契約から数ヶ月の間に以下のような動きがあったとされています。
・武器売却の承認:2025年5月、トランプ政権はUAEに対する14億ドル規模の武器売却を承認しました。
・最先端技術の提供:UAEのAI企業「G42」に対し、国家安全保障上の懸念が指摘されていたにもかかわらず、約10億ドル相当とされる35,000個の最先端AIチップ(NVIDIA Blackwell)の売却を許可しました。
・暗号資産規制の緩和:暗号資産に対する規制を緩和する動きを進めました。
議員らは、外国政府の役人が政権発足前の大統領の企業に大規模な出資を行うことはアメリカ政治史上、前例のない事態であり、国家安全保障を脅かす可能性があるとして、宣誓供述を含む徹底的な調査を要求しています。
トランプ氏側の主張と業界への影響
一方、トランプ大統領は、この5億ドルの投資については認知しておらず、WLFの日常的な運営にも直接関与していないと主張しています。
現在、米国議会では連邦レベルでの暗号資産規制法案の策定が進められていますが、一部の民主党議員は倫理規定が盛り込まれない限り法案を支持しない姿勢を示しているとされています。今回の公聴会要求とそれに伴う政治的議論は、今後の暗号資産規制の行方にも影響を及ぼす可能性があります。
ポイント
- 5人の米上院民主党議員が、トランプ氏支援の暗号資産企業「World Liberty Financial」に関する即時公聴会を要求しました。
- UAEアブダビ王室の関連機関が、トランプ氏の大統領就任直前に同社の株式49パーセントを約5億ドルで購入したと報じられています。
- 民主党議員らは、この投資がUAEへの武器売却や最先端AIチップの提供、暗号資産規制緩和などの優遇政策に影響を与えた可能性を懸念しています。
- トランプ大統領は投資について知らなかったとし、企業の日常的な運営には関わっていないと説明しています。
- この政治的対立は、現在進行中の連邦暗号資産規制法案の進展にも影響を与える可能性があります。